茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1337回「お守り」
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昨日、佐賀大学付属中学校を訪問した。研究集会が行われていたのである。その後、となりの佐賀西校の体育館で、脳と学びについてお話した。質疑の時に、付属中学3年の馬渡敦士君が、「個性を伸ばすのにはどうしたらいいか」と質問した。「何をやりたいの?」というと、「物理学」だという。
2014-10-12 07:33:50それで、馬渡くんと、しばらく物理の話をした。その中で、「君は、Gravitationとかもう読んどくといいよ」「分厚いけど、いざとなったら、枕になるし」とか言ってたら、あとでメールが来て、本当に図書館に行ってGravitationを見つけて、借りてきたという。君は偉い!
2014-10-12 07:34:55Gravitationとは、この本だけど amazon.com/Gravitation-Ph… 普通に考えて、中学三年生が読める本ではない。でも、なぜ馬渡くんにすすめたかと言えば、まずは「無茶振り」。脳は、「無茶振り」しないと伸びない。思い切り背伸びして、初めて見える世界がある。
2014-10-12 07:36:17もう一つは、「お守り」。おそらく、Gravitationは、中学三年生がすぐに理解できる内容ではないだろう。しかし、そこに、ほんものの学問への入り口があると思えば、ひとつの「お守り」として持っていれば良い。すぐに理解する必要はない。一つの世界の象徴として、身近に置けばよいのだ。
2014-10-12 07:37:17ジョージ・バーナード・ショーだったか、ワグナーの『トリスタンとイゾルデ』のスコア(総譜)を、いつも机の上に置いていたという。これも、「お守り」の一つだろう。その意味では、レクラム文庫は、オペラに行く時に、よいお守りになる。小さいし、あの黄色い表紙が、美しく、かわいい。
2014-10-12 07:38:41私は、小林秀雄の『本居宣長』の初版本、著者自身の署名があるものを古書店で見つけて所有しているけれども、これも、開くわけでなく、文章自体は電子書籍で読んだりするわけで、一つの「お守り」だろう。みなさんにも、自分が目指す世界の一つの指標になるものを、お守りとして持つことを勧めます。
2014-10-12 07:40:04現代の教育観においては、少しずつ蓄積して、進むわけで、わからないものに触れさせるのはどうもという漸進主義だが、だからこどもたちが伸び悩むのだと思う。昔は、いきなり「論語」や「大学」を素読していたわけだから、そちらの方がよほど良い「お守り」になっていたのだと思う。
2014-10-12 07:41:55教育現場に行く度に思うのが、やる気のあるこどもたちが、大人たちの「ねこなで声」(この年齢のこどもたちには、この程度の内容を教えていればいい)という間違った観念によて、伸び悩んでいるということである。英語の原書だって、いきなりフリードマンを読ませて、なんの問題もないと思う。
2014-10-12 07:43:05中三の馬渡くんが、ちゃんと図書館に行ってGravitationを借りてきてくれて、うれしかった。即実行はいいね。「ブラックホールは人工的につくれるか」に興味を持っているそうだ。Gravitationをよいお守りにして、すくすくと伸びていってくれたら、とてもうれしい。
2014-10-12 07:44:06