丹生谷貴志ツイートまとめ(2014年9月)

丹生谷貴志さんの2014年9月のツイートをまとめました。
0
nibuya @cbfn

「サド特集」が届く。自分のものも含めて、サドの小説を「小説として」扱うことに欠けていること、少なくとも自分にかんして忸怩たる気分。まあ注文から二週間ではあの膨大な主要作品をじっと読み返す時間がなかったとはいえ、クロソウスキやらブランショやらに頼り過ぎた・・・

2014-09-01 01:39:09
nibuya @cbfn

後期のザッパが専らシンクラヴィアでの録音に集中していた時、もう生演奏によるギターは聴けないのかと聞かれ「もうバンドメンバーに楽譜を守らせる気分になれないし、今から指先をギター用に”硬化”させる時間はないだろう」と言う。一度断念したものを「再開」させるために必要になる基礎的迂回・・

2014-09-02 04:47:03
nibuya @cbfn

時おり「現代美術はどうなってるのか?」みたいな「昔の気分」になるのだが、今更その問いに必要な「基礎収集」を想像すると、時間はともかく資料への再投資(!)にゾッとして停止する。ケチ臭い話だが・・・

2014-09-02 04:53:51
nibuya @cbfn

「シミュラークルはファンタスムの産物ではない。そうではなくて、複製であり、その複製から出発して人間は”みずからを生産する”ことができるのだ。すなわち、このようにして毒を抜かれ馴致された衝動から出発して」。フランス思想嫌いには如何にも”おフランス”だろうが、これは決定的な明視だ・・

2014-09-03 02:04:46
nibuya @cbfn

因に先ほどのはクロソウスキー『ニーチェと悪循環』の一節。これを「理解」するには彼のファンタスム概念の、一見単純だが”難解な”特異性を把握しなければならない。例えば”個体化されたラカン的現実界”に似た何か、という矛盾した把握でいいか、或いは・・・

2014-09-03 02:11:15
nibuya @cbfn

或いはセザンヌが「モチーフを掴む」と如何にも単純にしかし奇妙な調子で言う時、その「モチーフ」という語は少なくともシミュラークルからその「向こう」へ弾け飛んだ上で・・・シミュラークルの縁に返還され・・・

2014-09-03 02:16:32
nibuya @cbfn

私は眼に血が滲むほどに見つめるとセザンヌが言うときそれは喩えではなく本当に彼の眼の毛細血管は血を滲ませた筈であり、その血管の感じ取れる肉感は何がしかファンタスムに近い・・・が、セザンヌの眼にしても「見る」のはシミュラークルに「過ぎない」のであって・・・

2014-09-03 02:34:24
nibuya @cbfn

ファンタスムに位相があるとしてそれは例えばハイデガー的な「存在論的差異」に似て非なるものであるだろう。存在論的差異は尚あまりに観念論的臭気を帯び、従ってシミュラークル的過ぎる・・・ファンタスムは「肉感」に「属し」、観念を結ばない・・・

2014-09-03 02:39:37
nibuya @cbfn

例えばいわゆる「アール・ブリュット」の「狂人」たちの大部分はシミュラークルの住人であってファンタスムの住人(!)ではない・・・アール・ブリュットに本質的と見える「退屈さ」の質について、考え込むこと・・・多分ルーセルは自分をシミュラークルの絶対的放射装置であると感じていた・・・

2014-09-03 02:52:00
nibuya @cbfn

現実界・想像界・象徴界といったラカンの図、これは装備として精神衛生に便利。日本人一般なんか知りませんどうも「日本人」の発話は本来象徴界に属すべき発話を想像界において話すとか、要はだらしない膠着話法が大部分なので、それに腹を立てない為にもラカン図式を頭に仮設しておくのは便利かも。

2014-09-03 12:07:58
nibuya @cbfn

言葉は本質的にシミュラークルに属するしかないわけだが、シミュラークルにだらしなく自足した言葉とファンタスムとの緊迫にある言葉とはかなりはっきりと異なる。もっとも、それを「分析」するとなれば一種の病跡学に似てしまう危険があり、退屈なものになる・・・

2014-09-03 12:17:22
nibuya @cbfn

ファンタスム相において「戯れ=賭け」をしていると思い込んで、実はシミュラークルの排泄物を玩弄しているに過ぎないという例は夥しい。特に「音・美系アーチスト系」にはその気配が濃厚。まあ彼らの錯誤は大部分すぐ見分けがつくし欺瞞度が低いとも言えて、文章ほどには腹が立たないだけいい。

2014-09-03 12:27:03
nibuya @cbfn

ベルグソンのプロチヌス講義を拾い読みしていたら、ローマでのプロチヌスの講義(教え?)に感動した皇帝ガッリエヌスが、ナポリ近郊で廃墟になっていた小都市を補修して「プラトノポリス」と名付けてプロチノスに寄贈しようとしたという記述。史実は知らない。何となく、なるほどね、と思う。

