FF6二次創作SS『鎮魂のアリア』4回目

今回は短めとなりましたが、ちょうどきりの良い所での切りとします。 前:http://togetter.com/li/715359 次:http://togetter.com/li/728464 第一回目:http://togetter.com/li/707429
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みなみ @minarudhia

今夜は鎮魂のアリアの続きをライブツイ予定!

2014-09-28 20:53:02
みなみ @minarudhia

togetter.com/li/707429 おさらいのため第一回目から。

2014-09-28 22:09:01
みなみ @minarudhia

というわけで開始します。

2014-09-28 22:12:20
みなみ @minarudhia

FF6二次創作:鎮魂のアリア (第四回目)

2014-09-28 22:12:42
みなみ @minarudhia

オペラ座を出た時にはすでに陽が傾き始めていた。 チョコボを走らせながらジドールへと帰って来たが、その間あの獣と再び遭い見えることはなかった。 アウザーの邸宅に戻った後、オペラで聞いたことを話すとアウザーはすぐに応えてくれた。

2014-09-28 22:14:37
みなみ @minarudhia

「スコット…わしもその名は覚えがないのう」 「そうですか」 「じゃが、この町でもゾゾの者を釣って使っている者はおる。自警団に働きかけて探りを入れてもらうとしよう」

2014-09-28 22:17:23
みなみ @minarudhia

アウザーがそう言った横で、リルムが椅子から立ち上がった。 「リルム、ちょっと買い物行ってくる」 「気を付けて行けよ」 「うん」 すぐにトタトタと外へ向かうリルムの後ろ姿を見送り、6人はすぐに話を続けた。

2014-09-28 22:19:54
みなみ @minarudhia

「それと話しておきたいのだが、先程、数日前にわしらを送ってくれたあの娘がやってきた」 「トンボが?」 「うむ。お前達がいないようなので、わしに伝手としてこれを託していきおった」

2014-09-28 22:22:13
みなみ @minarudhia

アウザーが一通の封筒を差し出す。 すぐにそれをロックが受け取り、中の便箋を取り出して広げた。 周囲の者がそれを見守る中、ロックの表情が険しいものに変わった。

2014-09-28 22:24:28
みなみ @minarudhia

「えーっと、この色とこの色…後――あっおじさん、この色の絵の具取って!」 「はいはい、お待ちを…ほら、お嬢さん、どうぞ」 「ありがと!」

2014-09-28 22:26:28
みなみ @minarudhia

毎度ありいと気前のいい店主の声を背に、リルムが道具屋を出た時には周囲はすっかり陽も落ち暗くなっていた。 アウザーの家まではだいぶ距離が離れているが、いつも行き慣れた道だ。 ラクシュミ…女神の絵を仕上げるため幾度となく通った道。 だからこそ。

2014-09-28 22:29:57
みなみ @minarudhia

油断したのだろう。 ふと感じた剣呑な気配にリルムが立ち止った時、道を数人の男達が塞ぐように出てきた。 皆一様に顔をフードやマスクで覆い、手にはナイフや小振りの剣を持っている。 何日も風呂に入っていないのか、鼻まで届く独特の悪臭にリルムは思わず鼻をふさいだ。

2014-09-28 22:32:48
みなみ @minarudhia

「動くな」 ドスの利いた声で一人が一歩動いた。 ――絵を実体化するピクトマンサーの力を失った今のリルムでは勝ち目がない。 慌てて後ろへ向きを変えようとすれば、そこにも似たような風貌の男が数人いた。

2014-09-28 22:36:12
みなみ @minarudhia

「な、なによ!」 リルムが強気に声を張り上げた。 「何よオッサン達!そこどいてくんない!?リルム、これから絵の仕上げに行くんだから…そこどいてよ!!」

2014-09-28 22:39:18
みなみ @minarudhia

そう啖呵を切ってはみるがそこは12、3歳の少女。 啖呵を切ったのがマッシュのような屈強な男なら反応はあるだろうが、か弱い少女のそれに男達は冷酷な眼差しで返しじりじりと距離を詰めてきた。 (くっそぅ…!…こいつらなんかボコボコにしてやるのに!)

2014-09-28 22:42:30
みなみ @minarudhia

絵の具の入った買い物袋を抱えた状態で背中に感じる壁の冷たい感触。 眼を閉じても、男達の気配と臭いは近づいてくる… 「!?」 「誰だ貴様!?」

2014-09-28 22:46:42
みなみ @minarudhia

かすかな風を感じ、すぐ傍に“誰か”を感じる。 狼狽や戸惑いを含む男達の声に眼を開けると、黒いフードとローブの人物がリルムのすぐ傍で立ち上がるところだった。 顔は見えないが、立ち上がると180cmとかなりの長身である。

2014-09-28 22:49:00
みなみ @minarudhia

(何この人!?) そう思った時。 ローブの人物は眼にもとまらぬ速さで脇のリルムに腕を伸ばし、その身体を捉えた。 「!?」 「待て!?」

2014-09-28 22:51:06
みなみ @minarudhia

男達が一斉に切りかかるのと、謎の人物がリルムを抱えてすぐ跳躍したのが同時。 買い物袋を抱える腕に思わず力が入る。 地面はみるみると離れ、そして屋根からも離れていく。 「な、ななななな…なにこれぇ!?」

2014-09-28 22:54:43
みなみ @minarudhia

慌てるリルムに対し、謎の人物は何も答えない。 屋根よりさらに数mほど高く上昇した後、人物は少し身を低く傾けて宙を“飛ぶ”。 ここまで高みへ運ばれてはリルムにはどうすることもできない。 謎の人物はフードの裾をはためかせ、かすかな音しかさせずに宙を駆けているのだ。

2014-09-28 22:57:49
みなみ @minarudhia

「ちょっと、あんた誰!?誰よ!?下ろして!下ろせー!」 そう叫ぶしかない。 しかしフードを目深にかぶり、素顔を見せないその頭はちらりとリルムに向いただけでさらに加速するように足を蹴りだす。

2014-09-28 23:00:30
みなみ @minarudhia

その足は裸足でしなやかで濡れ光るように白い。 風に乗りながらアウザーの屋敷の前にある階段の前に降り立ち、そこでリルムは放された。 「…っ」

2014-09-28 23:03:56
みなみ @minarudhia

かすかな風を巻き起こしながら着地した人物に解放され、リルムは振り向きざままじまじと見た。 人物は何も言わず、また跳躍する。 リルムに背を向けたまま、その姿は夜の闇に溶けて消えていった。 「なによ…あいつ…」

2014-09-28 23:05:48
みなみ @minarudhia

ぽかんとしながら、リルムがやっと口を開く。 あまりにも唐突すぎて、どう口から物を言えばいいのかわからない。 その時、彼女に声をかける者がいた。 「リルム!」

2014-09-28 23:09:26