ドボク鎮守府 ~おくりぶね~ 陸奥編 其の一

戦艦陸奥と原子力船むつのIF物語。 この世界では船魂は輪廻転生するのじゃ。 ドボク鎮守府 建設工事共同企業体【総まとめ】 - http://togetter.com/li/719947
2
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

原子力が人の意思を汲み取るというのなら…。 《むつ》でえ救えますよ! 私は諦めません。 何の為に柱島沖から船魂を引き揚げたのです? 彼女を無事に原子の力で幸せにしてやります。 その為のドボクです」 (1970年 原子力船むつ連絡協議会 会議にて 起重機船長門) #ドボク鎮守府

2015-01-23 14:34:34

*

まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

提督「陸奥よ、おまえと私が会ったのは何度目だったかな…」 提督が北海道名物の飲料カツゲンを啜りながら陸奥に尋ねる。 今日は陸奥が秘書艦だった。 陸奥「3度目ね…」 提督「一回目は呉の工廠で」 陸奥「その次は… 東京の…イシカワハリマー造船所…ね」 #ドボク鎮守府

2014-10-02 19:46:04
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

1969年 東京の豊洲にかつてあったイシカワハリマー造船所にて原子力船「むつ」の進水式が行われていた。 「この子が”アトム”の魂を持つ『陸奥』ですか…」 「正式には魂はまだ入魂されていません、原子炉を入れるのはまだ大湊へ回航してからに…」 #ドボク鎮守府

2014-10-02 19:56:46
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

造船所の構内で会話している2隻の船娘がいた。 それぞれ400t起重機船「三光」東京都港湾局浚渫船「榛名」。 2隻とも『船魂』のサルべージに深く関わる船娘である。 #ドボク鎮守府

2014-10-02 20:00:28
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

榛名「私もあなたに魂をサルべージされて、まさか浚渫船になるとはおもってもませんでしたよ…。帝都、いや東京の港の『お掃除』をする事になるとは」 三光「私はタダの起重機船だ。宮内庁の【艦魂保存院】の下儲けでサルべージしているに過ぎんよ」 榛名「魂は輪廻する…ですか」 #ドボク鎮守府

2014-10-02 20:06:28
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

東京都港湾局浚渫船「榛名」 戦後最大のバケット式浚渫船である…。 まるで山にように聳える連続バケットで港に溜まった土砂を掻き出し浚渫を行う。黒い煙突には白地の東京都章が書かれていた。 戦後約20年、ひたすら東京港の浚渫を続け大型船が入港できるようになったのだ。 #ドボク鎮守府

2014-10-02 20:15:09
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

彼女もまた船魂の輪廻をたどっている船娘である…。 前世は帝国海軍の高速戦艦。戦後に榛名の解体をしたのが起重機船「三光」。 そして戦う船から働く船へ彼女の船魂を移したのも三光だった。 #ドボク鎮守府

2014-10-02 20:18:36
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

船魂保存院』 いつか深海から来るべき厄災に備える為に創設された宮内庁・第三復員庁の共同組織。 大戦に関わり沈んだ数多の船魂を軍官民問わず救済する。 陛下の密命により創始され、進駐軍や反軍勢力から隠しつつ、各地の神社等に密かに船魂を保存する計画を取り仕切る。 #ドボク鎮守府

2014-10-02 20:28:00
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

三光「で、榛名はなんでココの造船所に?」 榛名「私の本格的な入渠はここですから、海岸通りの方に港湾局の工場はありますが船娘ドックはここしかないので」 三光「で、こんな小さい子連れてるのか…」 榛名の脇には小さな曳船がいた。 #ドボク鎮守府

2014-10-02 20:34:47
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

あかつき丸「小さいとは何よ!べらぼうめぇ!立派な一人前の曳船として扱ってくれっ!!」 榛名「なんだか昔、何処かであったような曳船娘なんですよ。でもこの子のお陰で作業現場まで移動できるから助かってます」 三光「江戸っ子曳船!そういうのもあるのか!」(ジュルリ #ドボク鎮守府

2014-10-02 20:43:25
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

あかつき丸「おめぇさんクレーン船なの?」 三光「そうだよ~、かわぃいねぇ~お姉さんと一緒に呉まで牡蠣食いに行かな~い?」 あかつき丸「ウインチをなでなでするんじゃねぇ!もう駆逐艦じゃねぇって言ってるでしょ!」 三光「江戸っ子曳船キャワワww お持ち帰りしたい!」 #ドボク鎮守府

