建築家・藤村龍至さんによる高瀬啓文さんの『批判的工学主義の建築』の批判への応答(20141028)

省略
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Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

高瀬啓文さんという方が拙著『批判的工学主義の建築』について連続ツイートをして下さっています。まずは拙著をご高覧頂き、詳細な言及をして頂きましたこと、感謝申し上げます。

2014-10-28 09:21:32
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

高瀬さんは1982年生まれ、名古屋工業大学大学院修了、日建設計勤務ののち、NAPに勤務されたとのことですが、直接お会いしたことはないと思います。ツイートの内容は勉強になることや納得できることも多いと感じたため少々ネガティブな内容も含めて最初の一連の発言は全てRTさせて頂きました。

2014-10-28 09:21:42
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

ただ、内容が徐々にエスカレートし、やがて思い込みによる一方的な断定、さらには「稚拙」「二流」「オナニー」などと侮辱するような発言を繰り返した挙げ句、被害妄想的な言動もあり、最後のほうは拙著の議論の偏りを指摘し、前提を明らかにするという「批判」の範疇を超えているように思えました。

2014-10-28 09:21:51
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

「工学のスイも甘いも熟知し〜」「私のようなプロは〜」という自己紹介のされ方からして、事業物件を中心に経験豊富で実力があり、優秀な方ではあるが、少々プライドが高く自信過剰であり、その攻撃的なものの言い方から人が寄りつかず、孤立している承認欲求強めのタイプの人かと見受けられます。

2014-10-28 09:21:59
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

既に何人かの方から「クレーマーみたいな人だから相手にしないでよい」といったアドバイスを頂戴しておりますが、ここでは高瀬さんの名誉のためにも、ご指摘の点について以下、若干の説明と補足を試みたいと思います。

2014-10-28 09:22:15
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

<理論・方法論について>(1)高瀬「1970年代、文化施設は建築家の専属案件〜間違い」→確かに図式的に整理し過ぎているきらいはありますが、広告企画の色が強いバブル時代のビールメーカー4社の企画内容をこの時代の象徴として整理しているに過ぎないので例外はたくさんあるでしょう

2014-10-28 09:22:26
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

(2)高瀬「模型は工学的な価値が見当たらない」→紙資料のアーカイブ以上に合意形成に有効な視覚的効果はあると思われます (3)高瀬「白い模型はリスクが高すぎて採用できない」→変更点の経緯の比較のためであり、適切な情報量かと思われます

2014-10-28 09:22:36
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

(4)高瀬「事業物件では言った言わないが問題になる〜家づくりやアートに使えばよろしい」→家づくりやアートでも同じですし、プロセスを共有することは事業物件でこそ威力を発揮します

2014-10-28 09:22:49
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

<拙作について>(1)高瀬「事業計画甘い」→当然ながら建設地におけるニーズ、初期投資と維持管理費、賃貸料収入、投資回収の期間とのバランスで決まることであり、容積を使い切らなければならないということはないでしょう。それ以前に批判に用いておられる数値が異なります

2014-10-28 09:23:53
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

(2)高瀬「一般的な鉄骨造でも柱型は出ないと思う」→検討の結果、柱形も梁形も出ることがわかり、全部を耐火塗料にするのは相応の費用もかかりますが吊り柱は被覆を入れても界壁内部に納まるメリットがありました。また1階を無柱としたことで工事期間中の搬出入が容易になる利点もありました

2014-10-28 09:24:03
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

(3)高瀬「縦穴は避難すべきバルコニーに火が回る」→竪穴は避難バルコニーではありません (4)高瀬「窓の清掃もどうやるの?」→全て引き違い窓です (5)高瀬「酔った住人がうっかり窓を割ると〜」→全体にバルコニーを重視されるのは理解できますが想定の内容がもはやクレーマーレベルです

2014-10-28 09:24:11
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

(6)高瀬「基壇の上部に設備ピットを設けて」→近隣対応の面でも高さを抑える必要があったためピットを取る余裕はなく、1階コア内も地下ピットから点検が可能です

2014-10-28 09:24:20
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

(7)高瀬「通常のマンションの形式に屋上庭園を設けたほうがずっと人命的にも事業的にもよかった」→近隣のゼネコン数社が営業で提案されていた案がどれもそのような案でした。しかしそれが本当に優れているかどうかは批判的な検討が必要でしょう。

