鈴木健『なめらかな社会とその敵』読書メモ集

鈴木健『なめらかな社会とその敵』(勁草書房、2013・1)についての読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

自由意志があるから責任をとるのではない。責任を追求することによって自由意志という幻想をお互いに強化しているのである。現代社会は、大きな政治的レベルからミクロで個人的なレベルのものまで、責任追及することによって自由意志という幻想を産み出してきた。by鈴木健『なめらかな社会とその敵』

2014-10-16 14:07:05
荒木優太 @arishima_takeo

「近代的な個人(individual)にかわって,分人(dividual)という概念を提示してみよう。“dividuall”は,ジル・ドゥルーズ(哲学)が「管理社会について」という短い論考の中で使った概念である」(鈴木健『なめらかな社会とその敵』)。あれ、そうだっけ?

2014-10-16 16:02:48
荒木優太 @arishima_takeo

じゃあ、平野啓一郎さんのヤツもドゥルーズをパクってるってことなんだろうか? 後で調べておく。

2014-10-16 16:04:45
荒木優太 @arishima_takeo

「人はすべての議題に対して政治的関心をもつ必要はない。人は政治のために生きているわけではない。他のもっとすばらしい体験のために生きているのであって、政治はそのための手段のひとつにすぎない」(『なめらかな社会とその敵』)。基本同意ではあるのだが…うーん…。

2014-10-16 16:12:30
荒木優太 @arishima_takeo

「私がもっていると思い込んでいるものは,じつは私に関係のあるネットワークに濃淡をもって遍在している。「私」というのはその中で濃いだけの存在にすぎない。そう考えると、所有という概念が揺るがされるのである」(『なめらかな社会とその敵』)。ここ重要。私の違和感の核な気がする。

2014-10-16 16:30:00
荒木優太 @arishima_takeo

ヒットラーはルソーの帰結であり、ルーズヴェルトやチャーチルはロックの帰結である。byラッセル『西洋哲学史』

2014-10-16 17:14:21
荒木優太 @arishima_takeo

「もともと“Cyborg”はCybernetic Organismの略で、「自然による機械(生命)」と「人工的な機械(機械)」を生体として融合させようという考え方である」(鈴木健『なめらかな社会とその敵』)。へぇー。

2014-10-16 17:21:29
荒木優太 @arishima_takeo

「オートポイエーシスは、内側と外側の境界、すなわち膜的なるものを自己維持するシステムである。政治とは、友と敵を区別するものである。この2つの概念が近い関係にあると直観的に考えるのは自然であろう」(鈴木健)。なんか、今西進化論の出番な気がする(非常に危険な気もするが)。

2014-10-16 18:11:11
荒木優太 @arishima_takeo

鈴木健『なめらかな社会とその敵』読了。疑問もない訳ではなかったが全体的には面白かった。「ためらい」の内田樹が褒めるのも割と納得。ゲーミフィケーションにもう触れているのも嬉しい驚きだった。しかし、やはり引っかかるのがやはり共有(シェア)の問題。そんなにシェアって素晴らしいか?

2014-10-16 18:45:48
荒木優太 @arishima_takeo

なめ敵。なめらかな社会では所有概念が後退して共有の文化が前景化する訳だが、例えば、なめらか社会ではパートナーも他者と共有することになるのか。端的にいえば、浮気がOKな世の中になるのか。その時、私達は「嫉妬」の情や「独占欲」をどう処理すればいいのか。

2014-10-16 18:46:54
荒木優太 @arishima_takeo

○○を50%、××を40%、△△を10%愛する、という感情は愛の名に値するか。現在、私達は愛のコミュニケーションをイチ/ゼロ(愛する/愛さない)で行っており、それはパーセンテージを分配する行為とは別の位相にある。これは鈴木健のいう「ステップ」的であって「なめらか」とは相反する。

2014-10-16 18:48:35
荒木優太 @arishima_takeo

勿論、将来的に愛のコミュニケーションのモードが根本的に変化することはありうるだろう(過去には「恋愛」概念のない時代もあった)。しかしそれでも、私は人間が「なめらか」に馴染めるとは思えない。愛は他者の独占を目指す。簡単にいうと私は『失われた時を求めて』が結構好きなのである。

2014-10-16 18:49:11
荒木優太 @arishima_takeo

なめ敵。しかし、そういや『開かれた社会とその敵』のオマージュなのにポパー一度も登場してないな(笑)。シュミットの友敵理論をカブせてきてるのでそんなに不自然じゃないから別に良いけれども。

2014-10-16 19:00:37
荒木優太 @arishima_takeo

「任命責任」という概念って諸外国でもきちんと機能しているんだろうか。勝手に推測してみるに、日本におけるそれは他の国よりも強力で、それは子供の犯罪に対する親の責任圧力と同期しているのではないか。安倍晋三は嫌いだが、任命責任を声高に叫ぶ時、同時に嫌なロジックを活性化させてる気もする。

2014-10-18 10:41:45
荒木優太 @arishima_takeo

いや、より的確にいえば、任命責任も親の責任も、日本的な連帯責任のバリエーションにすぎないのではないか、ということ。別にそれが悪い訳ではないし、それでうまくいくこともあるのだろうから、やりたければやればいいとは思う。が、私はそんな連帯責任の強い社会の中で暮らしたくない。

2014-10-18 10:46:46
荒木優太 @arishima_takeo

鈴木健は、自由意志が幻想なのだから責任はフィクションであって人は個人ではなく「分人」だと言っていた。逆に言えば、日本的な連帯責任とはフィクションの分有であり、個々の虚構が軽減される分、分人の理念を先取りしてるのかもしれない(まぁだから私は分人社会をいいもんだと思ってない訳だが)。

2014-10-18 10:52:45