2014-10-02 20:50:57
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

榛名「時々、この子は前世の記憶が蘇るみたいで…。あとナンパというか引き抜きは止めてください…」 三光「いいなぁ~、こんな可愛い曳船とラブラブチュッチュッできる榛名ちゃんいいなぁ~ 百合百合浚渫ライフ~」 榛名(バケットを振りかざす) ガコン! 静かになった #ドボク鎮守府

2014-10-02 20:54:50
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

あかつき丸「この変態起重機船何者なんでい!?」 榛名「…色々と昔からお世話になっている海軍崩れの方ですよ」 #ドボク鎮守府

2014-10-02 20:55:43
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

三光「よし、そろそろ『むつ』の進水する時間だな」 あかつき丸「あら、もう復活したの?はっやいねぇ~おめぇさん。」 榛名「この人、頑丈なのが取り柄ですから」 三光「むっちゃんが運河に浮かんだら汽笛を鳴らすんだぜ。それが船達の祝いの歓声だからな」 #ドボク鎮守府

2014-10-02 22:30:43
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

「支綱切断」アナウンスが入ると音楽隊の『軍艦マーチ』の合奏が始まる。 皇族や総理大臣まで出席している大変豪華な進水式である。 日本初の原子力船「むつ」の船出だ。 #ドボク鎮守府

2014-10-02 22:44:51
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

支綱を切ってシャンパンを船首にぶつけてると『むつ』がガラガラとドライドックから動き出す。 くす玉が割れ、鳩が飛びたち、紙テープの花が咲き紙吹雪が舞う。 運河の水面が泡立ち、飛沫が上がって… 『むつ』は東京湾に浮かんだ。 #ドボク鎮守府

2014-10-02 22:48:49
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

東京港じゅうの曳船、近くのセメント会社に荷を卸に来たセメント運搬船に消防庁の消防艇、起重機船三光と浚渫船榛名に、あかつき丸も みんな同じフネとして仲間の新しいフネの誕生を祝う汽笛を鳴らした。 #ドボク鎮守府

2014-10-02 22:52:03
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

三光「しかし皇族の方まで進水式にお見えになるとは…」 榛名「日本初の原子力船ですからね、それは盛大に祝いますよ」 三光「よくここまでの船を造れるほど復興したものだ」 榛名「貴方がたのサルべージ作業のお陰ですよ」 三光「私はタダ、言われた通りに仕事しただけだよ」 #ドボク鎮守府

2014-10-02 22:58:03
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

三光「今度、山口の桂島沖に沈んでいる方の陸奥も引き揚げなきゃならん…」 榛名「本当ですか!?」 三光「起重機船で生まれ変わった長門が居るんだよ、彼女ならサルべージに適任だろう」 榛名「そうすると『むつ』の船魂は…」 #ドボク鎮守府

2014-10-02 23:01:50
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

三光「船魂の移転作業も並行して進める。戦艦から原子力船への前代未聞の船魂の転移だが、まぁ大丈夫。国内の造船メーカー、遺族会も協力してくれるのは確約だ。」 榛名「よくそこまで…一体どんな手を」 #ドボク鎮守府

2014-10-02 23:05:30
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

三光「私はな?戦後の軍艦解撤作業の時、元海軍の船だから海軍解体後に大蔵省の”財産”になったんだ。その時に政経済界にちょいとコネ作りまくったのさ。 解体を請け負った時に居た会社が播磨造船で、今や重工業の大手のイシカワハリマー重工だ。産業界も知り合いがいるしな。」 #ドボク鎮守府

2014-10-02 23:08:51
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

三光「あの戦争が起きたのも負けたのも貧しかったからだ。だから国を強くするにゃぁ産業復興だよ。 私も広島に帰ったら造船所で貨物船達を造って、工場で造られた工業用プラントを艀に水切りしなきゃならん。」 #ドボク鎮守府

2014-10-02 23:14:54
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

榛名「榛名も東京港の為に頑張ります」 三光「インフラの強化こそ勝利だからな。お互い頑張ろう」 #ドボク鎮守府

2014-10-02 23:15:28
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

??「よっしゃよっしょwww遂に原子炉入れる日がきたでwww」 だれ…この声? なんか聞いた覚えが… ??「ほ~い、入れるぞ!」 ??「そちらの索、もうちょい張ってください」 #ドボク鎮守府

2014-10-02 23:40:14