「メリークリスマス・ネオサイタマ」 #4

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物 詳細はこちら http://togetter.com/li/73867
ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「メリークリスマス・ネオサイタマ」 #4
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「……ドーモ」フロストバイトは舌打ちしながら立ち上がり、胸の前で拳と掌を合わせて小さくオジギした。 「「「こいつがニンジャ・スレイヤー=サンか。俺の手の内はまだ知られていない筈。だが俺のインプラント記憶素子内には、ソウカイネットで調べた戦闘データがある。お前は射撃戦に弱い!」」」
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灰色と赤黒。二人のニンジャはカラテの構えで相手の出方を窺いながら、防弾カワラ屋根の上を同心円状に横歩きし、間合いをはかった。不気味な静寂。上空を舞うコケシツェッペリンのLEDモニタに流れていた文字が「ヨロシサン」から「いつもお世話になっています」に変わった時、二者は同時に動いた。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
フロストバイトは右奥歯のスイッチを噛み、両掌をXの字に掌握して作った氷スリケンを、イナズマのような素早さで投げつける!  「イヤーッ!」 高速回転する芝刈り機のような甲高い音を立てて、普通のスリケンよりもギザギザの多い凶悪な氷スリケンがニンジャスレイヤーに迫った! ナムサン!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「イヤーッ!」 ニンジャスレイヤーもほぼ同時にスリケンを投げていた。両者のスリケンが激突する! だが、何ということだ、普通のスリケンよりもギザギザが多いフロストバイトの氷スリケンは、ニンジャスレイヤーのスリケンを切断したうえに、その勢いを全く衰えさせることなく飛来したのだ!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
鋭いニンジャ反射神経により、ニンジャスレイヤーは自らの左手の人差し指と中指を突き立たせた。スリケンを最小限の動きでかわす方法は、二本の指でスリケン中心部を回転と垂直方向に挟み、それを後方へ受け流すことである。敵の力を受け止めるのではなく受け流す……これこそがニンジャの世界なのだ!
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ニンジャスレイヤーは蝿を挟む箸のように精密な動きで二本の指先を動かし、氷スリケンの中心部を挟み、受け流す……いや、受け流せない! 何故だ? おお、ナムアミダブツ! 氷スリケンは温度差によって指先に貼りつき、チェーンソーのごとく回転して、彼の指間を切り裂いたのだ! 「グワーッ!」
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「氷スリケンは暗殺用だけではない! 俺はこの技で、何人ものニンジャの手を破壊してきたのだ! ニンジャスレイヤー=サン、貴様のようにスリケン受け流しに絶対の自信を持っているような、気取ったいけすかねえ野郎どもをなーッ!」 フロストバイトは勝利を確信し、さらなる氷スリケンを射出した!
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「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは紙一重でブリッジを決め、両首の頚動脈を狙って放たれた氷スリケンを回避する。タツジン! それと同時に、左手を切り裂く氷スリケンを防弾カワラに叩きつけて、どうにかこれを粉砕した。赤黒い血飛沫がスプレー状に飛び散るが、間一髪ケジメだけは免れたようだ。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
だが、これで終わりではない! 「死ね! ニンジャスレイヤー=サン! 死ね! イヤーッ!」 フロストバイトは両手を最新型万札偽造機のように小刻みに動かし、驚くべき速さで氷スリケンを生み出しては、1秒に3発の割合でこれを射出してきたのだ!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「イヤーッ!」 ニンジャスレイヤーはそのまま高速ネックスプリングで体を起こしてから、華麗なタイドー・バックフリップを三回決め、股間を狙って放たれた氷スリケンをすべて紙一重で回避する。ジゴクめいた冷気が空気を切り裂きながら、頬の横わずか数ミリの場所を飛んでいった。スゴイ!
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バックフリップから体を捻ったニンジャスレイヤーは、屋根の端に置かれたカエル・ガーゴイルの上に着地し、さらに間髪入れずにこの足場を蹴って、フロストバイトの背後に向かって矢のように鋭い角度でサマーソルト・ジャンプを決めた。空中で体を制御し、右手で恐るべきカラテチョップの構えを取る!
