藤原帰一(@kiichifujiwara)の語る師・坂本義和
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映画を見る合間に、国際政治を勉強しています。
坂本義和先生のご逝去を受けた追悼文が掲載されました。digital.asahi.com/articles/DA3S1…
2014-10-08 10:31:41坂本義和には理想主義者というイメージがあり、そのために支持する人が集まる一方で、現実に目を向けることのない空想という批判も繰り返されました。それは違います。
2014-10-08 10:34:56むしろ正反対に、坂本義和は戦争と権力闘争の現実を見て、希望的観測を一切排除した分析を続けました。直接教えを受けた人は誰もが知っていることですが、その分析は残酷なほどドライなものでした。
2014-10-08 10:42:55坂本義和が発表した文章にもそのドライな分析は反映されており、それが特有の毒になっています。ですが、文章の重点はいつも選択の呈示に置かれました。現状分析よりも何ができるのかを示すことが大切だと考えているかのようでした。
2014-10-08 10:49:12坂本義和はリアルな分析と平和への希求に引き裂かれ、引き裂かれながらも戦争以外の選択を常に模索した人でした。文章ではドライな分析が断片しか現れていないので、非武装中立を唱える平和主義者と一緒にされることも多かったといっていいでしょう。
2014-10-08 10:53:55間違いだ、現実に目を向けない平和主義と現状分析に基礎を置く提言を一緒にしてはいけないと私は思いましたが、先生はお気にされないようでした。自分がどう思われるかではなく、誤った政策を回避することが重要だからです。
2014-10-08 10:56:20坂本義和における現実分析と理念との関係は、丸山真男の顕教と密教のようなものになっていました。私は、リアリズムを奥に隠すような先生の文章に不満でした。不誠実ではないかと直接申し上げたことさえあります。でも、いまはそう思いません。
2014-10-08 11:10:02クールでドライな分析は、それだけではクールでドライなだけに過ぎない。現実の難しさを見れば見るほど、そこからの選択を考えることはさらに困難になる。現実追随と現実無視を克服するためには可能な選択を示すほかはない。そこに坂本義和の願いがあったのでしょう。
2014-10-08 11:11:29国際政治において理念や選択を語れば、馬鹿ものと見なされることになる。そして坂本義和は勝ち気で負けず嫌いな人でした。その先生が馬鹿と見られることを覚悟して、しかも実現する可能性が低いことを承知の上で選択を語るのは容易ではなかったでしょう。坂本義和先生のご冥福をお祈りいたします。
2014-10-08 11:17:05