なぜ今ヘイトスピーチ規制が必要とされるのか―金明秀さんのツイートから
- gurugurian
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@han_org このツイートとは関係ないんですが、質問させてください!バカバカしかったり面倒であれば無視していただいて結構です。
2014-10-01 16:04:02@han_org ヘイトスピーチ規制について、現行法で動かない警察がおかしいのであって、取り締まる法律が無いわけではありません それでもなお新しく制度を作ろうとするのは何故ですか? ヘイトスピーチ規制を新しく作るのではなく、警察が動かないことを問題視するべきではないのですか?
2014-10-01 16:05:46@han_org 世界各国にヘイトスピーチ規制法がある、という反論は同じような手法で日本に軍隊を作る理由にもできますし成り立たないと思われます また、ヘイトスピーチ規制のデメリットとして、在特会全体を指す糾弾がしづらくなるということも考えられます
2014-10-01 16:10:54.@makuwo_kun 「ヘイトスピーチ」と一括りにしてしまうと、ご指摘のような混乱からなかなか抜け出せなくなります。以下、@を付けずに話を続けます。
2014-10-01 16:29:47いろいろな整理の様式がありますが、ここでは(1)ヘイトクライムとヘイトスピーチを分ける、(2)具体的な個人や法人をターゲットにしたものと、特定の民族や属性を持つ不特定多数をターゲットにしたものを分ける、という形で議論を紹介していきます。
2014-10-01 16:30:48まず(1)から。ヘイトスピーチと一口に言っても、中には名誉毀損や脅迫、業務妨害のようなものも含まれます。これらはヘイトクライムというべきものであって、確かに現行の刑法でも、警察、検察に態度の変化があれば対応は不可能ではありません。
2014-10-01 16:34:23しかし、ヘイトクライムというべき犯罪行為についても、現在までのところ立件された事例はほとんど存在しません。京都朝鮮学校襲撃事件などいくつか例外的に立件された事件はありますが、それも告訴状の受け取りを拒否されたり、長期間にわたって捜査が放置されたりするなど、抵抗は小さくありません。
2014-10-01 16:37:48とりわけ名誉棄損罪については過去の刑事裁判の判例が厳しいこともあり、犯罪の構成要件がすべてそろっていると思われるケースですら、検察はなかなか動こうとしません。そうした現状を踏まえると、実質的に、刑法によるヘイトクライムに対する抑止効果は皆無であるといって構いません。
2014-10-01 16:40:39それに対して、民事訴訟ではヘイトクライムに対してそれなりに有効な判決が出ています。京都朝鮮学校襲撃事件に関する地裁と高裁の判決ですね。しかしながら、これにもいくつかの問題があります。
2014-10-01 16:43:26第一に、あくまで名誉毀損などが不法行為として問われただけであって、人種的差別そのものが賠償の対象になったわけではないこと。京都事件では人種的差別であるということで賠償金額が加算されましたが、日本では国際人権規約や人種差別撤廃条約を直接的に適用した判例はほとんどありません。
2014-10-01 16:50:02第二に、京都朝鮮第一初級学校という具体的な法人が被害にあったため不法行為に問えただけであって、不特定多数のコリアンが被害にあった場合にそれを罰する法は存在しません。それをやるには新たな立法が必要だと京都事件の地裁判決にも明記されています。
2014-10-01 16:53:36第三に、民事訴訟は原告側(被害を受けた側)に時間的、経済的、心理的な負担が多いということです。経済的負担からいうと、ぼくの知人の弁護士たちは30万円あれば受任するといってくれていますが、小倉弁護士に言わせると「150万円もらってもビジネスとしてはペイしない」と。
2014-10-01 16:56:14逆にいえば、最低でも被害者側が30万円程度の資金を用意しなければ始まらないということです。また、心理的な負担ということでいえば、李信恵さんが提訴した後、すさまじい数のヘイトスピーチが寄せられたことをみればわかるでしょう。二次被害に長期間にわたって付き合い続けなければならない。
2014-10-01 16:59:15そうした負担に耐えられる条件のそろっている被害者は、被害全体の中ではあまりにも少数です。したがって、民事訴訟も、実質的にはヘイトクライムを抑止する効果があまり高くはありません。また、二次被害の大きさを考えると、かりに有利な判決が出たとしても、救済になるとはかならずしもいえない。
2014-10-01 17:01:58ということで、ヘイトクライムに限定しても、実質的には既存の法はあまり役には立たないということになります。警察、検察、裁判所の態度を修正するためにも、また被害者の救済のためにも、ちゃんと差別を包括的に禁じる国内法と人権擁護機関を整備すべきだといえます。
2014-10-01 17:04:09以上はヘイトクライムの話ですが、既存の法には引っかからない言論(ヘイトスピーチ)となると、さらにやっかいです。例えば政治家が「朝鮮人は寄生虫だ。日本から叩き出せ。出ていかないやつは皆殺しにしろ」などと差別扇動を行ったとしても、それを法的に罰することは現時点ではできません。
2014-10-01 17:07:00しかし、この種の差別扇動は単なる言論にとどまらず、実際にマイノリティの生存に脅威をもたらします。就職差別を誘発して困窮に陥らせたり、脅迫を誘発して安寧な生活を破壊したりと、生存の可能性そのものを低下させるわけです。
2014-10-01 17:10:47そのため、人種差別撤廃条約などではヘイトスピーチを禁じる法整備を締約国に義務付けているわけです。以上が(1)の問題。次に(2)について。
2014-10-01 17:12:44民事訴訟の第二の問題としても書きましたが、既存の法は特定の個人や法人が具体的な被害にあったり損害を受けた場合にしか適用できません。「朝鮮人は寄生虫だ。日本から叩き出せ。出ていかないやつは皆殺しにしろ」みたいにターゲットを民族集団までしか特定しないヘイトスピーチは問題化できません。
2014-10-01 17:17:41京都事件の地裁判決に言わせると、「一定の集団に属する人種差別発言が行われた場合に個人に具体的な損害が生じていないにもかかわらず、人種差別行為が行われたというだけで、裁判所が、当該行為を民法709条の不法行為に該当するものと解釈し(続)」
2014-10-01 17:19:53「(承前)行為者に対し一定の集団に対する者への賠償金の支払いを命ずることは、不法行為に関する民法の解釈を逸脱しているといわざるを得ず、新たな立法なしに行うことはできないものと解される」と。
2014-10-01 17:20:22ヘイトスピーチを受ける側としては、不特定多数の「朝鮮人」として攻撃を受けた場合でも、特定の「金明秀」として攻撃を受けた場合でも、程度の差はあれ、被害を受けたということに変わりはないのですが、既存の法は後者にしか対応できないわけです。
2014-10-01 17:22:52ということで、具体的な個人を名指しするようなケース以外でもヘイトスピーチを抑止するためには、新たな立法が必要だということになります。 ただし、立法といっても、罰則を伴わない基本法のようなものから刑法までいろんな可能性があります。じっくり議論することが重要でしょう。以上です。
2014-10-01 17:26:54