ヘレニズム彫刻のバイオレント描写について

感情表現などがはっきりと現れてくるヘレニズム期の美術についての一仮説。なぜ暴力的な描写がそれ以前と比べて多く登場するのかということについてまとめています。
人文 ヘレニズム 古代美術 古代ギリシア 美術
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壺屋めり @cari_meli
ヘレニズム期はアレクサンドロス大王の死からエジプトがローマの手に落ちるまでを表すのが一般的なんだけど、大王がエジプトから小アジアまでどんどん侵略を広げていったおかげで王国がすっげーでかくなっちゃって、「ヘレニズム美術は○○で●●で××!」と簡単にまとめるのは難しいらしい。
壺屋めり @cari_meli
その場所によって違うし、またギリシャ本土のスタイルにその土地ならではの美術表現が混ざっていくからね。加えてあんまり史料が残ってない。プリニウスとかもクラシカル美術についてはいろいろ書き残しても、ヘレニズムのほうにはノーコメント。だから出土した品の年代もなかなか分からない。
壺屋めり @cari_meli
という研究者泣かせの時代がヘレニズム期です(キリッ
壺屋めり @cari_meli
でもこの頃の美術すごく面白い。きっちりしっかり理想像に沿っていたクラシカル期の視覚言語から脱して、現実にあるものをそのまま美術に反映させようという試みが見られるのね。肖像は本人の面影を見せるようになり、日常にあふれる風景、酔っぱらいや子供や奴隷といった主題も登場。
壺屋めり @cari_meli
リアリズムはさらに誇張され、激しい動き、強い感情表現なども出現。あと、彫刻やフリーズにおいては三次元性を強く意識するようになる。360°どこから見てもおkだったり、また見る場所によって全く違う印象を与えるような作品が出てくるのね。
壺屋めり @cari_meli
加えて、死、眠り、夢のようなロマンティック/感情の極限を表現するような主題に対する興味が強くなる。有名なラオコーンや眠るフォーン(バルベリーニ・フォーン)もこの類かな。個人的には、とにかくクラシカル期のものより熱く激しく! という印象を受けますだ。
壺屋めり @cari_meli
ここら辺のヘレニズム彫刻に見られる、死や眠りといったものに対する興味や、激しい感情表現、またテクスチャの違いの表現 etc. について、17世紀欧州に流行したバロック美術と似たところがあるので、便宜的に「ヘレニスティック・バロック」と呼ばれたりするみたい。
壺屋めり @cari_meli
で、私の興味はこのヘレニスティック・バロックの特に暴力の表現についてなのだが…なぜここまでバイオレントな描写がヘレニズム期に現れたかについて知りたいのに誰もそこら辺詳しく書いてないよ! 確かに研究しにくいとこだけど誰も疑問に思わなかったの? それとも書くまでもないほどのことなの?
壺屋めり @cari_meli
まぁあの、侵略した地域からの影響とか言ってしまえばいい話なんかもしれんけどさ。
壺屋めり @cari_meli
そこで私はふたつ仮説を立てた。
壺屋めり @cari_meli
仮説① アレクサンドロス大王が死んでから広大な土地はひとりでは統治できなくなり、いくつかの王国に分割されたわけだが、国の規模が小さくなったことで土着の人々が反乱するリスクは高くなる。そこで「お前ら逆らったらこうだぞっ」と見せつける感じでわざとバイオレントなシーンを描いた。
壺屋めり @cari_meli
仮説② クラシカル期の美術は主に公共モニュメントや個人の神に対する捧げもの、また奉納品・埋葬品だったわけだが、ヘレニズム期になると貴族の邸宅を豪華に飾るインテリアとしての美術が登場する。目で見て楽しいものを部屋に飾りたいのは当然。描写された暴力もエンタメの一環となっていた。

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