もしスティーブ・ジョブズが日本人だったら

もしスティーブ・ジョブズが日本人だったら、彼は成功しなかっただろうし、成功しても評価されなかっただろう。ノーベル賞受賞後の中村氏への誹謗中傷をみると、才能を評価できない日本人の狭量さが際だつからだ。
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shinshinohara @ShinShinohara

私はたった一人の天才の登場に期待する方法は好きではないし、うまくいかないと考えている。しかしごく稀だが確実に現れる天才という存在を、きちんと評価できない社会は歪んでいると思うので好きではないし、うまくいかないと考えている。ノーベル賞受賞した中村氏を考えるとつくづくそう思う。

2014-10-14 22:25:55
shinshinohara @ShinShinohara

天才は一種の偶然だ。偶然に期待するのは「守株」(古代中国の宋の男が、切り株に頭をぶつけ死んだウサギを見て、次の偶然をジッと待った故事)と同様。偶然に期待すべきではない。鈍才が天才を凌駕できる仕組みや方法を考える方が建設的で確実。

2014-10-14 22:31:49
shinshinohara @ShinShinohara

だが稀に、天才が現れることがある。我々の想像を超えた、到底達し得ないような境地に至る人。こうした人をきちんと評価できない社会はいびつだ。もし評価できないようなら、凡人のアイディアにもケチをつけるだろうから、ロクな進歩も望めなくなる。

2014-10-14 22:34:03
shinshinohara @ShinShinohara

天才が偶然現れたら評価できる社会。我々凡人がない知恵を絞って生み出したアイディアもバカにせずに評価できる社会。それが建設的な社会を生む。凡人をバカにする社会は天才を理解できずに凡人扱いしスポイルするだろう。天才を評価できる社会は凡人を大切にできる社会でもある。

2014-10-14 22:36:43
shinshinohara @ShinShinohara

ノーベル賞受賞の中村氏への批判がネット上で相次いでいる。日本のことを悪く言われたと腹を立て「国賊」「ノーベル賞に値しない」「大したことはしていない」等、口汚く罵る書き込みが多い。私も中村氏の会見は好感を持てなかったが、その反応を見ると「中村氏が正しい」と感じてしまう。

2014-10-23 22:42:25
shinshinohara @ShinShinohara

もしスティーブ・ジョブズが日本人だったら?この問いを考えてみると、中村氏の問題がよく見えてくるように思う。もしジョブズが日本人だったら、アップルでみせた成功は望めなかったろう。成功したとしても「彼自身は大したことをしていない」「他人の手柄を横取りしただけ」と罵られただろう。

2014-10-23 22:47:41
shinshinohara @ShinShinohara

ジョブズも気性が激しく圭角の多い性格だったという。ジョブズに激しく罵られ、喧嘩別れした人間も少なくない。実際、ジョブズは初期のアップルからその気性の激しさ故に追い出されている。ジョブズが日本人だったら、アップルがジョブズにした仕打ちどころでは済まず、もっと手ひどい目にあうだろう。

2014-10-23 22:55:03
shinshinohara @ShinShinohara

ただしジョブズは古巣のアップルに舞い戻った。その能力の高さをきちんと評価し、気性の激しさを大目に見る度量がアメリカ人にはあるということだ。才能があるならほかの部分がいびつでも大目に見て、能力を最大限に活かす。これはアメリカならではの懐の深さだ。

2014-10-23 22:57:21
shinshinohara @ShinShinohara

しかしもしジョブズが日本人だったら、iPhoneやiPadで成功を収めても「いや、もう先行商品で似たようなものがあった」「物まねでしかない」「他人の手柄を横取りしたに違いない」と散々な評価を受けたろう。なぜならジョブズも中村氏と同様、激しい気性で憎まれやすい面もあったからだ。

2014-10-23 23:00:21
shinshinohara @ShinShinohara

そもそもジョブズが日本人ならiPhoneもiPadも生み出せなかったろう。中村氏をこき下ろす人たちの口振りを見ていると、もしジョブズがそばにいても「なんだあいつ才能を鼻にひっかけやがって」と腹を立て、その功績をこき下ろすのに一所懸命になるだろう。才能をつぶす能力だけはあるから。

2014-10-23 23:04:31
shinshinohara @ShinShinohara

ジョブズが活躍できたのは、アメリカ社会が、そしてアップルという会社が、優れた才能を活かすためなら、性格に少々問題があろうと大目に見る度量があったからだ。日本に今、その度量があるだろうか。他人をこき下ろす技術ばかりに長けた日本人が、ジョブズを育てることができるだろうか。

2014-10-23 23:06:43
shinshinohara @ShinShinohara

今の日本はジョブズのような、圭角のある天才を評価できない。性格が円くなければどんなに才能があろうとつぶしてしまう。実に心の狭い国になっている。 天才を評価するには、実は凡才を評価できなければならない、ということに気付かない人が多い。凡才を評価できない人間は天才を見抜けないからだ。

2014-10-23 23:11:06
shinshinohara @ShinShinohara

今の日本では、自分が気に入らないとどれだけ才能が高い人間であっても「凡才以下だよ」とこき下ろすのが流行っている。中村氏も、ノーベル賞という高い評価を与えられているのに、国賊だの凡才以下だの無茶苦茶な誹謗中傷がまかり通っている。そう、天才をも凡才以下と見なしてしまうのが今の日本だ。

2014-10-23 23:14:01
shinshinohara @ShinShinohara

「この人は性格に問題がいろいろある。だけどこの人にはこんな才能がある」と評価できる人は、圭角があるけれども才能にあふれる人間を見逃すことはない。気に入らない人間だったら才能があろうとなかろうと「凡人以下」だとこき下ろす人間は、天才を見抜けないだけでなく、自らつぶしてしまうだろう。

2014-10-23 23:16:55
shinshinohara @ShinShinohara

今の日本にジョブズが生まれないのは、中村氏の発言にも一理ある、と、腹を立てながらも冷静に受け止める度量が日本から失われてしまっているためだ。だが、かつて日本はそうではなかった。勝海州、西郷隆盛、渋沢栄一など、圭角の多い人間を抱え込む度量の大きい人間がいた。だから日本は栄えたのだ。

2014-10-23 23:20:01
shinshinohara @ShinShinohara

松下村塾の吉田松陰は、黒船乗船に失敗して牢屋に入れられたとき、同じ牢の罪人一人一人の才能を称えたという。松陰の凄さはその知謀にあるのではなく、どんな市井の人からも才能を見いだす「凡才を評価する天才」だったことにある。松下村塾から英傑が綺羅星のごとく生まれたのはそのためだ。

2014-10-23 23:23:06
shinshinohara @ShinShinohara

凡人の才能を評価できない人間は、天才を評価することはできない。「あいつは凡人」とこき下ろす人間は、天才をも凡人以下とこき下ろすことだろう。日本がかつて有していた度量を取り戻すことはできるだろうか?中村氏を認めた日亜化学の創業者のような度量ある人が滅べば、もう次はない。

2014-10-23 23:26:17