「サプライズド・ドージョー」 #4

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物 詳細はこちら http://togetter.com/li/73867
ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
第1巻「ネオサイタマ炎上」より。「サプライズド・ドージョー 4」
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コンクリートの腐肉と錆び果てた鉄骨の骨で形作られる、殺風景なゴーストタウンを、サイドカー付ハーレーが威圧的に走っていた。ヘッドライトが闇を切り裂くと、線香を突き立てられたトーフのような、解体途中で遺棄された中層集合住宅やオフィスビルが、デジャヴのように何度も何度も繰り返し現れる。
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あらゆる色彩や熱を失ったこの世界で、躍動的に黒光りするハーレーは、さながら、滅亡したオキナワ海底都市の調査に訪れるソナー潜水艦のように異質だ。そして、そこに乗った二人のニンジャもまた、明らかに異質な存在であった。
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C227廃インターチェンジでメガロ・ハイウェイを下りたアースクエイクとヒュージシュリケンは、ヘルカイトからのナビ情報に従ってさらに中国地方を北上。三十数年前に遺棄された、ヒカリ=サン・シンガク学園都市の廃墟へと進入していたのだ。
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中心部へと向かう国道沿いには、重金属酸性雨に曝されて色褪せたノボリが、まるでハカバのように何本も立てられていた。『最高の学習環境』『実際安い』などの空虚なメッセージが、ネンブツのように何度と無くアースクエイクとヒュージシュリケンの目に飛び込んできては、また消えてゆく。
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ごく稀に、ミュータント化した野生の水牛や、酸性雨耐性を獲得したと思われる灰色の竹林が現れ、二人を驚かせた。ネオサイタマの外縁は、まさに深海世界のごとき驚異にあふれている。だが、それらに注意を払う暇は無い。ニンジャたちの目的は、ドラゴン・ドージョーを発見し、放火することなのだ。
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ヒカリ=サン・シンガク学園都市は、数十年前のスクラップビルドで計画的に強制発展させられ殺された地方都市のひとつだ。このようなゴーストタウンは、日本列島全域に、掃いて捨てるほど存在する。住民はゼロ。あらゆるインフラも遮断されている。二十四時間常に、ウシミツ・アワーのような静けさだ。
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#6gates:Earthquake:ヘルカイト、本当にここにドラゴン・ドージョーが? アースクエイクは、ハーレーに備わったデヴァイスを使い、上空のヘルカイトにIRCメッセージを送る。マッポーレベル大気汚染下では、衛星写真など撮影できない。アクチュアルな偵察が必要なのだ。
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#6gates:Hellkite:エグザクトリー。俺のカイトに備わったソナーが、この廃都市から不自然なニンジャ反応をキャッチ。そのまま中心部へストレート。 サイドカーでは、七本目のズバリ・アドレナリンを注射したアースクエイクが、マグロのように口をぱくぱくとさせていた。
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中心部にはいくつかの巨大建築物が存在し、周囲の集合住宅を睥睨していた。その中でも最も高く、現在では巨大なハカイシのように聳え立つのは、ヒカリ=サン第五十七総合大学とヒカリ=サン進学塾のツインタワービルの廃墟。
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その横には、かつてこの都市のすべての文化中心として機能していたであろう、スーパーマーケットとジーンズショップと映画館と病院が合わさった、タケノコ・ヤスイ・ショッピングモールの無残な廃墟があった。
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#6gates:Earthquake:あの一番大きなビルディングか? #6gates:Hellkite:ノー。中心部を突っ切り、そのまま北上してくれ。 ニンジャたちの通信に声は要らない。オムラ・インダストリによりセキュリティ対策がなされたIRCがあるからだ。過去のログも読める。
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#6gates:Earthquake:ゴシック様式のジンジャ・カテドラルが、2時の方向に見えてきた。 #6gates:Hellkite:エグザクトリー。トリイを潜って接近しろ。 作戦目標に近づいている。手応えを感じたアースクエイクは、ハーレーをフルスロットルで前進させた。
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「おい……おい……アースクエイク」ズバリ状態から覚醒したヒュージシュリケンは、まだ余韻が残っているのか、うわごとのように呟いた。 「どうしたヒュージ?」とアース。 「おい……おい……お前はヘルカイトを信用するのか……?」とヒュージ。 「どういう意味だ」
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「奴は…先月シックスゲイツに加わったばかり。その時ナンバー6だったガーゴイルは、武装ヘリ作戦中に、不可解な死を……」 「ニンジャスレイヤーに殺されたのだろう」 「ナビを担当したのはヘルカイト…」 ヒュージはまたズバリ状態に入って瞳孔を開き、喘息マグロのように口をぱくぱくとさせた。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
アースは、帝政ローマの哲人のような顔で沈思黙考に入った。ヘルカイトか、ヒュージシュリケンか、どちらを味方にすべきか。将来性の面ではヘルカイトだろう。しかし、シックスゲイツが3人も同じ作戦にあたるのが、問題の発端なのだ…。ラオモト=サンは、俺たちの誰かを始末する気ではあるまいか。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
冷酷な算段を続けながらも、ハーレーのスピードは落ちない。平安ゴシック様式の厳しいトリイを潜る。不気味な灯篭が道の両脇に立ち並び、侵入者に無言の警告を発する。
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その先には、高さ十数メートルほどの無骨なジンジャ・カテドラルが聳え立っていた。そしてアースクエイクは、カテドラルの障子戸の向こうに幽かにゆらめくボンボリの灯りの列を、確かに見た。 (「サプライズド・ドージョー 5」に続く。このセクションは6で完結。)
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(翻訳チームのひとりより:親愛なる読者の皆さん、今回の連載箇所に一部、改行情報を表示できないようなツイッターブラウザーではうまく読めない箇所がありました。次回以降は改行部分を別ツイートにするなどして、改善される見込みです。今回分はもう、メンドくさいので、アップし直しとかしません)

コメント

オスツ🍣 @alohakun 2010年11月29日
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