ルー・リードインタビュー(1992年、インタビュワー:広瀬陽一 @hirose_yoichi )
(広瀬陽一)アルバム『マジック・アンド・ロス』っていう言葉は、あくまでも『PROFIT & LOSS(利益と損失)』ではないですよね。つまりマジックは必ずしも利益に結びつかない。でもいつでも損失の方は付いてまわるじゃないですか。
2014-11-02 02:23:01(ルー・リード)……第一問としては、実にこみいった質問だな。その答えが分かっていれば、俺は大統領になってたかもしれないな。次に行ってくれないか。
2014-11-02 02:23:14(広瀬)じゃ、3枚組のルー・リード・アンソロジー『BETWEEN THOUGHT AND EXPRESSION』が最近出ましたが、こうやって自分の活動を総括して、辿ってきた軌跡をもう一度なぞってみると、ルー・リードというアーティストの特性を客観的に把握できるところとかありませんか
2014-11-02 02:23:41(広瀬陽一)はははー。えーと、”スイート・ジェーン”や”ワイルド・サイドを歩け”をずっと歌い続けていられることについて「歌詞が時代に流されないよう、時代遅れになったりしないよう書かれている。だから、それを歌うにも問題を感じないんだ」
2014-11-02 02:24:07(広瀬陽一)と言ってられましたけど、歌詞の次元ではそうだとしても、例えば「精神は反復を嫌う」ということがありますよね。どんなものでも同じ事は色褪せていくという。あなたにとっては、過去の名曲を歌っても、その反復から免れているところがどこかにあるんでしょうか。
2014-11-02 02:24:13(広瀬陽一)だから歌詞ではなくて、聴きたいのは歌う時のことなんです。一回一回歌う毎に自分をまっさらな「ゼロ」の状態にもっていけるとか、あるいは何かの自己確認をなしているということがあったりするもんですかね。
2014-11-02 02:24:27(広瀬陽一)今回のライブも、”スイート・ジェーン”で始まりましたし、”ワイルド・サイド”も”ロックンロール”もやられましたよね。でも、そこにはストーンズが”サティスファクション”をやったりする時のマンネリズムや陳腐な感じが漂わない。で、なぜそうなのか、すごく謎なわけです。
2014-11-02 02:24:41(広瀬陽一)でも、やはり彼らが過去の名曲を歌えば、「ああ、またか」と感じてしまう感があるじゃないですか。しかし”ワイルド・サイド”の場合、いまさらこんな歌歌ってる時じゃないだろうという疑念が湧かないんですね。
2014-11-02 02:24:56(広瀬陽一)えー、話を変えます(笑)。初日の24日は、まだサウンド・チェックが完全ではないようで、ライブの途中にあなた何度も、スタッフに指示を耳打ちしたり、手振りで伝えたりしてましたよね。
2014-11-02 02:25:20(広瀬陽一)で、見てるこちらにも、あなたの威圧感が伝わってきて、別に怒られているスタッフでもないのに、なんかビクビクする心持ちだったんです。きっと一緒に仕事している人は、あなたのプレッシャーでストレス溜まるだろうなと思ったりしたんですが。
2014-11-02 02:25:28(ルー・リード)うむ。人間というやつは、周りの音にできる限りのことをして欲しいと思うわけだ。それに、俺の周りのミュージシャンやスタッフは有能な連中ばかりだから、俺は彼らにいい機会を与えているつもりなんだ。その機会をプレッシャーと取ってしまう人もいるかもしれない。
2014-11-02 02:25:35