不知火に落ち度はない その25

yamoto @yamoto

大変困ったことになった。 これはある意味基地を揺るがす大問題である。 うまく内密に処理しなければならない、超特大の地雷が俺のスマホの中に映っていた。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

スマホの中に映ってるのは「高画質有料」を謳っているアダルトサイト。売りは素人と言う名の玄人が、投稿してみました、のノリで自撮りをあげてること。 自称素人だがなんかやたら高画質なデジイチ画質で顔が見えないセミヌードがアップロードされている。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

そしてこのサイトだが。 たまーに。 そうたまーにだが、艦娘を模した服装の女子がいることがあるのだ。服装こそ凝ってるしモデルも結構似てる。ただ身につけた制服から漂うものはごまかせない。 結果、他鎮守府の艦娘に似たモデルを見て、興奮するわけである。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

なお、顔見知りの艦娘でいうと、那珂っぽいのを見たことがある。 テカテカ衣装と、那珂より２回りぐらい違うバストサイズに、おい負けてんぞアイドル、と大いに楽しませてもらった。 那珂の服は改造軍服。テカテカなアイドル感は偽物の三分の一程度なのである。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

俺的MVPは愛宕似の秘書オフィスラブ風画像。 本物じゃねえかこれ？ って思う感じのナイスバディに地毛金髪。俺も一般商社マンならこんな秘書囲いたいっていう夢あふるる映像だった。 軍人としては民間企業に夢をはばたかせるのである。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

閑話休題。 さて、問題の画像を表示する。 投稿日時はごく最近。 そこには大写しではしたなく下着を丸見えにしている、よーく見慣れた艦娘の写真が映っている。 ピンク色の髪と、かわいそうな色の下着もあり、見たことある俺だからこそわかる本物感がある。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

決定打となったのは、制服。 支給品の陽炎型制服にしか見えず、はだけたベストの裏側部分に不知火という刺繍がされていた。 あかん。 これはあかん。 この仕様は正式なやつである。 つまり、いけないバイトに手を染めてるってことだ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

どうしてこうなった。 なにがあかんかった。 これお国にバレたら問題どころじゃない。 目が行き届いてませんでしたじゃあ済まされない。こういうことをやりだしたってことは芋づる式にどさどさ出てくるもんである。 買った思春期の取り扱い本にそう書いてあったし。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

こういうのは抑圧とかそういうものがぶっぱなしちゃったらしいので、よっぽどのストレスを俺が与えていたことに他ならぬ。 いろいろ思い返して見るが、思い当たる節がありすぎて頭を抱えている。これが勘違いであればよかったのだが、刺繍の不知火が現実を教えていた。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

ともかくこれは緊急事態だ。 審議を問いただした上で、対処をしなければならん。 不知火を信用したいのは無論のことだ。最悪を想定しなければならん軍人の面倒臭さである。 これで間違いでした、が、最良である。 エロサイトみんなエロ親父ですむわけだしな。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

と、いうわけで証拠となるその一枚の画像を表示。 昼食から帰る不知火を待つ。 俺の飯？ ノド通らねえよこんな画像見せられたら。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

そうして、午後の食事を終えた不知火が司令室に姿を見せる。いつもと変わらない不知火の姿であり、俺の視線に気づいたか何事かと小首を傾げている。 「不知火に何か？」 その服。手元に表示している画像とそっくり同じである。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

元来こういうものは根回しをして調べるのが鉄則だ。 だがンなことしてる余裕なんぞない。 いらん情報が漏れることにもなるし、本人の口から聞くのが一番早いし確実である。 「不知火。ちょっとそこに座りなさい」 「……はあ？ 少々お待ちください」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

からからから、と椅子をひき、俺の前まで持ってきて座る不知火。 ごめん、冷静に考えたら座ってもらうより、目の前に来いでよかった。 だいぶん気が動転している。 おちつけ、素数を数えるんだ。 1、2、4、8、16、32…… #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「なんでしょうか。不知火に落ち度でも？」 あるかないか。 それはこれから判明する。 願わくば、外れであってくれ。 「ちょっとこいつを見てくれ」 そっと差し出すスマートフォン。 それを見た瞬間、え、と不知火が声を漏らした。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「不知火、これに心当たりはないか？」 「……もう少し拝見して宜しいでしょうか？」 「おう。好きにしろ」 不知火が俺のスマホを持ち、いじり出す。 ああ、煙草が吸いたい。 責める気は、とりえずない。 もし、真実なら、どうしてこの行動に至ったかを聞きたい。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「心当たりは、あります。司令」 「そっか……」 身体から力が抜けた。 時に真実とは残酷なものである、と人は言う。 実際その通りである。くそったれ。 なんつーか、俺の力不足を痛感してしまった。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「なあ、不知火。なんかあったんなら話してくれてもいいんだぞ。頼りねえ上司かもしれんが、俺はお前の面倒を見る義務がある」 「……そうですか」 「おう。ちょい待て。流石に仕事って場合じゃねえ」 俺は立ち上がり、ドアの前に立て札を設置。 その後鍵をかけた。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

立てかけた文字は、現在作戦会議中。 電話もそのまま、会議中モードへと変更した。 生きてるのは無線通信機だけである。 「不知火から質問をまず、いいでしょうか？」 「ああ、かまわんぞ。不満でもいい」 「それは後ほどで」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「司令はこれを見てどう思われましたか？」 「かなりのショックを受けた」 「なるほど。それはなぜです？」 「何故ってお前。受けるだろう普通。自分の秘書艦がンなことしてたら」 「そうですか」 なるほど、と頷いた。 ん？なんか会話が噛み合ってない感。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「つまり、司令は不知火がここに映っている。そう判断されたのですね」 「その可能性が極めて高い、と思った、だな。刺繍、まんま一緒だし下着も同じだろう」 「そうですね。いずれも不知火の私物で間違いありません」 同意が出てきた。 参ったな、認められたぞ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「責めるつもりはねえぞ。ただ、理由を聞きたいだけだ」 「司令はどう判断されています？」 「ストレスか仲間内の問題解決。お前給料が足りないってタイプじゃないからな。もし困ってたりしたら手ェ貸すぞ。ここと手を切りたいなら大人パワーでなんとかしてやる」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「了解しました。その件は是非にと言いたいですが。司令」 「何だ？」 「司令は肌を見てどう思ったの？」 は？ 何をおっしゃってますかこの子。 肌ってお前、んなもん見るわきゃないでしょが。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「見せた方が早そうね」 「おい待て、いまなんつった」 いまなんつった。 見せた方が早いって何をですか。 確認しようにも、スマホは不知火の手の中だ。 俺の言葉に答えぬまま、不知火はベストを脱ぎ、タイを解いてワイシャツを脱ぎ捨てた。 ちょ、おま。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

目の前には例の緑のかわいそうなスポブラ。 首元と、腕に少し陽に焼けた身体と、衣服で包まれた場所の境界線が見える。 あれ。まて。 境界線？ サイトの写真を思い出して見るが、そんなのあったっけ。 #不知火に落ち度はない