ハコガクRPG（１）　そもそものはじまり

ひな＠復旧中 @newgibbousmoon

ハコガクRPG①そもそものはじまり 「はぁ？VRMMO。んなのやるかよ。あれだろ、デバイスとか高ぇじゃんか。チャリの維持だけで手一杯だっての」 「なんだ、荒北はデバイスもってないのか？ゲームくらいやるだろう？」 「生憎、オレはゲーム用デバイスもってねえの。野球小僧だったんでね」

ひな＠復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「え？靖友、マジでゲームデバイスもってないの？寿一でさえ持ってるのに」 「え？福ちゃん、ゲームなんかやるんだ？」 「ああ。あまりうまくないんだが」 「へえ。ま、三人でやればいいんじゃない？オレは興味ないから」 野球少年だった荒北はゲームをやらない

ひな＠復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 特にテレビゲーム系は目に悪いからということで、興味があってもまったく手を出さなかった。 そのせいで男子なら誰もがもっているだろうゲーム用のデバイスすら所有していなかった。 荒北の人生において、それほどにゲームの占める割合は低かったのだ。

ひな＠復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 福富がやると聞いても、へえ、とは思っても自分もやろうとかやりたいとは思わなかったし、そんな時間があるのだったらローラーをまわしていたほうがまだ有意義というものだ。 「荒北、今度のゲームは本当にすごいんだ。あのな、ゲーム内のクロックは12倍なんだ」

ひな＠復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「現実には５分だけど、ゲーム内では一時間ってわけ？」 「そ。だから２時間で１日だ」 「え、じゃあ、10時間後に再ログインしたら5日後なわけか？」 「どうなんだろう？そのへんまではよくわかんないけど」 「それに、オレ、受験勉強あっから！」

ひな＠復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「だから、荒北、そこで提案だ。おまえ、ゲームの中で勉強すれば？」 「？？？」 「だって、ゲームの中で二時間勉強しても現実では10分しか過ぎてないんだ。勉強時間が増えるぞ」 「そうそう」 　グラリと荒北の心が大きく揺れた。 「いや、でも、いいわ」

ひな＠復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「えーっ、靖友、一緒にゲームやろうぜ」 「やらねえってば」 聞き分けのない駄々っ子にような新開を何とか宥めた。 「無理強いはしないが、もしやる気になったら声をかけてほしい」 「うん。福ちゃん、ありがとねぇ」 「いや。当然だ」

ひな＠復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 今更ゲーム用デバイスに金を費やす気はなかった。 だが、そんな風に思っていると、あちらから近寄ってくるものらしい。 「え？もらった？」 「ああ。先週の部下の結婚式のビンゴの景品だった」 「チビ共にやればいいじゃんか」 「あれらはもう持ってる」

ひな＠復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「んじゃ、これ、おれのってわけ？」 「そういうことだな」 「ふーん。でもデバイスだけもらっても意味ねえと思うけど」 いくら最新鋭でも作るそれだけでは用をなさないだろう。 「安心しなさい、ちゃんとソフトもつけてある」 「へえ」

ひな＠復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 手に取ったパッケージのタイトルを荒北は読み上げる。 「『カオス・ワールド・オンライン』？なんかありがちなタイトルだな」 「部下のオススメだ」 「ふーん。ま、くれるっていうんならありがたく」 「ああ」 ▼荒北はカオスワールドへの切符を手に入れた