ストレイトロード:ルート140(8周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」のコンビがお届けする、短編という名の習作。1日1話ペースで継続中。 今回は351~400。毎日書いてたら1年経っていました。 以前のまとめは作者おすすめ欄か下記URLからどうぞ。 元の短編の掲載場所: http://www.gekkado.jp/
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「今どこに向かってる?」「先ほどのご命令の通りに」目的地を言うと藍は一度黙ったが、改めて尋ねた。「わたし、この道を通れって言った?」「間接的には」藍には途中で寄りたい場所があったようだが、出発前の曖昧な指示からは導けない内容だった。本人も言葉の不足にやっと気づいたのか唸っている。

2014-09-06 23:32:26
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、351。曖昧。 言葉以外でも確認するとより安全。

2014-09-06 23:33:28
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

夕食の最中、店内が突然騒がしくなった。壁の向こうは誰かの誕生日を祝う宴会らしい。音程の外れた合唱が聞こえてくる。「大人の声ね。しかもお酒入ってる」「そのようですね」「昼間はあんな声全然出さなかったのに」彼らは今日私達の進路を無言で妨害してきた集団だという。全員が無事だったようだ。

2014-09-07 21:28:22
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、352。祝う。 敵役だって24時間敵をしているわけじゃない。

2014-09-07 21:29:15
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

藍の故郷の学校から今週の宿題が届いた。私の仕事は先に問題を一読し、藍の解答を採点すること。今回は新しい単元に苦戦したようで、先週より点が悪い。「こんな難しいことが全部頭に入ってるなんて信じられない」基礎から解説すると藍は目を見張った。「楽々覚える裏技ってないの?」多分ないと思う。

2014-09-08 18:36:31
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、353。裏技。 わからないことが一つわかると見える世界が変わる。頑張れ。

2014-09-08 18:38:04
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

図書館で藍が見つけた文献によると、過去にはクリーチャーを飼い慣らす試みもあったという。著者によれば最大の問題は餌だった。動物が通常口にしないものも含め様々なモノを与えたが、主食を断定できなかったというのだ。研究者が片腕を喰われた報告まで読んで、私は藍が本を投げ出した理由を悟った。

2014-09-09 19:14:40
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、354。餌。 小さくても牙を向けるなら油断してはいけない。大きな個体なら尚更に。

2014-09-09 19:14:49
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

山中で豪雨に遭遇した私達は強引に進んで道に迷い、古い寺院へ辿り着いた。見晴らしの悪い土地ゆえ怪物に無視されたのか、遠い昔に棄てられた建物はまだ原形を留めていた。「昔はこんな山奥にも人が住んでたの?」「はい、恐らく数十人は」藍はかつて誰かが拝んでいた石像をただの彫像として見上げた。

2014-09-10 19:23:04
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、355。拝む。

2014-09-10 19:23:09
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

土だけの花壇を掘り返す人を見かけた。夏の花が終わり、新しい苗を植えるのだろう。車内に吹き込む秋の風を感じながら私はハンドルを切った。しばらくして、藍が突然一時停止を指示した。「今すぐ引き返して」あの花壇の前に人が集まっていた。昨日植えた苗が消えたと聞き、私は次の目的地を予想した。

2014-09-11 19:03:01
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、356。花壇。 秋の風は魔女を……に誘う?

2014-09-11 19:03:13
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

藍が城壁の構造を利用して怪物を足止めする作戦を披露した時、その無謀さにため息しか出なかった。「うまくいかないと思うなら最初から言わないわ」だから今まで提案されなかった、と私が事前に言っても彼女は聞き入れなかっただろう。成功したからこそ奇策と呼べる。私は黙って口笛を聴くことにした。

2014-09-12 19:52:26
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、357。奇策。

2014-09-12 19:52:30
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

繁華街を通り抜ける途中、すれ違った女性が藍の肩とぶつかった拍子にハンカチを落としていった。気づいた私がそれを持ち主に届け、引き返すと、藍のつまらなそうな顔が待っていた。「ダメだったわね」何の話か分からない私が聞き返したら、逆に不思議そうな顔をされた。「口説いて振られたんでしょ?」

2014-09-13 21:27:22
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、358。口説く。 声が聞こえないから、どんな言葉をかけたことにでもできる?

2014-09-13 21:28:11
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

巨大な研究施設を見るのは久々だった。若き日の苦い思い出を意識から振り落とし、立派な門と周辺に仕掛けられた警報装置を数える。私が知らない種類もあるだろう。この警備の中で何をするのかと藍を見ると、正面から人間用の門に突撃していた。出てきた警備員が何も問わずに道を譲った。顔パスだった。

2014-09-14 19:03:27
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、359。警備。 大人達がコントロールできない魔女。だからこそ興味を持つ人もいる。 彼らになら通る要求というのもきっとある。

2014-09-14 19:03:34
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

ハイウェイ沿いに並ぶ建物群を地図は工場だと紹介していた。壁面の企業ロゴを見た藍が言った。「ここ前に来たかも。学校の何かで」魔女になる前の話だという。「何を見学されたんですか」「お菓子の工場。いい匂いがしてたのは覚えてるけど」説明の退屈さしか印象にないというならそれは大人の責任だ。

2014-09-15 20:53:37
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、360。工場。

2014-09-15 20:53:50
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

警官とお尋ね者が去った後、散らかった屋台の前に店主と私達、そして調味料の匂いが残った。「食い逃げはわたしじゃないのに!」喚く藍に店主はエプロンを渡した。捕り物が店を荒らしたのは事実。その償いは労働。期限は食材の在庫がなくなるまで。騒動の痕跡を片付けた後も仕事がたくさんありそうだ。

2014-09-16 19:12:30
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、361。在庫。 お金よりもっといい結果を生むかもしれない埋め合わせ。

2014-09-16 19:13:23
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

指揮者が私の顔見知りという理由で招かれた演奏会は、藍に思う存分めかし込む機会と過剰な緊張を与えた。片時も私の側を離れないのは初めてかもしれない。「あなたが呼ばれたんだから、今夜はわたしが付き合ってあげるの」一曲目の間に藍は楽器の名を私に尋ねた。次は聴き入り、次で夢の中へ旅立った。

2014-09-17 20:19:31
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、362。指揮。 いつだって最終的な決定権は彼女の手にある。

2014-09-17 20:19:36
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

明日の朝に私達は街を発つ。長旅に備え車に積む荷物は多めに用意した。今、それを何故か藍が点検している。「これ、こんなに必要?」彼女が掴んだのは炭が入った袋だった。燃料以外にも用途があると説明してもまだ納得しない。「木を拾ってきて焼いただけなのに?」一度作らせてみる必要がありそうだ。

2014-09-18 19:47:14
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