夕べの国の上杉愼吉:石川健治「夕映えの上杉愼吉」まとめ(Rasiel氏)

講演「夕映えの上杉愼吉」(石川健治教授) 日時:10月30日(木)14時50分~16時30分 場所:東京大学(本郷キャンパス)、法学政治学系総合教育棟(ガラス棟)204教室 演者:石川健治・東京大学法学政治学研究科教授 演題:夕映えの上杉愼吉 公式案内(PDF):http://www.j.u-tokyo.ac.jp/in/hys/files/201410/20141010koenkai.pdf
石川健治 憲法学 上杉愼吉 法学
hhasegawa 8293view 3コメント
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  • hhasegawa @hhasegawa 2014-10-29 09:26:11
    明日の講演「夕映えの上杉愼吉」の告知。石川健治先生のことだし、「夕映えの」は»Im Abendrot«というより»Im Abendland«で、あまり言及されないハイデルベルク時代から考察されるのか? / “研究案内講演会のご案内…” htn.to/XedLLVU
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 14:38:05
    「夕映えの上杉慎吉」に出るかどうか迷う。
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 17:05:36
    「夕映えの上杉慎吉」、凄まじかったが、半分くらいは私の問題意識とのズレがあった。講演資料がなかったのだけが残念。
  • 「夕映えの上杉愼吉」とはなんの謂いか
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 18:26:27
    本日ガラス棟で行われた石川先生の講演「夕映えの上杉慎吉」、非常に刺激的な講演でした。存在を教えてくれた友人に感謝いたします。以下、うろ覚えなりに内容を整理していきたいと思います。ノートは取っていないので記憶違いがあるかもしれませんが、ご了承ください。
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 18:28:57
    タイトルの「夕映え」とは、上杉が下宿していたゲオルク・イェリネックのアパート屋根裏部屋から見えたであろう空模様と、美濃部との論争に実質的に敗れて「落ち目」となった上杉の晩年をかけたもの。「黄昏」としなかったのは、上杉を再評価する意味も込めて。
  • 法学の「本店」=ドイツと「支店」=日本
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 18:32:07
    講演の入口は永井荷風「小説作法」(aozora.gr.jp/cards/001341/f…。キーワードは「本店と支店」。「本店の内幕を知れば支店の事はすぐわかる道理。大正現代の文学はその源一から十まで悉く西洋近世の文学にあり」という永井の問題意識のアクチュアリティ。
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 18:34:48
    永井をパラフレーズすれば、憲法学者になるためには独逸語の読解が不可欠。明治期以降の日本の知のあり方が、西洋近代の「支店」であるという側面は否定できない。仮に日本語の著作を読むとしても、その著作の背後にある西洋の「本店」を知らなければ話にならない。では「本店」とは何なのか?
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 18:38:28
    例えば、上杉に言わせればそれはランケ『世界史』とギールケ『ドイツ私法概論』。清宮四郎に言わせればそれはイェリネック『一般国家学』。各学者の研究上の来歴によって「一冊」は変動するが、独逸語の書物が座右にあったことには変わりはない。上杉のチョイスは、上杉再評価のきっかけとなる。
  • 美濃部達吉の場合
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 18:41:07
    在学中から、筧克彦などに比べて評価されていなかった美濃部達吉。彼は48歳になるまで憲法学を担当することができず、彼のキャリアは比較法制史の学者としてスタートした。美濃部憲法学はイェリネックに多くを負っているが、イェリネックとは直接の面識なし。美濃部は生涯これを後悔。
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 18:43:19
    美濃部の比較法制史講義ノートなど、貴重な史料が兵庫県高砂市の「美濃部親子文庫」に所蔵されている。石川先生はそこを訪ねて、あまり人の目に触れることのなかった美濃部の直筆ノートを解読。何度も書き直した跡のあるノートに、超人的な伝説で知られる美濃部の人間らしさを知る。
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 18:45:29
    美濃部の講義ノートは「寺院法」(=カノン法)にまで言及し、英仏の中世から近代の法典編纂時代に至るまでの「法の生長」を描いた本格的なものとなっており、こうした歴史家としての仕事が、美濃部憲法学の見えない前提。ここを抜きには議論できないが、今回は上杉がメインなので省略。
  • ハイデルベルクの上杉愼吉
