《福島県の地方新聞と「原発広告」》

『原発広告と地方新聞』に触発されて書いた連続ツイートです。 一応まとめておきますが、色々と語り足りない部分があります。 例えば、北海道のメディアの取材現場を沢山見ていますが、福島県内メディアとは、全く違う、真面目な取材姿勢です。 そんな話も追加するかもしれません。
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宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

0 昨日購入した『原発広告と地方紙』(本間龍著 グリーンピース・ジャパン協力 亜紀書房)の、福島県分の記述を読んだ感想、批評を連投します。

2014-10-09 18:33:47
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

1 福島県内には毎日新聞系の『福島民報』と讀賣新聞系の『福島民友』の、2紙がある、というのは同署に書かれている通り。だけど、どっちも県外の事実関係報道に関しては、通信社から共同通信からの配信を使うので、あまり系列新聞論調の影響は受けません。

2014-10-09 18:36:23
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

2 1962年生まれの私は、物心付いてからずっと、実家が購読していた『福島民報』朝刊を読んできました。夕刊は、読んでいません。高校入学後は、高校の図書館で全国紙や『福島民友』朝刊も読んでいました。高校卒業後は東京に5年住んだので、その間は福島県地方新聞を読んでいません。

2014-10-09 18:40:18
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

3 大学卒業後は福島県内で教職に就き、仕事上の必要も含めて、他の人よりは新聞を長い時間をかけて読んできたと自負します。また、学校行事や部活動の大会で、地元新聞の取材状況をじっくり見てきました。

2014-10-09 18:42:22
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

4 そういう経験を踏まえて、まずは断言します。 福島県地元新聞には、原子力発電所の解説記事を書けるような知識と筆力を持っている記者はいません。 おそらく県民のほとんどは「新聞記者ならば色々と一般県民よりも知識があるだろう」と信じているだろうと推測しますが、それは幻想です。

2014-10-09 18:44:18
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

5 福島県地元新聞にも、解説記事や書評などが掲載されます。しかし、内容がある解説記事は、おそらく通信社からの配信の流用だけです。書評も、地元に関する書籍を除いては、どこかからの転載です。 県内政治や地方経済に関しては、独自記事を書ける記者がいるようですが、科学記事は困難です。

2014-10-09 18:47:47
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

6 福島県地元新聞の記事は、福島県庁や自治体役場、警察署などの官公庁が発表した文章と写真をちょっとアレンジして掲載することで、紙面の多くを埋めます。次に、県内のイベント記事や観光情報を掲載します。基本の5W1Hを並べて、インタビューを入れ、写真をレイアウトして一丁上がりです。

2014-10-09 18:56:02
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

7 意見が分かれる話でも、基本的には国や県や自治体の発表を垂れ流して終了。例外的な難航案件だけ、違う意見を少しだけ付け加えて、「今後の動向に関心が集まる」みたいなまとめをつければ、終わり。

2014-10-09 19:00:03
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

8 例えば、学校の入学式や卒業式の取材。私は取材される側にいた。9時に式が開始だと、9時10分頃に会場に入ってくる。「責任者の方にお話を」と言ってくるが、校長と教頭は対応できないので、教務主任か教務副主任が対応する。必ず「何か資料があったら下さい」と言ってくる。(続く)

2014-10-09 19:08:21
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

9(続き)代表の生徒が話す場面か、証書か表彰状を受け取る場面か、写真を必ず撮影する。写真を撮り終わると、式の流れなど気にせずに退出していってしまう。入学式や卒業式の入場から退場までずっと取材し続ける記者など、私の記憶には一人もいない。

2014-10-09 19:11:11
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

10 念の為に付け加えるが、福島県内のこのような取材手法は、新聞に限った話ではない。テレビ局も同じだ。テレビ局の場合は、本社に近い学校に直行して、短時間で取材を済ませ、社に戻り、昼のニュースに間に合わせる。広い福島県でも、よほどのニュースがない限り、福島市か郡山市の学校だけ。

2014-10-09 19:15:32
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

11 新聞の取材は、スポーツの大会でも同じだ。大会前の顧問会議で「広報担当」教師が決められるが、よほど大きな大会や人気種目でないと、開会式にあわせた取材などしない。試合中に突然来て、「取材」を始める。そして、パンフレットを(有料でもカネを出さずに)要求し、写真を数枚撮る。

