噴石って何か、ちゃんと知ってる?

噴石は気象庁用語です。気象庁発表を伝える新聞やテレビではよく目に耳にしますが、火山学の専門論文ではいっさい見ない言葉です。みなさんは、気象庁が使う噴石の意味をちゃんと理解していますか?
67

この問題の歴史的背景

早川由紀夫 @HayakawaYukio

噴石という言葉が視聴者にうまく伝わっているか、心配だ。そもそもレポーターやアンカーがわかっていて使っているか疑わしい。 1)火口から弾道軌道を描いて空中を飛行する大岩 2)空高く上がったあと高速度(といっても一定速度で)落下してくる小石 どっちを指してるのだろか。

2014-10-19 11:21:52
早川由紀夫 @HayakawaYukio

噴石は、20世紀初めの浅間山噴火報告書にみえる。そのときは1)大岩の意味で使ってた。そのあと、20世紀後半に爆発を繰り返している桜島でも同様に使われた。しかし、21世紀に入ったころから、気象庁本庁が2)小石まで噴石というようになった。

2014-10-19 11:24:06
早川由紀夫 @HayakawaYukio

噴石の意味が二つあっては困るから大岩だけに限定してくれと頼んだら、小石でも人が死ぬことは同じだと断られた。火山現象の正確な記述は必要ないと考えているようだった。そのあと気象庁は「大きな噴石」「小さな噴石」とときどき使い分けるようになった。しかし、この使い分けは読者に届いていない。

2014-10-19 11:26:22
早川由紀夫 @HayakawaYukio

うさはかせが、弾道軌道を描く大岩は火山弾といおうと提案したので私は、それに乗った。もともと火山弾は、柔らかいマグマが飛行中に特別なかたちになったものをいうが、その定義を廃して、冷えた大岩が飛んできても火山弾ということにした。つまり、クレーターをつくるのが火山弾だ。

2014-10-19 11:28:12
早川由紀夫 @HayakawaYukio

火山弾のこの使い方はまだ普及していない。しかしこの使い方を普及して、 ・火山弾 ・火山れき(小石) と表記し分ければ、どんな火山現象が起こったかよく伝わる。

2014-10-19 11:30:27
早川由紀夫 @HayakawaYukio

シェルターは、火山れきを避けることができるが、火山弾には歯が立たない。じっさい浅間山の山頂そばに設置されたシェルター2つのうちひとつは2004年9月の爆発でぺしゃんこになった。

2014-10-19 11:31:24
早川由紀夫 @HayakawaYukio

噴石問題についてもっと知りたい人は、ブログの噴石カテゴリーをお読みください。 kipuka.blog70.fc2.com/blog-category-…

2014-10-19 11:33:11

御嶽山爆発でいま再浮上

早川由紀夫 @HayakawaYukio

で、今回の御嶽山爆発で死んだ63人が、火山弾に打たれたのか、火山れきに当たったのか、を知りたいわけです。

2014-10-19 11:39:38
早川由紀夫 @HayakawaYukio

火山学の専門論文では、火山れきと火山岩塊といいます。しかし、かざんがんかいではなんだかわからないでしょう。わかれば火山岩塊といいますが。火山弾のほうがわかりやすくて、こわいでしょ?

2014-10-19 11:41:56
早川由紀夫 @HayakawaYukio

英語との対応はこう。 火山れき lapilli 火山岩塊 blocks 火山弾 bombs 弾道岩塊 ballistic blocks 投出物質 projectiles

2014-10-19 11:43:38
早川由紀夫 @HayakawaYukio

弾道力学によると、だいたい直径10センチ以下の粒子は地球大気の抵抗力によって等速運動に至ります。それ以上のサイズの粒子は加速運動します。

2014-10-19 11:45:09
早川由紀夫 @HayakawaYukio

御嶽山63人の死因を火山学者としては、次の5つに区別したい。 ・火山弾 ・火山れき ・火砕流 ・火山ガス ・滑落

2014-10-19 11:47:41
早川由紀夫 @HayakawaYukio

弾道岩塊は ballistic blocks よりも ballistic lithics がふつうかな。

2014-10-19 11:48:57
早川由紀夫 @HayakawaYukio

というわけで、いまの気象庁用語の噴石は、火口から4キロをゆうゆうと超えて、20キロまで届くことになってる。噴石という語から、地表にクレーターをつくる大岩をイメージすると、大きく間違う。

2014-10-19 11:55:09
月野うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase

御嶽山噴火いらい不勉強なマスコミが火山弾も火山れきもごっちゃにして噴石と呼んで大変困ってる。大きな・小さなも省略されちゃう。火山弾が20km飛ぶと誤解してるマスコミもいる。

2014-10-19 12:27:46

火山弾はシェルターを押しつぶす

早川由紀夫 @HayakawaYukio

火山弾が地面に衝突してできたクレーターの例:2004年9月1日の浅間山爆発。 hayakawayukio.jp/news/2000/asam…

2014-10-19 13:27:57
早川由紀夫 @HayakawaYukio

2004年9月の浅間山爆発のときに火山弾の直撃を受けてぺしゃんこになったシェルター。2006年10月撮影 pic.twitter.com/F8bVpeIYcK

2014-10-19 13:39:49
拡大
Ryusuke IMURA @tigers_1964

学ぼうBOSAIではそれで貫きました。弾道を描くものが火山弾。理解してもらうことが大切。“@HayakawaYukio: 火山弾のこの使い方はまだ普及していない。しかしこの使い方を普及して、 ・火山弾 ・火山れき(小石) と表記し分ければ、どんな火山現象が起こったかよく伝わる。”

2014-10-19 13:45:26
早川由紀夫 @HayakawaYukio

御嶽山爆発のあと、どこの火山でもシェルター人気だけど、結局こういうことです。 ・火山弾はシェルターあっても避けられない。シェルターごと押しつぶされる。 ・火山れきを避けるにはシェルターが有効。 つまり火口から1キロや2キロのところにシェルターつくっても、その効果は知れてる。

2014-10-19 13:51:45
早川由紀夫 @HayakawaYukio

2004年9月の爆発でぺしゃんこになった浅間山のシェルター。この写真のほうがわかりやすいかな。2005年9月撮影。火口中心から500メートルの位置。 pic.twitter.com/2ObquVoESH

2014-10-19 14:01:14
拡大

火山弾は20キロも飛ばない