Gレコ直前なのでトミノ語り

お題のとおり
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堀井とき @toki_holy

丁度いいので、Gレコ放送直前のトミノ語りやろう。しばらく長文続くよ! お題1「トミノ節というか演出とシーンのトバシ入門」 2「世界は三角形できている」 3「語り部論で見るトミノという物語」 とりあえず無料公開されてる冒頭10分をツマミにだらだらと。ちょっとだけ2話の話も。#gレコ

2014-09-27 02:31:00
堀井とき @toki_holy

お題1「トミノ節というか演出とシーンのトバシ入門」 Gレコ冒頭、落下するGセリフから落ちる少女を救出するシーン、これ後に判明するけど、その直後のベルリ達の実習の1週間も前なのね。低酸素症で記憶を無くした少女に対し、それなりに治療しても反応がないから、宇宙に連れ出した、と #gレコ

2014-09-27 02:34:20
堀井とき @toki_holy

実際はそこまで説明してくれないけど、あの間が1週間あるという情報と、「反応ないな」というちょっとした台詞から、こうした事が読み取れる。トミノ作品ではこうした時間のトバシが多く、「その間に何をやっていたか」を前提とした台詞をバンバン出す事で想像させる作りになっている。 #gレコ

2014-09-27 02:35:53
堀井とき @toki_holy

1話はあのまま宇宙エレベータでの攻防の話になるのだけど、実は2話はそれから時間が飛んでしまう。正直、これはちょっと戸惑うくらい飛ぶのだけど、「その間」を思わせる台詞が挟まれるので、だんだんと馴染んでいく。時間を使わずに必要な事を伝えるこうした手法はヴヴヴでも多かったね。 #gレコ

2014-09-27 02:37:54
堀井とき @toki_holy

トミノ節と言われる台詞回しも、会話してるようで話が噛み合っていないことが多い。ただ、これも噛み合っていないようで、原因をすっとばして結論だけを言い合っているような、理解する過程を描くのではなく、理解した後を描く。これは多分にトミノ本人の資質だろうw #gレコ

2014-09-27 02:40:31
堀井とき @toki_holy

とにかく、「普通ならこういう手順で見せるだろう」という優しさが一切無い。いやこれくら解るだろ?という感じでガンガン手順をすっとばして見せられるので、非常に情報が圧縮してあり、それによって非常に多くのキャラを不足なく同時並行で見せる事ができる。30分で群像劇が描ける。 #gレコ

2014-09-27 02:43:25
堀井とき @toki_holy

キングゲイナーで1本分のつもりで書いた脚本が、トミノから「半分にしかならない」と差し戻されたというエピソードが、展開の異様な速さを物語るw とまあ、とにかく手順をトバして解るようにではなく解れという風に描かれるんだ、という認識を最初から持ってた方が楽だよ、という話でした #gレコ

2014-09-27 02:47:45
堀井とき @toki_holy

お題2「世界は三角形で出来ている」 トミノ作品において、特にガンダムにおいて、単純な勢力図は無い。必ず終盤は三つ巴になる。連邦とジオンとシャア、エゥーゴとティターンズとアクシズ、又はグレミートト。∀は異常なまでに敵味方の勢力図が入れ替わり、その都度三角形が描かれている。 #gレコ

2014-09-27 02:50:21
堀井とき @toki_holy

しかし、これは何も勢力図のような大きな話だけでなく、もっと小さい、1つのシーンの中であっても三角形である場合が多いのが特徴だ。Gレコ冒頭でも、Gセリフを海賊とキャピタルガードの両方が取り合う三角形から始まる。実習では教官と生徒とチアガールの三角形、さらにラライヤも。 #gレコ

2014-09-27 02:52:31
堀井とき @toki_holy

1stは戦闘では3機で出るし、敵にキャラがいれば1人抜いて三角形を作る。Zでもカミーユとクワトロの間には常に女性がいたし、ヒロイン役もファとフォウで三角形。これはちょっとした会話でも徹底されていて、例えばF91のシーブックとビルギットの会話もその前段階で三角形を作ってる #gレコ