2014-09-03 12:46:46
nibuya @cbfn

別にベルグソンを読もうとしていた訳じゃありません。周知のようにベルグソンは自分が指定したリスト以外の著作や講義録等々の死後出版を遺言で禁じた。それらは守られることなく現に今僕はそれを手にしているわけですが、偽善と言われようと、僕はその「遺言違反」の文章を読むのに罪悪感があります。

2014-09-03 12:51:08
nibuya @cbfn

もっとも、ベルグソンの場合彼が死後出版を禁じた文書の大部分は生前に一度は公的に印刷された文書なのでどのみち出版されてしまうことはベルグソン自身分かっていたでしょう。研究者とパパラッチは追い払えない。手書き文書なら上田秋成みたいに井戸に投げ込むなり燃してしまうなりすりゃいいわけです

2014-09-03 13:15:27
nibuya @cbfn

生原稿を見てどうこうという趣味はないのですが例えば鴎外さんの原稿は意外に字が雑で軽く失望する、一方、例えば露伴さんの原稿は驚くほど繊細で奇麗で讀み易い筆文字、書く速度の「滑らかな遅さ」を感じますし、熊楠さんの文字は女性かと思うほど神経の奇麗な書き文字であることは以前も書きましたか

2014-09-03 19:16:26
nibuya @cbfn

ホームセンターでディランの『ライク・ア・ローリングストーン』のストリングス編曲が流れていた。この曲が大ヒットした60年代、当時としては異例の7分以上あるこの曲をジュークボックスでかけて踊っている子たちを見てザッパが「誰も歌詞なんか聞いちゃいない」と皮肉に言っていたのを思い出す。

2014-09-03 19:29:56
nibuya @cbfn

クセジュ文庫ジャン・ドゥロルムという人の『年表世界史』というので「年表史学」とでも言うべき専門分野があるのを知る。例えばプレイアード叢書に付く詩人やら年表が大方とても見事なのはそのせいかしらと思う。著者の思い入れが邪魔な半端な伝記を讀まされるよりよほど読み物としても気持ちがいい。

2014-09-03 22:21:17
nibuya @cbfn

「写真修正術の凄さ! 家族内では自分を妙齢の美女だと決めて、嘲けられようと聞く耳持たない母だが、写真の上ではじっさい若い妹に成りおおせるのだ!」ってな程度のつまんない文章を解読するのに三時間! ルーセルの『新アフリカの印象』。空しさに、今は讀む時期じゃない、と本棚にしまい込む。

2014-09-04 22:48:05
nibuya @cbfn

唐突ですが、大西巨人さんというと僕は十代の天才少年作家として登場した大西赤人さんの父親という、転倒した知り方をした世代で、『三種の神器』くらいまでは小説も批評文集も大体読んだ。短歌流れの字面感覚に辟易しても、ともかく孤高という語が真に相応しく、「大」を付けたくなる稀な小説家だった

2014-09-05 12:41:40
nibuya @cbfn

「私は自分の中に無しか見出しません。そこから自分を引き出そうと、私は出来るだけの場所を求めてすがりつく」と、18世紀の「教養」あるサロン夫人が書く時それが彼女の沈思の発話であったかは大いに疑える。と言うのもこの発話は当時の「サロンの会話」の流行の結果であった可能性があるからだ。

2014-09-06 20:36:51
nibuya @cbfn

クロソウスキの顔をしたドゥンス・スコトゥスがニーチェ髭をはやして天文観測をすると言ったような文がフーコーにあった。同じく(?)ルーセルの顔をしたモンテーニュが『ロクス・ソルス』風の『エセー』を書いている光景を想像することも可能だろう。その場合ボエシーは例えばアルトーの顔をしている

2014-09-08 01:59:14
nibuya @cbfn

・・・例えば「コレクター」と「芸術作品」との会話−−「君の値段は幾らだ?」「貴方が私に幾らなら払ってもいいかで価格はきまります。欲望の変動制で・・・」。”エロスの市場経済の遍在”・・・偽クロスフスキ・・・

2014-09-08 02:54:06
nibuya @cbfn

コルネイユの喜劇『メリト』の一節、「君は悲惨を装うことでいつも以上に雄弁になっているようだね。健康な証拠だよ」。

2014-09-08 02:57:52
nibuya @cbfn

ルーセつながりで(?)今頃ベルギー系プーレ『人間的時間の研究』など。ミンコフスキー風精神病理学的視点の文学論への応用。一種の「病跡学的文学論」。見事に「説得的な」デカルト論等、ここら辺は昔もっと真面目に読んどくべきだった・・・

2014-09-08 11:59:21