「アポカリプス・インサイド・テインティッド・ソイル」

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物 詳細はこちら http://togetter.com/li/73867
ニンジャスレイヤー
167258view 1コメント
12
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「アポカリプス・インサイド・テインティッド・ソイル」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
(シーケンスあらすじ) 暗号「タヌキ」を紐解く過程で、フリージャーナリスト「ナンシー・リー」は危険な陰謀を捉えていた。ヨロシサン製薬が開発したバイオ・マッポをネオサイタマ警察が大量導入しようとしている。ナンシーはニンジャスレイヤーの協力をあおぐ。→
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
→バイオ・マッポの導入を看過すれば、ネオサイタマの治安機構すらもソウカイ・シンジケートの手中に収められてしまうであろう。ニンジャスレイヤーはナンシーとともに、オカキ工場に偽装されたヨロシサン製薬のバイオプラントに潜入する。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「ゆくぞ」背後の声にナンシーは飛び上がるほど驚いた。ニンジャスレイヤーであった。「いつからそこに?」「……地図があると聞いたが。見せてもらおう」ニンジャスレイヤーは無感情な声で言った。ナンシーは色褪せたパンチ紙を取りだす。「一年前のデータだから、不正確かもしれない……」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ニンジャスレイヤーは十数枚に及ぶパンチ紙を三秒で確認し終えた。「なるほど、あのオカキ工場……」身を乗り出し、崖下の貧相な工場を見下ろす。ひび割れたコンクリート製の瓦屋根と、小さな煙突が一つ。入り口のノレンに書かれた「オカキ」の文字。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「信じがたいかもしれないけど、確かな情報なのよ…」ナンシーが説明しようとするのをニンジャスレイヤーは手で制した。「言わずともわかる。見ろ。あの巡回警備員」ニンジャスレイヤーは二人組でぶらぶらと工場の入り口近くをうろつくツナギ姿の男を指差した。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「NN445で武装している。湾岸警備軍に支給される装備だ。それに、やつらの顔を見ろ。双子のように似ているだろう」ナンシーはうなずいた。「クローン・ヤクザね」「そうだ。あの顔はY12型、最新のクローン・ヤクザだ。ただのオカキ工場に精鋭武装のY12、ツーマンセルを三組。ありえん」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
入り口の二人、裏口にも二人。二階のバルコニーで、同じ姿勢でタバコを吸っている二人。計六人。全員が同じ風貌である。ニンジャスレイヤーにとってはあまりにも見慣れた顔立ちであった。彼のジュー・ジツを持ってすれば、クローン・ヤクザなど百人来ようが勝負にもなるまい。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
しかし、貧相な工場の中に何が待っているかわからぬ以上、力に頼って正面から突っ込んで行くのは愚策である。ニンジャスレイヤーは岩肌にクサビを打ち付け、崖下にザイルを垂らした。「下りられるか」「ええ」ナンシーは頷いた。ニンジャスレイヤーは片手でザイルをつかみ、崖を蹴りながら降りて行く。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
崖下、ナンシーが着地すると、すぐにニンジャスレイヤーはザイルを外した。特殊な力の掛け方をするだけで容易に外す事のできるザイルが、するするとニンジャスレイヤーの手に収まる。ドウグ社の「オナワ」は、マッポーの世に失われつつある職人の技を継承しつづけているのだ。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「ここで待て。片付ける」言うなり、ニンジャスレイヤーは身を屈めて滑る様に工場へ向かう。「オカキ」「水性」とペイントされたコンテナの陰から陰へ身を移し、入り口のクローン・ヤクザへ近づく。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
バルコニーの狙撃ヤクザが入り口付近から視線を外した瞬間を見計らい、ニンジャスレイヤーはコンテナの陰から門番ヤクザの斜め後ろに飛び出す。(イヤーッ!)(グワーッ!)(イヤーッ!)(グワーッ!)
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