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「イヤーッ!」 チョップが炸裂しようとしたその時! フロストバイトは胸の前で手をXの字に交差させた後、手首のホースを背後に向け、左奥歯のスイッチを噛んだ。「「「引っかかったな!」」」マイナス220℃の液体と蒸気が、上空のニンジャスレイヤーめがけ噴射される! 「グワーッ液化窒素!」
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ゴウランガ! ニンジャスレイヤーは空中で素早くドリルのように回転してジャンプの軌道を変え、液化窒素の直撃を免れた。直撃を受けていれば、全身が冷凍マグロのように冷たくなって即死していたであろう。 しかし、この緊急回避のために、彼は体勢をいちじるしく崩してしまってもいたのだ。ウカツ!
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「あばよ、ニンジャスレイヤー=サン! 貴様の死因はバク転中の不運な転倒死だーッ!」 間違いなくキンボシ・オオキイ! フロストバイトはラオモト=サンから渡されるであろう臨時ボーナスに思いを馳せながら、必殺の氷クナイ・ダートをニンジャスレイヤーの喉元に向けて投げた! ナムアミダブツ!
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だが待て! 夜よ、聞くがいい! フロストバイトがダートを投擲する一瞬前、ウシミツ・アワーを告げる不吉な鐘が、ネオサイタマ中のジンジャ・カテドラルで突き鳴らされたのを! 液化窒素煙幕の中で立膝状態になっていたニンジャスレイヤーの右の黒目が紅く光り、センコのように細くなる! ナラク!
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「「「ヒッサツ! 間違いなく殺ったァーッ!」」」 フロストバイトの投げた2本のダートが、ニンジャスレイヤーの眉間と股間に命中! ……と思われたその時、氷クナイ・ダートはニンジャスレイヤーの体を透過して背後の防弾カワラに当たり、灯篭に落ちるツララのごとく虚しく砕けたのだ。 「え?」
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フロストバイトが驚きのあまり白目を剥きながら見ていると、液化窒素煙幕の中にいたニンジャスレイヤーは霞のように掻き消えた。 「え?」 代わりに、いつの間にかニンジャスレイヤーの右眼があった場所から紅い光の軌跡が描かれ、自分の顔の周りを一周して、背後に回りこんでいた。 「え?」
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その頃、5メートル下の茶室ではカワラ屋根の上で発生した戦闘の騒音を聞きつけ、ノボセ老を守るべくマッポ軍団が集結していた。中央の囲炉裏横に、ノボセ老がカタナを構えて陣取る。彼のイアイドーは42段。親指小指薬指さえあれば、七本指でも何ら支障なく人を殺せる。革眼帯がじっとりと汗ばんだ。
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サイバーサングラスをかけた古参デッカー5人が、強化カーボン製のデッカーガンを構え、背中合わせでノボセ老を囲んでいた。 サイバーIRC手術を受けている彼らは、耳の斜め後ろから生えたLANケーブルをデッカーガンと接続することにより、0コンマ1秒以下の反応速度で銃の論理トリガを引ける。
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さらに茶室の四方を囲むように、20人余りの精鋭マッポたちがサスマタやトンファーを構えながら、固唾を呑んで状況を見守っていた。 デッカー1人の職務遂行能力は標準マッポ50人分に匹敵するとされるため、少なく見積もっても、わずか三十畳のこの空間内に300人近いマッポがいることになる。
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ノボセ老は、カタナの柄と鞘に手を当てながら、イアイドーの構えでじっと耳を澄ましていた。先程まで聞こえていた音や絶叫が、ウシミツ・アワーの鐘の音以降、ふと止んだからだ。おかしい。まるでハカバのように静かだ。息を小さく吐いた、その時! CRAAAAAASH!! 屋根の一部が崩落した!
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最初に動いたのは、室内の画像遷移情報をサイバーサングラスでスキャンし、遠隔IRCチャットで共有していたデッカーたちだった。両手に握ったデッカーガンの論理トリガが一斉に引かれる! サイバネティック義体すらも破壊する38口径の重金属弾頭弾が、黒い無機質な銃口から容赦なく撃ち出された!
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BLAM! BLAM! BLAM! 上から降ってきた灰色の人影が、デッカーガンの一斉射撃を受けて激しくダンスする! 首がない? 構うものか、排除せよ! BLAM! BLAM! BLAM! BLAM! 床に置かれたタヌキ茶壷の上に落下する頃、それはほぼ原型を留めぬ肉塊と化していた。
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2010年11月29日
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