「提督、お茶を淹れましたよ……提督?」湯呑みが床で砕け、鳳翔の悲鳴が鎮守府に響き渡る。提督を殺したのは誰か? 犯人はなぜ提督を殺したのか? 響の透徹した視線が、そして口元に笑みを絶やさない時雨の饒舌が謎を解き明かす! 艦これ×ミステリ、ここに開幕!
2014-09-25 23:12:50あ、響ちゃんも時雨ちゃんも第三者くささというか客観視していそうな感じがすごくあるんだ。だから探偵役とかしっくりくるのかな……。
2014-09-25 23:15:31@sachihara_neko モノや人の外面を見ている響ちゃんと、内面へ踏み込む時雨ちゃんみたいな対比ができれば面白いかなー、と。
2014-09-25 23:18:13同じ場面に立ち会っても、二人の見ているものが全く違ったらいいよね。犯人候補の艦娘と話した後で、響は「彼女の部屋にあってはならないもの」を見つけ、時雨は「彼女が言うはずのないこと」に気付くの。
2014-09-25 23:22:59@Kaigoat 響と時雨は容疑者を訪ね歩き、可能性を一つずつ潰していく。加賀と金剛との三角関係の線は消え、新たにある人物の名が浮かび上がる――灰鉄蝸――殺された提督の盟友だった男。丸眼鏡に笑顔を絶やさず、飄々とした態度を崩さぬ彼に、響と時雨はなにを見い出すのか。
2014-09-25 23:35:33@Kaigoat 帝国海軍御用達の丸眼鏡、黄色人種特有のアルカイックスマイル。どこかの作品の主人公を参考にした? そんな事実はありませんとも、ええ、ありません。
2014-09-25 23:39:54@Kaigoat 「彼が死ななければならなかった理由を聞きたいかい?」気の利いた小話でも始めそうな軽薄な笑み。「もっとも、それを知ったら君たちも……いや、君たち艦娘ならなおのこと、生きてはいられなくなるだろうけどね」そんな脅しめいた言葉に、響と時雨が怯むはずもない。……みたいな?
2014-09-26 00:01:28@Kaigoat それまで話をしていた響が、黙って時雨に受話器を差し出す。ただでさえ感情の読めない相手、加えて電話越しでは自分よりも時雨の方が適任と判断したからだ。時雨も静かに笑むと何も聞かずに受話器を受け取る。「いいよ。ぼくが聞こう」「その声は時雨くんだね?」……みたいな!
2014-09-26 00:11:05@izutis 時雨は聞き入る。否、話者の心を仮組みして。理解する、思考の筋道を。「――だから、君たちは手遅れになるしかなかった」恐ろしいほど残酷で、救いようのない答え――それを示唆する最後の一押し。時雨は、響へ筆記で伝える【今すぐ身柄を確保】これ以上、骸を増やさないために
2014-09-26 00:15:28@Kaigoat 響の反応は迅速そのものだ。電話口の相手に気取られぬよう、窓の桟に足をかけて鎮守府の裏に降り立つ。事ここに至っては増援の要請も不可能。しかし電話をかけてきたタイミングから、彼がそう遠くない場所にいることは明らかだ。事態に決着をつけるべく、猫のごとく静かに歩む。
2014-09-26 00:25:25@izutis 「いい雨だね」「……」一呼吸の沈黙。その静寂を答えにしたかのように、時雨は言葉を紡ぎ出す。「雨はいつか、やむさ。どんなに必要とされていても、いつか、必要じゃなくなる。〇〇〇の降らせた悲しい雨は、打ち止めにしなきゃいけない」窓から、生ぬるい夏の雨のにおい。
2014-09-26 00:33:10@Kaigoat ぽつり。一筋の雨が響の白肌を濡らす。「いい雨だね」時雨ならそう言うことだろう。事実、響にとっては恵みの雨だった。雨は彼女の気配を殺してくれる。飄々とした優男に見せかけてはいるが、一度だけ目にしたあの男の身のこなしは尋常ではなかった。勝負は一瞬で決めねばならない。
2014-09-26 00:38:47@izutis 響には、時雨のような感傷はない。頬を塗らす雨滴に、少女の涙が混ざることはない。そう、飲み干せぬ悲しみはない。足を止める理由など、現実のままならない理不尽だけでよかった。相手はプロだ。ならば響にも、立ち回りの予想は付く。ここにいるのは、血のにおいがする人間だけだ。
2014-09-26 00:45:41@Kaigoat 「ん……時雨くん、大人をからかってはいけないな」それまで時雨の言葉に黙って耳を傾けていた男が、含み笑うような気配と共に遮る。「会話を引き延ばそうとしているね? 狙いはなにかな……ところで、響くんと話をしたいのだが?」バレている。時雨の背筋に冷や汗が伝う。
2014-09-26 00:52:26@izutis 猶予はなかった。万全の状態で迎撃されれば、響とて危ういはずだ。考える――響にはできないこと/時雨には出来ること。それは駆け引きではない。「そうやって、今回も、後悔するつもりかい。ぼくにはわかっている――あなたは臆病だ」言葉は、人を傷つけられると知っていた
2014-09-26 01:03:19@Kaigoat 沈黙。だが息遣いは感じる。会話を続けること、続けずにはいられなくさせること。それこそが時雨の戦いだ。口元には笑みが戻り、相手の動揺を誘うための言葉が的確に紡がれていく。そうして、ほとんど無意識の内に喋りながらも、銀髪を雨に濡らしひた走る相棒を時雨は幻視する。
2014-09-26 01:11:17@izutis ひた走る。雨音に足音は隠れ、銀の雫が幾重にも重なる視界。響には、おおよその事情はわかる。だが、そこにある人の情念の熱は共感できなかった。何故だ、何故――くだらない死ばかり増やせる。ようやく、目標の建物を見つける。雨に濡れず、雨音だけが聞こえる場所「終わりだよ」
2014-09-26 01:21:24