【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?①】

宗教学者 島薗進氏のツイートをまとめました。 日本学術会議が編集協力する雑誌 『月刊 学術の動向』2014年11月号に、 2012年2月15日、福島県立医科大学で行われた学術フォーラムのまとめが掲載されています。 その中に掲載されていた、学術フォーラムで行われた島薗進氏の報告に関する受け止め方を述べた文章についてのまとめです。
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島薗進 @Shimazono

1【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?①】特集「福島第一原発事故にともなう放射線健康不安と精神的影響の実態および地域住民への支援」『学術の動向』11月号。h4.dion.ne.jp/~jssf/text/dou… 本年2月15日、福島医大で行われた学術会議主催学術フォーラムのまとめ。

2014-11-13 09:08:29

月刊学術の動向
2014年11月号
http://www.h4.dion.ne.jp/~jssf/text/doukousp/
特集
福島第一原発事故にともなう
放射線健康不安と精神的影響の実態および地域住民への支援

特集の趣旨 / 川上憲人 ・ 安村誠司 ・ 春日文子
3.11後の放射線被曝と「精神的影響」の複雑性 / 島薗 進
県民健康調査からみた避難者のこころの健康問題とそのケア / 矢部博興
福島プロジェクト
  ―放射線ストレスへの心理支援― / 秋山 剛 ・ 萱間真美 ・ 大野 裕 ・ 川上憲人
地域の現場からみた福島県被災者の多様な不安と困難 / 草野つぎ
日本学術会議主催学術フォーラムを終えて / 川上憲人 ・ 安村誠司

島薗進 @Shimazono

2【原発事故による精神的影響…?①】特集「…放射線…精神的影響…」。(収録稿)川上憲人・安村誠司・春日文子「特集の趣旨」、島薗「3.11後の放射線被曝と「精神的影響」の複雑性」、矢部博興「県民健康調査からみた避難者のこころの健康問題」 h4.dion.ne.jp/~jssf/text/dou…

2014-11-13 09:09:26
島薗進 @Shimazono

3【原発事故による精神…?①】秋山剛・萱間真美・大野裕・川上憲人「福島プロジェクト―放射線ストレスへの心理支援」、草野つぎ「地域の現場からみた福島県被災者の多様な不安と困難」、川上憲人・安村誠司「日本学術会議主催学術フォーラムを終えて」h4.dion.ne.jp/~jssf/text/dou…

2014-11-13 09:10:05
島薗進 @Shimazono

4【原発事故による精神的影響…捉えるか?①】まず川上憲人・安村誠司「日本学術会議主催学術フォーラムを終えて」が島薗の報告をどう捉えているかを紹介する。この文章では、その直前に「放射線健康不安にともなう精神的不調」に注目すべきと述べてあるが、島薗の報告はそうした主張を批判するもの。

2014-11-13 09:10:52
島薗進 @Shimazono

5【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?①】「島薗進氏は、福島第一原発事故後の放射線の健康影響に関する政府や専門家からの情報に対する不信感、展望のない避難生活による精神的苦痛の問題をとりあげている。一方、専門家が原発事故後の精神的影響について言及するとき」

2014-11-13 09:11:08
島薗進 @Shimazono

6【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?①】「放射線への不安の影響をとりあげる傾向があり、原発事故後の精神的影響が複雑であることを見逃していると警鐘を鳴らした。また、放射線の健康影響に対する不安を減らそうとする活動自体が、放射線健康不安が過剰な反応あるいは不健康は状態と」

2014-11-13 09:11:27
島薗進 @Shimazono

7【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?①】「みなす傾向を作り出しており、放射線の健康影響に不安を持っていてもそれを語れない人もでてきているとの指摘もされだ。こうした指摘は重要であり、真摯にとらえるべきである。」これを受け、以下、3つの論点があげられていく。

2014-11-13 09:11:40
島薗進 @Shimazono

8【原発事故による精神的影響…?①】「第一に、概念と用語の整理が必要である。放射線の健康影響に対する不安は、しばしば過剰で不必要な不安ととらえられる傾向がある。しかし、スリーマイル島やチェルノブイリの原発事故後の精神保健の専門家は放射線健康不安自体が病的なものだとは考えていない」

