アラビア語圏のミステリー小説!
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(1)英語に翻訳された最初のアラビア語探偵小説
[【毎月更新】非英語圏ミステリー賞あ・ら・かると]「非英仏語圏ミステリベスト100」結果発表!(その1)(執筆者・松川良宏) d.hatena.ne.jp/honyakumystery…
2014-10-03 09:12:11今日のシンジケート @Honyaku_Mystery の記事に、アラビア語でミステリを書いている作家もいると書きましたが、たとえばこれ amazon.co.jp/dp/B00GRVFGJ6 は「英語に翻訳された最初のアラビア語探偵小説」。原書レビューコーナーで扱ってくれないかなあ。
2014-10-03 22:45:22- 上のツイートでリンクを貼っているのは『The Final Bet』。アラビア語の原著は2001年に刊行されているようである。英訳版は2008年刊行。
- 作者のAbdelilah Hamdouchiはアフリカの北西端・モロッコの小説家、シナリオライター。
- アマゾンの紹介文に「the first Arabic detective novel to be translated into English」とあったので「探偵小説」と直訳してしまったが、捜査を担当するのは警察のようなので、現代の語感では「警察小説」、「ミステリー小説」とした方が正確かもしれない。
(2)中東でミステリーの人気が再燃!(英『ガーディアン』紙、2014年10月3日)
ちょうど今日の英『ガーディアン』紙に「アラブのフーダニット : 中東でミステリーの人気再燃」という記事が。なんでも中東では現在「ネオ・ノワール革命」とでもいうべきミステリーの波が来ているのだとか。 theguardian.com/books/2014/oct… @Honyaku_Mystery
2014-10-04 00:17:11この『ガーディアン』紙の記事によれば、中東では以前からミステリー小説が民衆の間で親しまれていて、アガサ・クリスティーのアラビア語訳やアラビア語作家の作品が読まれていたが、それは無教養な人たちの読み物とされていた。
2014-10-04 00:18:01ところが2011年の「アラブの春」以降、社会批評を行うための1つの手段としてミステリー小説が注目されることになり、現在の人気につながったらしい。小説だけでなく映画やコミックでもミステリーが人気だとのこと。
2014-10-04 00:18:30ドイツ語圏ではヘニング・マンケルが翻訳されたことでミステリー小説の地位が向上した(読んでいても恥ずかしくないものになった)と聞いたことがあるけど、アラブでもそれが起こったということか。
2014-10-04 00:19:11- スウェーデンのミステリー作家ヘニング・マンケルがドイツ語圏において果たした役割については、マライ・メントラインさんの連載エッセイ「マライ・de・ミステリ」の第2回「黒船」は極北の地から!(2012-03-05)などを参照のこと。
(3)エジプトのミステリー作家、アフメド・ムラッド
引き続き、英『ガーディアン』紙の同じ記事より
記事によれば、エジプトのアラビア語作家、Ahmed Mourad(1978年生まれ)が2012年に発表したミステリー小説『The Blue Elephant』はベストセラーとなり、エジプトで映画化されて現在公開中。この小説、まだ英訳などは出ていない。
2014-10-04 00:19:47エジプトのアラビア語作家でベストセラー・ミステリー作家のAhmed Mourad(1978年生まれ)の2007年の作品、『Vertigo』(めまい)も英訳が出ていました。 amazon.co.jp/dp/B007EMV82Q @Honyaku_Mystery
2014-10-04 00:29:18@Colorless_Ideas 紹介ありがとうございます!興味津々です。少し前ですがこんな記事も。同じ人の書いた記事で、お読みになったかもしれませんが。theparisreview.org/blog/2014/08/2… 具体的な作品名がいくつか挙がっていて、読んでみたいと思っていたところでした。
2014-10-04 00:34:39@miho_hh この記事は知りませんでした! ありがとうございます。英文読解に自身がある訳でもないので(汗)、先ほどの記事紹介についても、おかしなところがあれば指摘していただけるとうれしいです。
2014-10-04 00:37:30(4)エジプト・ミステリー史
翻訳家のヘレンハルメ美穂さんに教えていただいた記事「The Case of the Arabic Noirs」より。米国の季刊文芸誌『パリス・レビュー』のサイトに2014年8月20日掲載。執筆者は先ほどの『ガーディアン』紙の記事と同じ、Jonathan Guyer。
昨日、ヘレンハルメ美穂さんに教えていただいた記事「The Case of the Arabic Noirs」(2014-08-20) theparisreview.org/blog/2014/08/2… 。エジプトのミステリーの歴史がざっと紹介されている。
2014-10-04 19:35:08この記事によれば、1890年代から1960年代まで、エジプトは探偵小説の無許可翻訳の「黄金時代」だった。英米仏の作品が無許可で大量にアラビア語に翻訳されていた。(エジプト人作家によるオリジナル物もあった)
2014-10-04 19:36:00しかし1970年代になると次第にSFや西部物、スパイ物の方が人気になって、探偵小説人気はやや低調になった。
2014-10-04 19:37:08エジプト人作家の作品で挙げられているのが、タウフィーク・アル・ハキーム(1898-1987)が1937年(?)に発表したアラビア語小説『田舎検事の手記』(英訳題 Diary of a Country Prosecutor)。自伝的小説でもあり、ハードボイルド小説でもあるという。
2014-10-04 19:38:06- 記事中では『Diary of a Country Prosecutor』は1947年の作品とされているが、これは英訳が出た年のようである。
- 『田舎検事の手記』(アラビア語版Wikipedia)
タウフィーク・アル・ハキームの自伝的ハードボイルド小説『田舎検事の手記』(1937?)はイギリス流の法制度にシニカルな態度をとる検事が主人公で、外国からもたらされた法制度がエジプトでは無力であることを描いた諷刺的な作品だそうだ。
2014-10-04 19:40:34この『田舎検事の手記』、驚いたことに邦訳がある。堀内勝訳、アジア経済研究所《中東総合研究資料 no.2》、1975年。もし本当に「ハードボイルド小説」といえる作品なら、現在のところ唯一のアラビア語ミステリーの邦訳といえるのでは。
2014-10-04 19:41:42