タツジン!まさに一瞬の出来事である。コブラのように滑り出たニンジャスレイヤーは右手のチョップで右の門番ヤクザのこめかみを粉砕し、そのまま跳躍すると、左の門番ヤクザの首を両脚で挟み込み、へし折った。両脚に勢いをつけ、門番ヤクザの死体を投げ飛ばす。もう片方の死体も投げ飛ばす。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
どさり、どさり。二人の死体は、 蓋の空いたコンテナの中に間髪入れず投げ込まれた。コンテナには「燃えない廃棄」とペイントされていた。ニンジャスレイヤーは裏口の二人組を警戒しつつ、バルコニーの真下へ工場の壁伝いに移動した。休む間なく垂直に壁を登り始める。もちろん標的は狙撃ヤクザだ。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ニンジャスレイヤーはバルコニーに手をかけ、タバコを吸う狙撃ヤクザのすぐ下まで肉迫した。バルコニーの縁につかまったまま、手すりにしつらえられた招き猫タイプの欄干を、手の甲でコンコンと叩く。「なんだ?」「どうしましたか」「音がしました」「何ですか」「わかりません」「わたしが見ます」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
狙撃ヤクザの片方が下を覗き込もうとする。(イヤーッ!)ニンジャスレイヤーはその首根っこを掴み、後ろへ投げ飛ばした。(グワーッ!)宙を飛ぶ狙撃ヤクザを狙ってトドメのスリケンを投げる。スリケンは狙撃ヤクザの眉間に突き刺さった。空中で絶命した狙撃ヤクザは先程のコンテナの中へ墜落した。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
残る一人が反応する時間すら与えず、ニンジャスレイヤーはバルコニー上に侵入した。(イヤーッ!)喉元にチョップを突き刺し、絶命させた。(グワーッ!)ニンジャスレイヤーはその死体も後ろへ放り投げた。死体は先程のコンテナの中へストライクした。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
次に、ニンジャスレイヤーは瓦屋根を伝って、裏口の二人組の頭上へ移動した。何も知らぬ最後の二人は、所在なさげに手持ちのアサルトライフルをもてあそんでいる。ニンジャスレイヤーはそこへ向かって飛び降りた。(イヤーッ!)(グワーッ!)(グワーッ!)
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
タツジン!跳び降りながらニンジャスレイヤーは空中で二度蹴りを繰り出し、正確に、それぞれの裏口ヤクザの首を一撃のもとにへし折っていた。ニンジャスレイヤーは二人の死体をまとめて引きずって運ぶと、先程のコンテナの中へ軽々と投げ込んだ。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「片付いたのね……」ナンシーが物陰から現れた。ニンジャスレイヤーの静かなる殺戮をあらためて目のあたりにしたショックか、その整った美貌は心なしか青ざめていた。ニンジャスレイヤーは頷いた。「裏口から侵入する。赤外線モードを使って確かめたが、オカキ工場の中に生体反応は無い」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
二人は「デグチ」「非常識」とネオンで書かれた裏口の小さなドアを開き、侵入した。うちっぱなしの殺風景な廊下である。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「ここだな」二人は「給湯室」と書かれた部屋の前で立ち止まった。先程確認した地図に従えば、この部屋である。ドアは施錠されていたが、ニンジャ握力を持ってすれば障子戸に等しい。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは一息にドアノブをねじり切った。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
そこはまったくもって普通の、標準的な給湯室であった。畳敷きの茶室があり、火鉢とコタツが置かれている。壁には「定時」と毛筆された掛け軸が飾られている。ニンジャスレイヤーは迷わず、土足で茶室に上がって行った。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
掛け軸をずらすと、ドラゴンが刺繍された木製のダイヤルロックが現れた。「情報は今のところ正確だな」「右に回して4,6,4。そのあと左に回して3」ナンシーの言葉に従いニンジャスレイヤーはダイヤルを操作した。がちゃりと音が鳴り、茶室全体が振動し、ゆっくりと降下を始める。エレベーターだ。
残りを読む(58)

コメント

かのさわ @Canosawa 2011年10月30日
RT @NJSLYR: 「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーの反撃はイナズマのような速度であった。振り下ろしたフォレストのマチェーテがとどくよりも早く、ニンジャスレイヤーは宙返りをしながら、フォレストの顎を蹴り上げていた。「グワーッ!」伝説のカラテ技、サマーソルトキックである。