デストロイ・ザ・ショーギ・バスタード #4
(これまでのあらすじ:ソウカイヤが運営する違法賭博場に潜入を試みたナンシーは、ニンジャの胴元「マタドール」に捕らえられてしまった!ニンジャスレイヤーはナンシー救出のため、罠を覚悟で賭博場へと向かう!そして、マタドールとの命を賭けたアドバンスド・ショーギ一本勝負に臨むのであった!)
2014-10-05 14:00:27(過酷なショーギで脳にダメージを負うニンジャスレイヤー。このままでは人質救出はおろか悶死や狂死も免れ得まい!さらに内なるナラクは隙あらば彼の肉体を奪おうと試みる!四面楚歌の状況の中、ニンジャスレイヤーは一瞬の隙を突いてチャブ盤ごとマタドールを蹴り飛ばしナンシー解放!さあ戦いだ!)
2014-10-05 14:08:44「イヤーッ!」マタドールは四連続側転でニンジャスレイヤーのスリケン攻撃を回避すると、鮮やかな回転跳躍を決め、魔牛の背に跨がった!「殺せ、マツザカ!殺せ!」「バモオオオオオオオーッ!」マツザカは鋼鉄蹄でタタミを破壊しながら、殺人ダンプカーめいた勢いでニンジャスレイヤーへと突進! 1
2014-10-05 14:16:00総重量2トンを超える筋肉と鋼鉄と骨の怪物が猛進し、床が震動する!何たる怪物!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはマツザカの目を狙いスリケン投擲!「オーレイ!」だがマタドールは懐から取り出した赤布を振り、スリケンをからめ捕ったのだ!ワザマエ!「バモオオオオーッ!」魔牛の角が迫る! 2
2014-10-05 14:21:20「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは紙一重の側転回避!ワンインチ距離で死の大角をかわす!だがマタドールは、隠し持っていたもう一つの闘牛武器、残忍なるサーベルを抜き放っていた!「イヤーッ!」「グワーッ!」背中を切り裂かれるニンジャスレイヤー!マツザカは後方へ走り抜け、大きく旋回! 3
2014-10-05 14:25:46「見たか、ニンジャスレイヤー=サン!血統書付き殺人猛牛にバイオ筋力強化が加わった真の怪物だ!」マタドールの目はいまや激しい怒りに燃えていた!弓を限界まで引き絞るかの如く、マツザカを制止させ、突進の狙いを定める!「そこにオレのカラテが加わり、無敵のチャリオットが完成するのだ!」 4
2014-10-05 14:34:45「バモ……バモオオオオオーッ!」制止命令を受けたマツザカは、前脚の蹄で床を削り、口からは凄まじい泡を吹いている!紛うことなき、血に飢えた狂乱の怪物だ!さらに闘牛士と猛牛が一心同体……もはや死角が無い!だがニンジャスレイヤーは反抗的にジュー・ジツを構えた!「かかってくるがいい」 5
2014-10-05 14:40:16「マツザカ!奴を……突き殺せ!」ついに解き放たれた殺戮の魔牛!「バモオオオオオーッ!」全体重を乗せたギャロップ突進を繰り出すマツザカ!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーのスリケン!「オーレイ!」マタドールが防御!「イヤーッ!」直後、死神は牛の頭を狙いジャンプ回転カラテチョップ! 6
2014-10-05 14:45:17猛牛の弱点たる頭、そこを狙う必殺のマサカリめいた一撃だ!しかし!「バモオオオオオーッ!」「グワーッ!」マツザカの突進力が勝る!ワイヤーアクションめいて弾き飛ばされるニンジャスレイヤー!CRASH!CRASH!CRAAASH!ショージ戸を3連続で突き破り壁に激突!「グワーッ!」 7
2014-10-05 14:52:04「オーレイ!」マタドールは手を叩く。「愚かなり、ニンジャスレイヤー=サン!マツザカの突進力には、このオレのカラテが乗算されていることを忘れるな!貴様はショーギで安らかに死んでいれば良かったと後悔するだろう!」「バモオオオオーッ!」魔牛が突撃!壁際のニンジャスレイヤー、危うし! 8
2014-10-05 14:56:16「ザッケンナコラー!」「スッゾコラー!」「ワッメサッダラッケンゴラー!」「アイエエエエ!」賭博場ツクツクを覆う怒号!罵声!ヤクザスラング!ジェネレータ火災か?ネオサイタマ市警の手入れか!?……場内は非常ボンボリがレッドアラート回転し、リアルヤクザたちが逃げ惑う!混沌の様相! 10
