No-Marcy@フラットウッズの森さんNoMarcy1225の「バグダッドの電池」

如何に蓋然性の高い結論であろうと、批判に耐えうる実証を伴わない仮説を「真である」と断言するのはトンデモである。そして、こうしたトンデモが流布しているもののひとつが、この「バグダッド電池」なのである。
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大西巷一:『星天のオルド タルク帝国後宮秘史』③巻5/10発売! @kouichi_ohnishi

おもに歴史物の漫画描いてます。 『女媧~JOKER~』『曹操孟徳正伝』『おてんば珠姫さま!』『ダンス・マカブル~西洋暗黒小史』『乙女戦争(ディーヴチー・ヴァールカ)』『星天のオルド タルク帝国後宮秘史』など。新連載準備中。 にゃんこを2匹飼ってます。北海道コンサドーレ札幌を応援してます。

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大西巷一:『星天のオルド タルク帝国後宮秘史』②巻9/12発売! @kouichi_ohnishi

銃とか大砲とか爆薬とかの火薬兵器を初めて知った人物が「これは歴史を塗り替える画期的な兵器だ」とかよく言うじゃないですか。でも真面目に考えるとちょっとリアルじゃないなと。

2014-10-23 12:37:40
大西巷一:『星天のオルド タルク帝国後宮秘史』②巻9/12発売! @kouichi_ohnishi

火薬が発明されてから、火薬兵器が戦場の主役になるまでには、たくさんの技術的・戦術的・社会的ハードルを越えなくてはならず、それには何百年もかかっているわけです。いきなり火薬兵器を見せられても「珍しい技術だけど実戦には役に立たないなと」と判断する方がリアルな反応かと。

2014-10-23 12:42:02
大西巷一:『星天のオルド タルク帝国後宮秘史』②巻9/12発売! @kouichi_ohnishi

100年前の人がインターネット普及後の世界を見せられても恐らく理解できないように、火薬兵器を知らない人がそれを初めて見て近代的な戦場を想像するのはまず不可能だと思います。

2014-10-23 12:44:01
大西巷一:『星天のオルド タルク帝国後宮秘史』②巻9/12発売! @kouichi_ohnishi

だけど現代人はすでに火薬兵器普及後の世界を知っているので、歴史上の人物を描く時もそれを念頭に表現した結果、火薬兵器を見て「これはすごい兵器だ」と喝破しなくてはならないわけです。「面白いけど硝石の確保どうすんの?」とか言ってもシラケるだけなわけです。

2014-10-23 12:48:27
晴天 @seiten_lishnii

ファンタジー世界でも古代中世でもいいけど、剣が幅を利かせてるような世界に現代人が飛びこむ話をやるなら、冶金の専門家もいいな。簡単な銃砲や原始的な蒸気機関を作るにしても強度のある鉄が必要だ。もちろん剣槍や鎧兜も強化軽量化されるはず。冶金製鉄ラノベこそが求められている。

2014-10-23 12:54:34
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

流離いの史学マンと言うか歴史ゴロと言うか何かそんな感じ。

No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

現代人の感覚で、時代背景をすっ飛ばして歴史上の物事を捉えようとすると、大抵変な勘違いの元になりやすい。オーパーツとされる遺物の解釈の場合も同様で、外形や構造の相似だけ見て解釈すると、その歴史的な文脈を無視するような事になりかねない。「バグダッドの電池」なんかはそう言う例。>RT

2014-10-23 13:17:14
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

「バグダッドの電池」は、最も誤解が流布しているオーパーツのひとつであると思う。何しろ「2世紀のパルティアの遺跡から発掘された世界最古の電池であり、メッキに使用されていた」と言う主旨の話が、大企業のHPにまで堂々と載っている位だ。だが、この話に正しい情報は何一つ含まれていない。

2014-10-23 17:20:35
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

結論から言うと、この「バグダッドの電池」は「見た目の構造が電池を想起させる為、電池説が唱えられている遺物」であり、仮説(それも実験考古学の間違った再現実験に基づく)の域を出ていない。また、この「電池」の作られた年代は、壺の様式から5世紀のササン朝時代「以降」である事が判っている。

2014-10-23 17:30:42
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

この「電池」の作られた年代がササン朝期以降である以上、パルティアの遺跡からこれが出土する筈もない。また、最初に発見された「電池」においては、何処から出土したのか、どう言う状況で発掘されたのか、更に元々はどういった状態で発掘されたのか、この全てが判然としないのである。