2014-10-28 09:24:34
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

なぜなら事業主はご自身の経験上「そのような案は新築のときはよいが近隣の物件と差がないため時間が経つとすぐに空室だらけになる。屋上やペントハウスを始めとする空間の個性は他にないためそれを求める入居者はいる。結果的に資産価値を維持する」と判断されたのです。

2014-10-28 09:24:43
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

他にもたくさんありますがとりあえずは以上ご参考まで。回答がない指摘は認めるというものではありません。 当たり前ですが、高瀬さんが主張されるような懸念については概ね検討していますし、重要な場面では複数のオプションは都度提示したうえで事業者が私どもの提案を受け入れて下さったのです。

2014-10-28 09:24:53
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

以上のように、高瀬さんは自身の経験の範疇から自らの判断を絶対視し、それを基準として他人の判断についてネガティブチェックを行っているように見えます。その大半は批判のための批判であり、むしろ重要なのは【高瀬さんがなぜ膨大な時間を割いて私の提案にネガティブチェックを行なうのか】です。

2014-10-28 09:25:01
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

考えられる要因は「工学」という用語や「アトリエ/組織/ゼネコン」等の図式に関して説明が不足している点や少々断定的な私のもののいい方、そして煽動的に取れる書き方などに対する違和感であると推察されます。それらは全て私の説明不足、勉強不足、経験不足から来ることで不徳と致すところです。

2014-10-28 09:25:11
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

ただ拙著で使用する「工学」という用語は文中で記述の通りあくまで東浩紀さんの「動物化」の文脈で議論されている作品批評についての議論を、「アトリエ/組織・ゼネコン」という日本独特の文脈で発達した設計者の二層構造を分析するために用いたものです。

2014-10-28 09:25:19
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

そうした議論の前提抜きに「工学」から連想される自身の経験を持ち出し、「事業案件における設計判断のあり方」へと議論をスライドされている点については少々ミスリーディングであり、「書き方が荒い」と言う前に「読み方が荒い」と指摘されてもおかしくないのではないでしょうか。

2014-10-28 09:25:28
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

また「学生が誤解する」というような発言が散見されますが、学生はどんな言説に対しても概ね批判的であり、他の言説と比較して自分が肯定的に受け入れるかどうかを判断するものですし、社会人になって経験するうちに相対化されることもあるでしょう。高瀬さんが思うよりも読者の解釈は多様です。

2014-10-28 09:25:37
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

高瀬さんの反応は痛烈な批判というより誤解の典型でもあり、これまでは後半部分の教育や公共政策への応用へと進むに従って超線形設計プロセスの意味もご理解頂き、共感をして頂く方も多かったのですが、本の出だしでカッカときて後半を読まれていないのは書き手として力不足でした。

2014-10-28 09:25:47
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

繰り返しになりますが、一方的な断定、「稚拙」「二流」「オナニー」などと侮辱的発言は本書の議論の偏りを指摘し、前提を明らかにするという「批判」の範疇を超えており、私だけでなくクライアント、学生など関係者の皆さんにとっても不利益な内容を含んでおり、看過できません。

2014-10-28 09:26:06
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

前後の発言内容を見るにナルシスティックで攻撃的な割には反論に弱く、ツイートの勇ましさとは裏腹に精神に脆さがある方のように見受けられます。また「日建設計」や「NAP」などの記号にこだわっていることからも現在のご自身の仕事や考えに自信が持てずにいるのかも知れません。

2014-10-28 09:26:21
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

私も30代前半の頃はそのような不安がありました。私の場合はフリーペーパーを友人たちと協力して出版したり、イベントを企画して議論の場を積み重ね徐々に不安を乗り越えてきました。今回の単著はその成果であり、ひとつの達成ですが、生産的な議論は以後も継続して参りたいと考えております。

2014-10-28 09:26:40
Ryuji Fujimura @ryuji_fujimura

僭越ながら、高瀬さんが他人を攻撃することで自身が消耗し、孤立を深め傷つくことのないよう、日頃から周囲と前向きな議論を積み重ねることをお勧め致します。

2014-10-28 09:27:02