ドボク鎮守府『起重機船　蜻州丸！作業開始しやす！』

まも（C102お疲れさまでした） @Kojimamo

【陸と海の浮き起重機】 戦後、呉で軍艦解体業務に就いていた海軍工廠出身の400ｔ起重機船3324号。 ある日、南方から復員輸送に当たる軽空母鳳翔より「香港の港に元陸軍のクレ－ン船がいる」と聞いた彼女は…。 陸と海の軍のクレ－ン船同士の儚い物語である。 #ドボク鎮守府

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「彼女が生きている！会いたい！！」 海軍3324号と陸軍蜻州丸。海軍と陸軍の垣根こそあれど、同じ起重機船仲間である。 2隻とも敵を打ち倒す為に砲を運び据え付け、サルベージに土木の世界に関わり似たような仕事をしてきた。 #ドボク鎮守府

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起重機船の繋がりは深い。世界中にいる仲間が家族同然だ。 400ｔ起重機船3324号も今はBAE社に吸収された英国の起重機を得意とする造船所で産声をあげた。 世界中に姉妹が何隻もいて、ともに港湾を支えているのが誇りだった。 敵国だろうが何だろうが関係なかった。 #ドボク鎮守府

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あきつ丸「提督殿。このあきつ丸に御用でしょうか」 執務室に呼ばれたあきつ丸。 壁の掛け軸には 【タグボートはかわいくてつよい（確信】 と激しい書体で曳船愛情語が書かれている。 提督「君は同じ陸軍に居た蜻州丸を知っているかね…？」 あきつ丸「蜻州丸ですか…」 #ドボク鎮守府

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あきつ丸「蜻州丸…大型重量物揚陸運搬船の子ですな」 提督「さすがに知っているな。彼女は起重機船でもある」 あきつ丸「一度、昭南（シンガポール）の港であった事があります。たしか私が艦として沈む一年前だから昭和19年の夏でしたか…」 #ドボク鎮守府

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提督「ほほう、シンガポールで会ったかね。彼女は戦歴を見ると元は要塞建設のカノン砲運搬用として製造されて、国内の要塞建設が粗方終わると、開戦後に南方をあちこちと転戦しているようだ」 あきつ丸「他の艦艇をサルべージしたと聞いた事があります。詳しくは知りませんが…」 #ドボク鎮守府

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あきつ丸「ううん…、彼女と会ったのは19年ではない…18年か。ともかく初めて見た者にはあの姿は些か異様に見えるでしょうな」 それもそのはずである。 蜻州丸、彼女も特殊船の眷属として産まれた故に異様な体を持っていた。 #ドボク鎮守府

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陸軍特殊起重機船　蜻州（せいしゅう）丸 軍艦の砲塔を運ぶだけに特化した船である。 船の艦橋の前に据え付けられた、三角形を組み合わせた様な鋼製ジブの150ｔ起重機が彼女の象徴。 自力で航行できる機動性を活かし、要塞建設にサルベージに活躍した縁の下の力持ちである。 #ドボク鎮守府

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己の船名と同じ由来の蜻蛉州（あきつしま）から命名された故に、あきつ丸にも蜻州丸には親近感があった。 あきつ丸「巡洋戦艦「赤城」の艦砲を対馬要塞に据付に行った事を自慢していた事があります」 提督「あ～彼女の本業、要塞建設だったもんねぇ」 #ドボク鎮守府

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蜻州丸は 帝都の石川島造船所生まれだからかシャキシャキの江戸っ子みたいな言葉を話し 性格も鋼矢板を油圧裁断機で割ったような性格だった。 涼風「あたいの出番かい？」 提督「ちがう…けど性格合いそうだな」 涼風「誰となんでい？」 提督「陸さんのクレーン船」 #ドボク鎮守府

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大正某年某日　呉海軍工廠… 蜻州丸「お控えなすって！！あっしは陸軍のクレーン船の端くれでございやす！！」 赤城「は、はぁ…」 巡洋戦艦への道が軍縮により閉ざされて赤城は、呉の工廠にて空母への改装を行っていた。 そこに場違いの陸軍の特殊船がやってきた。 #ドボク鎮守府

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蜻州丸 「あっしは生まれは江戸隅田川畔の石川島、育ちは陸の船どもの集でごぜえます。 長らく要塞建造の場に身を置いておりやす。 戦艦さん達のお情けにより、武器である艦砲を譲受け己の仕事をしてごぜえます。 渡世の道すがら各地の要塞に砲を据え付ける旅をしておりやす」 #ドボク鎮守府

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赤城（な、なんだか濃ゆいクレーン船の人が来たわね…） 赤城「それで、なんのご用件ででしょうか？」 蜻州丸「へぇ、実はおめぇ 様の貞操を頂きてぇんだ！」 赤城「…ん？」 #ドボク鎮守府