稲垣記者のパリMSコラム

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

錦織圭選手の未明の試合をフォローした皆さん、おつかれさまでした。今夜のツォンガ戦も深夜になりますね。錦織ファンのフォロワーの皆さん向けに、ロブレド戦の「ツイッター限定コラム」をお届けしようと思います。帰宅時の電車の中、夕暮れのひとときにどうぞ。うまくいくかな？

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム①）３週間ぶりの実戦となったマスターズ・パリ大会２回戦のロブレド（スペイン）戦。第１セットをタイブレークで落としながら１時間５６分で逆転勝ちした直後、錦織圭に、あえてこんな質問をぶつけてみた。 　「ツアー・ファイナル進出を争うライバルの試合結果は確認したんですか？」

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム②）錦織にしてみれば、「僕が一番重圧は感じてるんだから、追い打ちでプレッシャーをかけないで下さいよ」という心境だったのかもしれない。今季の８強だけが上がる栄誉を得られるひのき舞台、ＡＴＰワールドツアー・ファイナル（１１月、ロンドン）の出場権をかけた争いは、このパリで決まる。

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム③）残り４枠に可能性を残すのは、錦織を含めて６人。２９日は錦織が１番コート最後の第６試合に組まれていたため、ライバルたちはすでに試合を終え、５人全員が勝っていた。負けた瞬間に望みがついえるミロシュ・ラオニッチ（カナダ）は最終セットをタイブレークで制する薄氷の勝利だった。

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム④）外国の記者は遠慮がない。ラオニッチは記者会見で、「仮にツアー・ファイナルに進めなかったとしたら、今季をどう総括する？」と、いささか失礼な質問を浴びていた。錦織は試合直後で、まだ表情に緊張感を漂わせていたが、ライバルの結果を確認したのか、という問いには苦笑交じりに言った。

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム⑤）「まあ確認しないようにしても、どうしても目に入ってきてしまうのでしょうがないというか。とくに一番最後の試合だったので、うーん、いつもできない経験を楽しむことはできないですけど、経験だと思ってやります」。変に強がったり、本音を隠してごまかしたりしないのが、錦織らしさだ。

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム⑥）その後の決意表明が頼もしかった。「まあでも、プレーに影響とかはないので、試合もしっかり集中してできてますし、とりあえず、まあしっかり、ここで１００％出して終わることですね」。ライバルの自滅による脱落なんかに期待せず、自ら道を切り開く覚悟がのぞいた。

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム⑦）最終セットは最初のリターンゲームをブレークする集中力をみせた。「最初の数ゲームがカギだと思っているので、今回もしっかりブレークしていけましたし、ミスを減らして、足を動かすことを意識してやりました」。いつものルーティンを怠らなかった。

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム⑧・終）気になる右臀部の痛みについては「ないですね、ここ数日間は。どこも異常なくやれている。試合がつづけばわからないですけど、大丈夫だと思います」。これで過去１年、フルセットにもつれた試合は１９勝２敗となり、勝率は９割を超えた。（完）

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

パリは朝です。昨日やったツイッター限定コラム、ツォンガ戦でやるか思案中…。

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

フォロワーの皆さんの返信を受け、フェレール戦の必勝祈願も兼ねて（？）、「ツイッター限定コラム」、ツォンガ戦編やります。 お手数ですが、お読みくださった方は「読んだ」と返信いただけると、励みになります。※夕刊記事との若干のダブリ、ご容赦を。さて。

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム①）５年前なら、１８８センチの長身という物理的なことだけでなく、実力的にも見上げる存在だった元世界ランキング５位のツォンガ（フランス）を、錦織圭は壊しにかかった。甘く、浅い返球を逃さず、ベースラインの内側に入り込み、心底、気持ちよさそうに打ちまくった。

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム②）４―０とリードしたのは、開始１７分。６―１で第１セットを奪ったのは、わずか３０分。小休止に入った会場に、ベン・Ｅ・キングの名曲「スタンド・バイ・ミー」が流れた。曲名とさびの歌詞の通り、「そばで支えて」と同情したくなるほど、大観衆を味方にしたツォンガがみじめに見えた。

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム③）前日のロブレド（スペイン）戦は内容的には良かったのに、試合展開は心臓に悪かった。「今日は大丈夫そうだ」と、筆者も少しだけ気が緩んだのが、気まぐれな勝利の女神に伝わったのか。錦織にも試合後に聞いた。「第２セットでツォンガがペースを上げた面はあるけど、自分にも原因は？」

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム④）答えは「中盤くらいから、少しペースを落としすぎたのが原因だと思いますし、彼の動きが良くなったのも事実なので、両方ですね」。自覚はあった。第２セット第６ゲームでブレークポイントを４回つかみながら逃したことで、圧勝のシナリオが狂い出す。４―６で落とした。

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム⑤）こうなったら、ファイナルセットに持ち込めば大丈夫という錦織の「安心理論」を信じるしかない。前週まで過去１年のフルセットの試合は１８勝２敗と勝率は驚異の９割に届く。プロ通算でもフルセットの試合の勝率は７８・３％。現役ではビッグ４も差し置き、堂々の１位だ。

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム⑥）４―３とリードして迎えた第８ゲームで０―４０のブレークチャンスを逃したときは「負けパターンかも」と正直思った。 　このときの心境を、錦織に聞いた。「すごく痛かったですけど、ファーストサーブ３本でしのがれたので、どうしようもない。あまり気にせず、なるべく忘れて、と」

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム⑦）悔やんでも事態は好転しないのを、錦織は経験則で知っている。 　忘れる、しかない。最後のゲームとなった第１０ゲームは、ツォンガが２つのダブルフォールトを犯し、自滅した。最初のダブルフォールトの残像を消せない弱さが招いた結末だとしたら、錦織の「忘却力」が後押しした勝利か。

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム⑧）これまで、幾度も尋ねてきたが、改めて、なぜファイナルセットにめっぽう強いのか、記者会見で自己分析をお願いした。 　「なかなかリターンゲームでチャンスがなかった。キープするのが精いっぱいだった。そこでしっかり、落とさず、しのいだのが今日のカギでした」

稲垣康介　Kosuke Inagaki @Inagaki7K

コラム⑨・終） 　この後の締めに実感がこもっていた。 　「最後はほとんど助けられた感じ。自分が何かやったというわけではないですけど、まあ我慢して、プレーできたからこそのファイナル勝ちでした」。いつもながら、錦織からは我慢と、あきらめない心を教えられる。（完）