台湾沖航空戦・戦果誤認とは別の問題点

基地航空隊は空母機動部隊に対して、その本質において圧倒的に劣勢で、どれほど戦力があっても戦果を上げる可能性は低く、陸軍がそれに気が付かないのも問題という話
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おぷぷ @tse1740

台湾沖航空戦を肴に日本海軍のしばしば陥る思考の穴、軍事技術の向かう方向、戦史への入口としての艦これなどについて考えたい。長いよ。

2014-10-17 19:34:30
おぷぷ @tse1740

で、台湾沖。一般に戦果誤認と大本営発表、海軍が誤認と認識した後も陸軍にそれを知らせなかったなど、非常に大きな失敗として知られている。確かにそうなんだが、あまり語られない別のレイヤーにも大きな問題点がある。

2014-10-17 19:34:58
おぷぷ @tse1740

台湾沖航空戦において、仮にどれほど戦力が充分だったとしても目標戦果に届く可能性は0だったということ。説明しよう。

2014-10-17 19:35:52
おぷぷ @tse1740

ちなみに、このNHKの特番で広く知られるようになった目標戦果については異論があるようだが、とにかくざくっと10隻程度の正規空母を沈めようという認識で話を薦める。まあ、議論には影響の無いところでもある。

2014-10-17 19:36:01
おぷぷ @tse1740

それは非常に単純な理屈で、正規空母に脅威を与えるほどに日本の基地航空隊が強力であれば、その行動範囲内には決して入ってこないだろうという、それだけのこと。あなたが米軍の指揮官ならそのように行動しないだろうか?なぜか作戦立案の前提が米軍の判断力の欠如となっているのだ。

2014-10-17 19:36:21
おぷぷ @tse1740

つまり台湾沖航空戦が最大限に成功した場合、おそらくほとんど何も起こらない、そういうことになるはずなのだ。 (米軍が日本軍の配備状況と戦力を把握し接近すら試みない)

2014-10-17 19:36:53
おぷぷ @tse1740

これは現場の搭乗員にとっては考えの及ぶはずの無い事で、戦果報告については、もうしょうがない。その評価は別の問題だ。

2014-10-17 19:37:10
おぷぷ @tse1740

私自身はこの当然の理路に陸軍が気づかなかったことも相当な問題があると考えている。何故か。陸上戦において、ある時代までの最大の課題は如何に勝てる状況で会戦を行うかだったからだ。両方が勝てると判断するか、不利な側が他の選択肢を失わない限り、決してそれは発生しないのだ。

2014-10-17 19:37:28
おぷぷ @tse1740

これについては後ほどポエニ戦争を具体例として説明したい。

2014-10-17 19:37:42
おぷぷ @tse1740

日本軍は往々にしてこの種のミスを犯す。これはもう習慣のようなものなのだろうか。戦局の悪化によるものだとは思えないのは、漸減邀撃作戦が同様の思考の産物だからだ。ご存知のように潜水艦・空母・水雷戦隊により敵艦隊を漸減し、互角以上の状況で艦隊決戦に持ち込もうというもの。

2014-10-17 19:38:16
おぷぷ @tse1740

おわかりだろう、日本側の企図した通りに状況が推移した場合、艦隊決戦は起こらないのだ。互角に近い状況に陥った場合、米側がその決断を下す理由が無いのだ。この作戦上の勝利は艦隊決戦における勝利とはかなりの開きがある

2014-10-17 19:38:38
おぷぷ @tse1740

空母機動部隊の真価は決戦を行うかどうかの選択肢を一方的に握れる点にある。その優位を打ち消すことができるのは、空母機動部隊だけなのだ。

2014-10-17 19:39:00
おぷぷ @tse1740

#艦これ が戦史への興味の入口としてどうかと思うのは、この辺りの作戦上の常識が全く考慮されていないことだろう。本来、戦艦は空母と戦うことすらできないのだ。個人的にはゲームとしては妥当な抽象化だと思っているが。

2014-10-17 19:39:25
おぷぷ @tse1740

ポエニ戦争に辿り付かなかった。続きは近日。

2014-10-17 19:39:39
おぷぷ @tse1740

さてもう一度整理する。基地航空隊は空母機動部隊に対して、その本質において圧倒的に劣勢で、どれほど戦力があっても戦果を上げる可能性は低く、陸軍がそれに気が付かないのも問題という話。

2014-10-17 19:39:53