2014-10-09 19:19:24
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

12 (続き)大会の結果が出るまで、記者が会場にいた記憶はない。広報係の教員の仕事は、大会の結果ができたら、その日のうちに、新聞社に届けることだ。これが、地方新聞で1面または2面全部を使い切る高校野球の甲子園予選だと、かなり違うのだが。高校野球以外は、全部雑な扱いになるが。

2014-10-09 19:23:33
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

13 他のイベント取材でも似たようなものだ。途中から来て、資料を出すよう要求し、写真や映像を撮影し、少しだけインタビューをして、取材終了だ。

2014-10-09 19:25:54
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

14 取材するイベントの中には、「原子力の日」(10月26日)の記念イベントや、原子力防災訓練も含まれる。県知事が参加するようなイベントでは、さすがに最初からいるが。いわゆる「尺が埋まる」素材を確保したら、取材は終了だ。

2014-10-09 19:27:45
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

15 福島県内テレビ、新聞の取材のほとんどは、イベントの主催者や参加者の都合よりも、自らの取材を優先させる。たとえば、夕方の地方ワイド番組内で住民を「参加させてやる」場合には、中継を屋外で行うなら、寒空の中だろうが、屋外で待たせておく。

2014-10-09 19:37:59
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

16 福島県内の新聞がイベントを取材する場合には、まず取材「して欲しい」イベントの側から、イベントの存在を新聞社または記者に伝えておく。まるで、取材を「依頼」するように。そこに「言われたから来てやったよ」みたいなムードをまとって記者が来る。

2014-10-09 19:41:55
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

17 イベント取材の場合には、わざとらしく人が映るように、写真のフレームの中に人が入るように記者が要求して、写真を撮影していく。それが日常の取材風景だ。「やらせ」とかそんな事を気にしている感は、まったくない。いつも、そうやって取材しているのだから、他のやり方など知らない。

2014-10-09 19:44:52
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

18 新聞記者がもっと長時間取材していれば、1日の中では何度か自然なシャッターチャンスもあるだろうが、そんなにゆっくり会場に留まることはない。会場に到着してから、出て行くまでに写真を撮るには、人を動かして構図を作らないと、それらしい写真は撮れない。

2014-10-09 19:48:22
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

19 福島県の地元新聞では、題材は基本的に、記者が要求すれば、相手から整理された形で手渡されるものだ。あとは、前回の記事に当てはめて、固有名詞を変え、少し修飾語を変えるなどすれば、終了だ。

2014-10-09 19:50:16
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

20 福島県には地方新聞が二つあり、競合する関係に思えるので、切磋琢磨したり、より魅力的な紙面を作ったり、取材内容で勝負しようとしていると思う人がいるかもしれないが、それは、完全な誤解だ。1つずつの記事に書ける記者の「熱意」は、あきれるほどに低い。しかし、そういう新聞だけなのだ。

2014-10-09 19:52:49
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

21 私の父の弟は、沖縄県に住み、仕事をしていた。その関係で何度か私も行って、地元新聞が2紙ある沖縄の新聞も読んだ。取材がある風景も見た。地方紙が2紙競合しているのは、日本では福島県と沖縄県の2箇所だけだが、状況は全く違っていた。

2014-10-09 19:56:56
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

22 沖縄県と福島県の地方紙が最も大きく異なっているのは、県庁との距離感だ。福島県では、どちらが多く、早く、情報を仕入れて紙面化するのかを競争していた。ただし、福島県庁は、ほぼ常に、『福島民報』に優先的に情報を流していた。

2014-10-09 19:59:04
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

23 例えば、次年度の公立学校の校長人事は、『福島民報』が報じる。それでほぼ決まりだ。県立高校の校長人事ならば、3月2日の『福島民報』朝刊を見れば書かれている。普通科の校長は、その記事の通りで決まりだ。職業高校の校長は、土壇場でひっくり返ることもあるが、例外的な話だ。

2014-10-09 20:01:54
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

24 県庁の幹部の人事異動も、『福島民報』が1面トップで報道して、ほぼその通りに決まり。警察も同じ。『福島民友』には、情報が小出しに、遅めに伝わる。こういう情報を、ある程度の比率の県民は重視する。「世話になった人」が異動するなら、挨拶に行かねばならないからだ。

2014-10-09 20:05:47