2014-10-05 15:04:22あちこちでバチバチと火花が散り、建物そのものが地震かレッキング攻撃を受けたかのように揺れる。もはやこの状況下でバクチを続ける者など誰一人も……いや……居た……。あの傷顔ヤクザだ!ダイス賭博の高足チャブで、ディーラー・クローンヤクザと睨み合い、彼は狂気の笑みを浮かべていた! 11
2014-10-05 15:09:39「お客様、たいへん危険です。即座の避難が推奨されます」回転明滅するボンボリ灯の赤いLED光が、クローンヤクザのサイバーサングラスに反射する。「火事でも地震でもカミナリでも来いってんだ……。さあ、最後のダイスを振ってくれよ。一億円かゼロか……のるかそるかだ……!」傷顔が言う。 12
2014-10-05 15:16:43彼の前には5千万の札束。避難勧告の混乱に乗ずれば、お咎めなしで大金を手にするチャンス。だが……ここで引く事は敗北に等しい。ここで勝負を止めて逃げれば……それは……敗北!己は再び負け犬の人生に戻る!5千万あろうが無かろうが、関係ないのだ。それは意地とメンツの戦い。魂の戦いだ。 13
2014-10-05 15:24:27「振れよディーラー=サン」傷顔が身を乗り出す。目の前のディーラーは、いわばソウカイヤと暗黒メガコーポの象徴。リアルヤクザたる彼の牙を抜き、飼い馴らし、去勢してきた巨大組織の象徴……!それを今、己のバクチと気迫だけで打破しようとしている!「降りるワケにゃいかねえんだよ……!」 14
2014-10-05 15:31:50「……」ディーラーは無言でダイスを見た。この先は対応マニュアルに無い。「クローンだか何だか知らねえが、てめえもヤクザなら腹くくれや……勝負しようぜ」傷顔が笑う。その狂熱が野火の如く燃え広がり……自我など無いはずのクローンヤクザは口元に笑みを浮かべ睨み返し……ダイスを握った! 15
2014-10-05 15:41:19クローンヤクザは上着とヤクザシャツを荒々しく脱ぎ捨て、キリステ紋のイレズミと製造バーコードを露にする。そして腹の底から、空気をビリビリと震わせるようなヤクザスラングを吐いた!「……スッゾコラー!」まるでこの瞬間、江戸時代のレジェンドヤクザが乗り移ったかのようなソンケイ……! 16
2014-10-05 15:49:09有り得ない!非常事態と異常アトモスフィアが本来有り得ないインシデントを引き起こしているのだ!「スッゾコラー!」傷顔ヤクザも臆せず吼えた!眠っていた野心が!怒りが!バクチ打ちの矜持が!胸の奥で燃え上がる!「ザッケンナコラー!」満を持してディーラーはダイスを……ドンブリに放る! 17
2014-10-05 15:54:54両者は息を呑み、視線を目の前のドンブリへと集中した……!放られたダイスは3個……!その出目によって勝負が決まる!一発勝負だ!……カラン、カラン、カララララララン……!ダイスが乾いた音を立てて鳴り、止まる。その出目は……1、2、3……!ゴ……ゴウランガ!傷顔ヤクザの勝利だ!! 18
2014-10-05 16:05:18「ウ……ウオオオオオオオーッ!」リアルヤクザは感極まって立ち上がり、魂の咆哮を上げた!解き放たれし黙示録の獣、ヤクザの血が全身を駆け巡り、止めどない興奮を沸き出させる!「オミソレ・シマシタ……」クローンヤクザは両肩から湯気を立ち上らせ、息を切らし……だがゼンめいて微笑んだ。 19
2014-10-05 16:12:38大勝負に敗北したディーラーには無論、セプクが待つだろう。だが彼は取り乱す様子も無く淡々と、追加の札束を取るためUNIX金庫を開けた。札束を両手で抱え、傷顔ヤクザの前に置く。「てめえ、死ぬんだろ?でも、いい勝負だったよな」傷顔がニヤリと笑った。そして握手すべく手を差し出した。 20
2014-10-05 16:19:54「……」ディーラーは一瞬戸惑ったような表情を作ってから、チャブ越しに手を伸ばした。そしてリアルヤクザとクローンヤクザの手が握られた直後……ダイス賭博場の側面の壁が突き破られた。「バモオオオオオオーッ!」ニンジャの跨がった魔牛が、ダイス賭博チャブごと、クローンヤクザを撥ねた。 21
2014-10-05 16:28:30