ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10100745:ショック・トゥ・ザ・システム #3

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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10100745:ショック・トゥ・ザ・システム】#3

2014-10-26 22:03:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(あらすじ:洋上を航行する湾岸警備隊の巨大空母キョウリョク・カンケイ艦隊と、オナタカミ社最新鋭無人空母艦隊。この恐るべき軍事力がニンジャ組織の手で操られ、世界征服戦争の道具と化そうとしている!視察名目で艦隊に同行するシキタリ官房長官は、実はアマクダリ・セクトの邪悪なニンジャだ!)

2014-10-26 22:08:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(そしてキョウリョク・カンケイに積まれた巨大パラボラ装置は、同じくアマクダリ通信網を支配する幹部「アルゴス」のための支配デヴァイスだ!ナムサン!もはやアマクダリによる世界征服計画は秒読み状態なのか?……だが復讐の戦士ニンジャスレイヤーとナンシーが、密かにこの艦隊に潜入していた!)

2014-10-26 22:15:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カタカタ……カタカタカタカタ……。暗いUNIX制御室内に物理タイプ音が響く。そこはまるで異星の昆虫が蠢くネスト。壁も天井も床も無数のLANケーブルで埋め尽くされている。薄汚いフード付ローブで半サイバネ化された体を覆う二十数名のハッカー・カルティストが、無心にタイプを繰り返す。 1

2014-10-26 22:25:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「…ペケロッパ!」「「ペケロッパ!」」数名がシステム異状を感知し、彼らの奉ずる古き神の名を唱えた。艦には数千人のエスイーが乗り込んでいるが、基幹部を監視制御しているのは実はペケロッパ・カルトから派遣された恐るべきハッカーたちだ!アマクダリは今やペケロッパ・カルトをも支配下に! 2

2014-10-26 22:34:22
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「「「ペケロッパ!」」」「……ペケロッパ……!」後頭部から何本もケーブルを生やしたカルティストたちは、論理タイプによる高速IRCで状況を確認しつつ、萎えた声帯や電子音声で、条件反射的に祈りを捧げる。『ハッキング攻撃下な』モニタに警告文字!UNIX制御室内に静かな混乱が広がる。 3

2014-10-26 22:42:42
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室内モニタにはグラフィカル情報など存在せず、艦内マップや脅威発生箇所が赤く光って示される事も無い。彼らに軟弱なUIは必要ない。ただ緑色の文字列が流れるのみ。まごう事なきハッカーの業!中心にサーバめいて座る男が何か判断を下すと、彼らは群生虫めいて統率を回復。そして事態を報告した。4

2014-10-26 22:51:59
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10101355。キョウリョク・カンケイ艦内、アマクダリ機密アクセスルームの大型モニタに『ハッキング攻撃下な』の文字が明滅。シキタリ官房長官ことマスターマインドは、直ちにこの緊急事態をアマクダリ・セクト首魁ラオモト・チバへと報告。同時に、艦内の各系統へと対応命令を下したのだ! 5

2014-10-26 22:57:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『脅威度は……武田信玄級か、それ以下か?』チバがコマンド・グンバイで口元を隠しながら問う。その表情は険しい。現在ネオサイタマでは、ニチョーム包囲戦が開始されているからだ。「未確定ですが、推定脅威度に関わらず……あらゆる潜在事態を想定し、全力で叩きます」マスターマインドが返す。 6

2014-10-26 23:04:39
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『良かろう』チバは頷いた。ニチョームは当然勝利すべき戦争だ。万が一にも長期戦にもつれ込めば、セクト内の統率に揺らぎが生ずる。今洋上にリソースは割けぬ。『お前の言うあらゆる可能性とは何だ』チバは己の直感を試すように言う。「…ニンジャスレイヤー」マスターマインドが苦々しげに言う。 7

2014-10-26 23:12:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「本来ならば有り得ぬ話です。今日の奴の活動データを解析した限り、可能性は実際ゼロに近い。この可能性を提示する事自体が、私の正気を試されているかのようなものだ」マスターマインドは続ける。「だがラオモト=サンの言う通り、奴は狂人です。狂ったニンジャです。故に万全の防衛体制を敷く」 8

2014-10-26 23:17:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『流石はマスターマインド=サンだ』チバが返す。マスターマインドも無言で頷く。当初彼は、ネオサイタマの死神がニチョーム戦に介入すると推理していた。ゆえにジャスティスら「十二人」を殺害し、アマクダリの力を減じようとしているのだと。あるいは今日の計画を中止させようとしているのだと。 9

