最近火花が降ってくる。

澄川@ため @sumikawa000tame

ターコイズブルーをしたあたしたちの街を覆う液晶から、最近火花が降ってくる。 #フォロワーさんをイメージして小説の書き出し一文 @PIANYCA

上裏そと @PIANYCA

@sumikawa000tame 凄いほど大きな音に聴こえるそれは恐らく日常の些細なモノ。なのかもしれない、私だけがすごんで目を瞑る。世界の反応は驚く程遅く、鈍感で都合が良い。

澄川@ため @sumikawa000tame

@PIANYCA 強化ガラスがはめ殺しになった窓の外ではいつかと変わることなく人々が傘もささずに歩いている。目をひらいても口をひらいてもあの人には伝わらなくてもどかしい。

上裏そと @PIANYCA

@sumikawa000tame もし音も無くこの時間が進んでいたとしたら映画のワンシーンのように素晴らしい程美しく映っただろう。朱く散る火花と蒼い結晶が何も知らずに歩く足共のもとに落下し、弾む。

澄川@ため @sumikawa000tame

@PIANYCA あたしを悩ませる総てが火花となった錯覚を催す。そしてそれは誰にも気づかれることがないまま人々の中に墜落し続ける。私の気分は朱く沈むのよ、と、映画の中で投げやりに語った。

上裏そと @PIANYCA

@sumikawa000tame 発光ダイオードと液晶ディスプレイから容赦無く注がれる光に目をすぼめながら朱を眺める。青く光ったLEDが歩けと言う。人しか居ないコンクリートの上を沢山の足が踏む。朱が踊る。踊れと言う。あたしはようやっと硬く強情なヘッドフォンを外した。

澄川@ため @sumikawa000tame

@PIANYCA かわききった瞳はしばらくしてディスプレイから視線を引き剥がす。さっきまで脳に流し込んでいた不協和音があたしを急き立てる。

上裏そと @PIANYCA

@sumikawa000tame 瞼の中で光がうねる。ガチャガチャと崩れた交響曲に心が踊った。心臓を急激に温められて朱が血管を這うように流れる。気付いた。煩いほど張り巡らされた街を人々は這っている。流れて、崩れて行くこの街をひたすら湧きたている。

澄川@ため @sumikawa000tame

@PIANYCA 湧いて崩れる人々の塊はこの街の血脈をなしている。あちらの通りは動脈で、こちらの歩道は静脈。灰色に膨らんだシティホールは脳で、大通りは脊髄。

上裏そと @PIANYCA

@sumikawa000tame この大きな街を成す細胞の構成員であることは光栄である。実際には何をするでもなく、信号機に歩けと言われたら歩く。液晶に指を滑らせながらただ何を思うでもなく誰かにメッセージを送り、歩く。這う。自分が出来るだけ潤滑な血液であることを願う。

澄川@ため @sumikawa000tame

@PIANYCA あたしがただの血液で細胞であることは憂うべきでない。一瞬前の己を剥ぐようにそう思い、だらだらと流しっぱなしにしていた洋画のディスクを取り出した。