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 18:48:35
    そんな美濃部に対して、上杉慎吉は穂積八束の正統後継者にして、八束を常に越えようと考えていた「生意気」な弟子。従って、ドイツ留学前の上杉は国家法人説に依拠して八束を攻撃していた。しかし、上杉はドイツ留学で一変。ドイツでの過酷な哲学修行(新カント派西南ドイツ学派)。
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 18:52:01
    ヴィルヘルム・ヴィンデルバントの後継人事問題。ゲオルク・ジンメルの就職失敗とハインリヒ・リッカートの就職。上杉はこうした空気の中で、ゲオルク・イェリネックのアパートに下宿し、息子たちと共に学ぶ。ヴェーバーやトレルチのエラノス・クライスへも参加していたかもしれない。
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 18:54:55
    哲学書の一言一言に瞬間湯沸かし器的に反応する上杉は、日本における哲学の不在を嘆き、徐々に精神を病む。結果、イェリネックのアパートを離れ、それが今生の別れとなった。上杉は日本主義者になろうとしてもなりきれなかった人物というのがポイント。國體論なども筧克彦に比べればずぶの素人。
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 18:57:13
    上杉の天皇主権説はヘルマン・レームの影響が大きい。国家を三要素と見るか、君主の支配対象として二要素と見るか、君主自体が国家として一要素と見るか、といった19世紀ドイツ国法学の争いを、日本に持ち込んだ「代理戦争」として、美濃部・上杉論争は理解しなければならない。
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 18:59:32
    上杉は懊悩しつつも、イェリネックの「国家の社会学」と「国家の法学」のうち、前者は生涯堅持しており、それが彼の「イェリネックを裏切っていない」という自意識としてあった。上杉が法学部の社会学講義を晩年=夕映えに担当していた、というのは看過できない。右翼学者としての上杉の再評価。
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 19:01:54
    社会ダーウィニズム、ハーバート・スペンサー、動的なものへの着目、熱力学。動的なものと静的なものという対置は、生涯上杉にあったといえる。コントにまで遡る学問の流れを把握していないと、日本での論戦ですらまともに理解できない。「本店と支店」。しかし、日本史の文脈で理解することも必要。
  • 補論:尾高朝雄と「ノモス主権論」
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 19:04:14
    最後に補論として、尾高朝雄「ノモス主権論」についても触れた。テクストは著者の死後も成長するのではないか、という視点。ユダヤ人サークルの書簡の発見により、にわかに尾高が現代の思想界の最先端に現れようとしている。著者に肉薄する研究も重要だが、テクスト自体の成長可能性も否定はできない。
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 19:06:05
    尾高の種本はデュルケム『自殺論』と言われてきたが、駒場の尾高文庫には『自殺論』だけがない。尾高は『自殺論』を所持していなかった可能性がある。入念な調査により、種本がカール・シュミットと判明。ノモス主権論は、シュミットの提示する3つの選択肢のどれでもないオルタナティブであった。
  • Rasiel @rasiel9713 2014-10-30 19:09:54
    政治の「矩」と国民の(自発的)責任という二重の要請。尾高は現象学的社会学のアルフレート・シュッツらの系譜を通じて、佐藤幸治の物語論へと隔世遺伝。それに比べて、宮沢俊義の「八月革命説」は何と残酷でドライなことか。あれでは、死んだ者は犬死に、生き残った者はデラシネではないのか。

コメント

  • 北守 @hokusyu82 2014-10-31 00:09:14
    尾高朝雄におけるシュミットの種本とはやはり"Über die drei Arten des rechtswissenschaftlichen Denkens"(長尾龍一の『カール・シュミット著作集Ⅰ』に「法学的思惟の三種類」という題で邦訳が掲載)のことだろう。
  • 北守 @hokusyu82 2014-10-31 00:36:16
    動的なものと静的なものの対置という文脈でコントとスペンサーが引用されているのは、いわゆる「社会静学」と「社会動学」という概念が上杉の思想に接続しているという話だと思うのですが、それを理解するには『世界の名著 (46) コント・スペンサー』がおすすめです(Amazonみたら以外と手に入るらしい)。何がいいたいかというと、毀誉褒貶あれど、英米系の思想を学んだ日本の「保守」がいろいろ残念な中で、清水幾太郎だけはやはりえらいということです。
  • 北守 @hokusyu82 2014-10-31 01:01:41
    ところで、上杉慎吉の後継者になるはずであった男は誰だったかを思い出してみると、この講演がにわかにポレーミッシュなものになりはしまいか。

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