2014-10-26 23:27:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だが計画は完璧だ。そして計画は止まらぬ。ニチョームはヨロシサン製薬との共同戦線により死の領域と化すだろう。計画は完璧なのだ。「…ここで浮き足立ち、どちらかに戦力を移動させる事こそ最大の愚策」『その通りだ。ニチョームの事は考えるな。お前は脅威を完全排除せよ』チバが通信を切る。 10

2014-10-26 23:35:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ」マスターマインドは大画面に対してオジギし、チバの顔がノイズで見えなくなるまでそうしていた。彼はシステムの信奉者である。ゆえに彼は、狂ったニンジャの存在を、Xファクターの存在を許さぬ。「……そして、アマクダリは勝利する」マスターマインドは顔を上げ、険しい顔で言った。 11

2014-10-26 23:53:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シューッ……」複合ガスマスク型メンポを被ったアマクダリ・ニンジャ、シャープシューターは、赤外線カメラで艦内の様子をスキャンしながら回廊を前進した。ゴーグル液晶面にはアマクダリ艦隊内の秘密IRCが流れ、状況の変化が刻一刻とアップデートされている。 13

2014-10-27 00:07:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シャープシューターの外見は、黒い密着ボディスーツ型ニンジャ装束に分厚い防弾ベスト。「シューッ……」左手にはオートマ拳銃、右手にはスリケン。近代戦闘に最適化された身のこなしと、ハイテク装備の数々。そのミリタリーじみた特徴は、彼が湾岸警備隊出のニンジャであることを物語っている。 14

2014-10-27 00:10:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シャープシューターは前方に、小型の六脚戦闘機械を発見。オナタカミ・ハウンドだ。それは音も無く静かにギャロップして迫る。「イヤーッ!」BLAMBLAMBLAM!シャープシューターは低姿勢で屈み、左手の重金属オートマ弾を連射。さらに右手を別の生き物のように動かし、スリケン投擲。 15

2014-10-27 00:20:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」『グワーッ!』狙い過たず、重金属スリケンはオナタカミ・ハウンドの脳天に深々と突き刺さり戦闘不能状態に追い込んだ。重金属弾もまた脚部に四発、的確に命中している。恐るべき殺傷効率。「シューッ……」シャープシューターはハウンドの残骸に歩み寄り、LANケーブルを接続。 16

2014-10-27 00:25:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ピボボッ。即座に、背中に背負ったUNIXが解析を開始した。シャープシューターはオナタカミ無人空母の中にいる。現在、キョウリョク・カンケイの基幹UNIXシステムと通信装置はハッキング攻撃下にある。ペケロッパ・カルトの解析結果によれば、ハッカーはネオサイタマから接続していない。 17

2014-10-27 00:28:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ハッカーはキョウリョク・カンケイ艦内から有線LAN直結、あるいは、艦隊内のどこかから無線LAN接続している。何故それすら割り出せぬのか?敵は時間差攻撃を仕掛けてきた……2時間前の段階で撹乱ウイルスが仕込まれていたのだ。カルトがこの解析を行うのと並行して、ニンジャが放たれた。 18

2014-10-27 00:37:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シューッ……」シャープシューターは、UNIX経由でメンポゴーグルに送られた解析結果を確認。やはり、ハウンドは艦のシステムに従って自動攻撃を仕掛けてきた。アマクダリ紋を感知しながらも、だ。表向きは正常に見えたこのオナタカミ無人艦のシステム内に、何らかの異常が発生している。 19

2014-10-27 00:47:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『オナタカミ無人艦2番にて異常をディテクト』シャープシューターは、収集したデータをアマクダリIRCに送る。断定はできない。これすらも陽動かもしれないからだ。『出撃時、無人艦に既にニンジャまたはハッカーが潜伏していた可能性は?』『ゼロ』『ではこの数時間のうちに?』『解析待ち』 20

2014-10-27 00:52:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シューッ……」シャープシューターは全方位警戒を続けながら、回廊を進んだ。IRCには他に何人ものニンジャがおり、別々の場所から常時報告を行っている。その全員が、マスターマインドの統率下にある。マスターマインドはさらに、カルトや警備隊司令部とのIRCも並行して行っているのだ。 21

2014-10-27 00:58:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マスターマインドからの命令は、前進。シャープシューターは殺戮機械めいて進む。「シューッ……」船倉部へ至る機密ドア。キュコキュコキュコ……彼は大型ハンドルをニンジャ筋力で回転させる。そして解放。直後!BRATATATATA!先の天井から垂れ下がる自動制御マシンガンが突如迎撃! 22

2014-10-27 01:06:37