2014-11-13 09:12:22
島薗進 @Shimazono

9【原発事故による精神的影響をどう捉える?①】「Bromet氏もその講演の中で、放射線健康不安を減らすことには言及しなかった。むしろ、放射線健康不安の高い人に、そのために心身の不調を起こさないで済むような支援の提供が必要だと述べていた。つまり、放射線健康不安が高い人に生じやすい」

2014-11-13 09:12:51
島薗進 @Shimazono

10【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?①】「精神的不調や身体症状が、その人の生活を制限したり、生活の質をさげることが懸念すべき課題なのである。秋山氏は、この問題を「放射線ストレス」と表現した。こうした概念整理を進めることにより、本当に対策すべき課題が明らかになり」

2014-11-13 09:13:06
島薗進 @Shimazono

11【原発事故による精神的影響をどう…?①】「誤解のない適切な支援が進められるようになる」「第二に、福島第一原発事故がもたらした住民への生活への影響は、放射線ストレス以外にも多岐にわたるという点である。(2月15日)学術フォーラム当時、福島県会津保健事務所の専門保健技師であった」

2014-11-13 09:13:52
島薗進 @Shimazono

12【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?①】「草野つぎ氏は、会津管内の9市町村における相双地域10市町村からの避難者約4400人の避難生活の支援経験から、住環境の変化が家族や地域の中での役割の変化、近所との関係の分断などのストレスを生んでいると語った」

2014-11-13 09:14:05
島薗進 @Shimazono

13【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?①】「また、避難住民の困難の背景には、今後の生活の見通しの不確かさ、今まで築いてきた生活がいつ取り戻せるのか、何年たてば地域が「復興」できるのかわからないという先の見えない不安がベースにあるとした。生活の変化、将来の不確かさが住民の」

2014-11-13 09:14:23
島薗進 @Shimazono

14【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?①】「精神的健康に与える影響には大きなものがある。これに対して、矢部氏が紹介したような心のケアチームによる支援や、草野氏が述べたような地域保健の中での支援活動が懸命に行われている。原発事故にともなう住民のこうした困難に対する」

2014-11-13 09:14:37
島薗進 @Shimazono

15【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?①】「実態調査や、これへの効果的な支援方法についてもさらに学術研究が進み、福島の復興に役立てられることが期待される。避難生活の複雑な状況が住民の健康と生活に与える影響の分析や解決には、医学と社会学や心理学などの協働も有用と思われる」

2014-11-13 09:14:55
島薗進 @Shimazono

16【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?①】「第三に、この学術フォーラムでは主に住民の精神的健康に着目して保健医療の専門家の立場から議論を進めた、しかし、島薗氏がとりあげた情報への不信の問題、また、自殺された避難住民の精神的苦痛の問題は、単なる健康問題を越えた課題である。」

2014-11-13 09:15:14
島薗進 @Shimazono

17【原発事故による精神的影響をどう…?①】「例えば福島第一原発事故にともなう精神的損害への対応は法学の立場からも検討されている。こうした課題については異なる学術領域が関与し、問題を総合的に分析してゆく必要がある」。以上5~17は川上・安村両氏が島薗の問題提起を受け止めての叙述。

2014-11-13 09:15:41
島薗進 @Shimazono

18【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?①】川上・安村両氏は、まとめの文章の約半分を島薗の論の紹介とそれを受け手の課題の論述にあてている。だが、他方、放射線への不安こそが精神的影響の主要問題だという当初の考え方は維持されている。ここはさらに討議と熟考が必要なところだろう。

2014-11-13 09:16:01
島薗進 @Shimazono

19【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?①】特に重要なのは放射線の健康影響の専門家らが「リスクコミュニケーション」を課題として小グループの話し合いを行うという対策が適当かという問題。特集は、そのような「リスコミ」こそが不信とストレスの要因となる可能性が大きいと認める内容だ。

2014-11-13 09:16:32