目覚まし時計のアラームが鳴る前に、メール受信音が耳に届いた。 うっすらと目を開けると、カーテンの向こうはまだ薄暗い。 スマートフォンに手を伸ばして、通知を示す青い点滅を確認した。
2014-10-02 22:47:142014/10/2 05:05 To 藤堂 平助 件名 Fw:学校休む 本文 >[ ‘ω’ ] 平助、これはどういう意味があるのだ。
2014-10-02 22:49:25学校に行く前のランニングは日課であり、 恐らく総司もこの時間に自然と目が覚めたのだろう。 俺はベッドから抜け、寝癖の有無を確認すべく髪を撫でながら、洗面所に向かう。
2014-10-02 22:49:49玄関から一歩踏み出すと、肌寒さでふるっと震えた。 季節の変わり目を、気温や、暗さ、明るさなどで感じるようになって、 走っている間に、いつの間にか、犬の散歩や自身の散歩などに出ている人の顔を覚える。
2014-10-02 22:50:51おはようと声をかけてくれる人もいる。 走りながら答えるので、聞こえていないかもしれないが、俺も挨拶を心がけている。
2014-10-02 22:51:04「おはよう、一くん!」 公園を横切っていると、平助が並走に加わる。 平助と何周か公園を周っているうちに、総司がやって来るのだが、 今朝のメールの様子では今日は来ないものと思われた。
2014-10-02 22:51:23「平助、今朝のメールの意味は……」 「メール?ごめん、気付いてなかった」 「そうか、ならいい。 総司は今日は来ない」 「あ、そういう連絡だったのか」
2014-10-02 22:51:50いや、違うのだが……。 無駄話をしていると息が乱れるので、 俺はそれ以上何も言わず、平助と二人で黙々と走り込んだ。
2014-10-02 22:52:04ランニングの後は、一旦自宅に戻ってシャワーを浴びてから朝食にする。 一息つく頃、時刻はちょうど七時になる。 俺は箸を置き、テーブルの隅に置いてあるスマートフォンに手を伸ばし、メールを作り始める。
2014-10-02 22:52:232014/10/02 07:02 From 千鶴 件名 おはようございます 本文 今日は斎藤さんの分のお弁当も作っていきますね♡
2014-10-02 22:53:022014/10/02 10:04 From 沖田 総司 To 千鶴,斎藤,藤堂平助 本文 晩ご飯一緒に食べよう。学校終わったら僕のうちに来て。 材料は用意しておくよ。
2014-10-02 22:53:53授業中に震えたスマートフォンを休み時間に確認すると、 総司からまたしてもあの妙な文字が届いていた。 本人に確認しようと決め、放課後を待って俺たちは三人で総司の家に向かった。
2014-10-02 22:54:15「お邪魔しまーす。総司ー、調子はどうなんだー?」 真っ先に玄関で靴を脱ぎながら、平助が上がっていく。 俺は千鶴を先に上がらせ、ドアを閉めた。
2014-10-02 22:54:34「いらっしゃーい。 千鶴ちゃん、早速で悪いけど手伝ってくれる?」 台所に立っていた総司は、体調が悪いようには見えなかったが、 千鶴がサポートに立つと、安心したようにテーブルの準備を始めた。
2014-10-02 22:55:10