2014-09-27 02:57:41
堀井とき @toki_holy

これは、1対1の会話というのは結局のところ、自分か相手の語りにしかならず、背景や広い視点を描くには、3人以上で会話させた方がいい、という理由なのだと思う。逆シャアでアムロとシャアが掴み合いをしている中にクェスが飛び込むのも、単純な「お前が悪い」を逸らす意味がある。 #gレコ

2014-09-27 02:59:59
堀井とき @toki_holy

これは作家性なのだと思うけど、個人を描くことにあまり意味を感じず、個人を通して世界を描くことにこそ意味があるという信念により、軸を固定しない見せ方として三角形が用いられるのではないか。1stはアムロの成長物語というより、アムロが世界を知っていく物語だ。 #gレコ

2014-09-27 03:03:21
堀井とき @toki_holy

お題3「語り部論で見るトミノという物語」 ガンダムシリーズの主人公は、当然、ガンダムに乗るキャラクターだ。当然、そこを中心に物語は動いていく。では、そうした主人公が「決める」立場にあるかというとそうじゃない。アバウアクーへの侵攻は連邦の首脳部が決めるし勝敗もそう。 #gレコ

2014-09-27 03:07:13
堀井とき @toki_holy

実際の所、単純に言ってラスボスであるギレンはキシリアに殺されるし、そのキシリアもシャアに殺され、なんと主人公であるアムロはこれらを知りもしないw アムロが居なくても、戦争はやがて勝つだろう。だから、アムロは語り部でいられる。 #gレコ

2014-09-27 03:09:07
堀井とき @toki_holy

物語を終わる時というのは、誰かしらが幕を閉じないといけない。幕を閉じるキャラクターは、必然とその物語がどういうものであったか語る事になる。そこで、決定権を持つプレイヤーが語ってしまうと、それは自画自賛となり物語が矮小化してしまう。オレがんばった、なんて聞きたくないのだ。 #gレコ

2014-09-27 03:11:00
堀井とき @toki_holy

ちなみに、Zガンダムだけは、カミーユがギリギリのラインで決定権を持ってしまい、語り部から降ろされているw TV版の最後はアレだし、劇場版でも最後には何も語らせてもらえない。この語り部が徹底されたのが∀で、ロランは主人公でありつつ、物語の中心はディアナ様とキエルさんで動く #gレコ

2014-09-27 03:15:16
堀井とき @toki_holy

「主人公を語り部にする」というのは、本来は邪道だと思う。まずもって主人公の成長物語にはならないし、主人公とは関係のない所で大きな物語が始まって終わってしまうというのも、物足りないと感じる人もいるだろう。しかし、だ。そもそも世界とはそういうものではないだろうか。 #gレコ

2014-09-27 03:17:26
堀井とき @toki_holy

世界は主人公を中心に回るわけではない。世界の中では誰しもが等価値で、ただの住人に過ぎない。物語を語るうえで、その中からたまたま中心に据えられたのが主人公というだけだ。ちょっと視点を変えれば、脇役であろうと彼の中では自分が主人公だと言える、それが世界ではないのか。 #gレコ

2014-09-27 03:19:33
堀井とき @toki_holy

2でも言ってきたように、トミノ作品はいつだって世界を描く作品だ。であるから、主人公は語り部であるのが望ましい。物語の中心(世界の中心ではない)にあって、見聞きしたことで、その世界をどう認識したか。それを視聴者に伝えるのが語り部だからだ。 #gレコ

2014-09-27 03:23:40
堀井とき @toki_holy

世界とはそこにそうしてあるものではなく、そこに生きる人達の認識によって形作られる。自分の見ている世界と、他の人の見えている世界が違うなんて事は当前だ。なら、語り部はより多くの人が語る「それぞれの自分の世界」を聞き、総括するのが務めとなる。トミノ作品はそうして語られている #gレコ

2014-09-27 03:27:01
堀井とき @toki_holy

という訳で、この3つの点を意識して見れば、多少は理解しやすいんじゃないかと、そういう願いの元に書いてみた。何かもっと違う話を用意してた気もするが、まあ思ってたのと書き出したものが違うというのはよくある事なのでw

2014-09-27 03:30:30