2014-10-23 17:37:38
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

この「電池説」を最初に唱えたのはドイツのケーニヒであるが、彼がこれを発掘した訳ではない。この「電池」は、バグダッドの博物館に「ホイヤット・ラプア遺跡で発掘された」と言う触れ込みで持ち込まれていた遺物を、ケーニヒが「発見」したものなのである。

2014-10-23 18:26:45
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

つまり発掘者、発掘場所、埋蔵の状況と、全てが判っていないのだ。おまけにケーニヒがこの壺の構造を調べる際に、写真やスケッチを残さなかった為、元々この壺がどういった構造だったのか、と言う客観的な証拠も失われてしまった。銅の筒や鉄の棒がビチュメンの封にどう固定されていたのかも判らない。

2014-10-23 18:33:17
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

「発見者」のケーニヒが、「電池」を連想したこと。また、小数発見されている同種と思われる遺物から、ある程度の推測は可能だが、この「同種と思われる遺物」にしても、全て構造や内容物が異なるのである。共通しているのは、壺の口をビチュメンで封じてある、と言う点のみと言っても過言ではない。

2014-10-23 18:38:55
原田 実 @gishigaku

で、その封印があるかぎり電池としては作動しないというのがなかなか… @NoMarcy1225 共通しているのは、壺の口をビチュメンで封じてある、と言う点のみと言っても過言ではない。

2014-10-23 18:40:54
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

また、再現実験の手法にも問題がある。この「電池」はその後の追試によって、壺の口を封じた状態では酸素の供給が途絶える為、極めて短時間しか発電能力が維持出来ない事が判っているが、実験考古学によるメッキ実験の際には、封を外した状態で行っている。これは手法として公正とは言えない。

2014-10-23 18:47:37
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

また、「電池説」が想定したメッキ説も、現時点では成り立たない。現在、古代のメッキ製品は幾つも発見されているが、その全てが水銀アマルガム法によるメッキであり、電気メッキによる製品は一つもない。加えて、電池であるならば必須の筈の、ケーブルやコード、端子の類いも一切見つかっていない。

2014-10-23 18:54:32
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

また、ササン朝時代の発明であれば、同時代のローマ帝国やビザンツ帝国、後のイスラム帝国に伝聞情報の一つも伝わっていておかしくはないが、そういった史料は一切ない。錬金術等の体系に引き継がれた痕跡はない。つまり「電池説」の根拠となっているのは、手法に問題のある再現実験の結果のみなのだ。

2014-10-23 19:02:26
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

もっとも密閉した状態でも、短時間であれば発電能力はある為、一概に電池ではなかったとも言えないので、仮説として「電池説」は否定されてはいない、と言うのが、現状では正確なところなのである。先に「正しい情報は何一つ含まれていない」と言ったのは以上の理由による。

2014-10-23 19:08:51
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

@gishigaku そこが一番の問題ですよねぇ。電池説の人たちによると、封は保存の為で、使用時には封を外したのだろう、と言う事らしいですが、それならば何故使う時に組まないのか?とw

2014-10-23 19:12:51
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

ではこの「電池」は一体何なのか?と言う疑問がわくのは当然で、これに対する正確な回答はひとつである。「わからない」但し、伝ホイヤット・ラプア出土品以外の物については、用途を推測する事が可能である。発掘時の状態や場所、状況が明らかだからだ。それらは神殿建築等の基礎から発見されている。

2014-10-23 19:23:52
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

これは、メソポタミアの建築と風習に対する知識のある人にとっては、実に有益な示唆となる。古代メソポタミアでは、シュメールの時代から神殿等の建築物をたてる際、基礎に呪いを刻んだ神像や王像、粘土板や石板、簡素な場合は粘土の釘等を埋めるのが習わしだった。これらは定礎埋蔵物と呼ばれている。

2014-10-23 19:31:50
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

この習慣は、イスラム帝国による支配の時代に廃れるまで、メソポタミアに長く残った。埋蔵する品は時代によって変遷を見るが、習慣自体は共通のものと考えて良い。この文脈で見ると、「電池」とされている壺は、定礎埋蔵物の一種であろうと言う仮説が容易に導き出せる。

2014-10-23 19:37:39
No-Marcy@フラットウッズの森のパブリックエネミー @NoMarcy1225

「電池説」の根拠のひとつに、壺の底に残った腐蝕の痕跡がある。この腐蝕が、中に詰めてあった電解液によるものだ、と解釈された訳である。だが、壺の中からは他に、パピルス由来と思われる植物繊維も発見されている。つまり、腐蝕の原因を必ずしも電解液に求める必要はない訳である。

2014-10-23 19:47:43
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