リプくれたフォローワーさんを自分の世界観でキャラ化する

リプたくさんありがとうございました! いっぱいあの街の人達を書けて楽しかったです。
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せん@完走しました @sen1000_TB

「最近のヒーローはさあ、なってないの」そういう彼女はそれでも毎晩ここにくる。ヒーローズバーのカウンター。誰と約束してるわけでもなく隣り合った誰かといつも賑やかに。でもみんな知ってる。中継が始まれば手のタバコの灰が落ちるのも忘れて夢中になるのだ。彼女は。 @k_moonphase

2014-11-07 23:35:14
せん@完走しました @sen1000_TB

深夜。今日もラボではキーボードの音が聞こえる。小さな身体をさらに小さくしてモニターを覗きこむ。その横にはブリキの小鳥。ただの玩具ではなく人口知能をもった小鳥は、彼の話相手でもある。囁くように話しかけてキヒっと笑う。小鳥は頷いて小さく囀る。 @saikasouko140

2014-11-07 23:48:29
せん@完走しました @sen1000_TB

怖くて彼女は走った。突然青く光った自分の体。その手が触れるものは皆姿を変えていく。柱もビルも命を持ったかの様にくねくねとその身を捩らせていく。何が起きたのかわからず彼女は走る。後ろから声がした。ピンクとグリーンのヒーロースーツ。足を止める。彼らならきっと。 @bedsides

2014-11-07 23:59:07
せん@完走しました @sen1000_TB

オーダーは「色っぽく」スタイリストとして結構な経験も積んで評価も得てきたけれど、最初宣材を見た時は無理だと思った。ヒーローTVも見てる。あのバディを並べて色っぽく?腕の見せどころではあるけれど、と。そして、実物の彼らに会った時気づく。自分の考えの間違いに。 @tb_onoris

2014-11-08 00:14:29
せん@完走しました @sen1000_TB

ポテトチップスは飲み物だと思う。掴むのが面倒になって袋で流しこんでいたら、ケータイが鳴った。ビデオフォン、カリーナから。「明日のテストのさあ、って、またこんな時間にそんなの食べてるの?」モニターの向こうでカリーナが笑う。「でも細いんだもん、信じらんない」 @katakoriga

2014-11-08 00:27:32
せん@完走しました @sen1000_TB

もうだめだと思った。その瞬間眼を瞑った。けど。「気をつけろよー」急ブレーキ音の後に柔らかい声。見れば不思議な形の髭をした男性が、私の子猫を抱き上げてくれていた。涙を浮かべて礼を言えば、「いいって。でも気をつけてな」ハンチングをかぶりなおして笑ってくれた。 @lilionsofa

2014-11-08 00:36:12
せん@完走しました @sen1000_TB

小さな悲鳴。放っておいた私の作業用の分厚い手袋に蹴っ躓いた姿に溶接用のマスクを上げた。「お、これお嬢ちゃんの?職人さんか。恰好いいなあ」変な形の髭のおじさんが白と緑のパーツを抱えていた。「うちのメカニックから自分で壊した部品直してもらってこいって言われてさ」 @anco_try

2014-11-09 15:12:22
せん@完走しました @sen1000_TB

洗濯物を取り込もうとしていつもシェードが降りている窓が開いてるのに気づいた。干された布団、それを取り込みに来た家主っぽい東洋系の男性。布団に顔を埋めて気持ちよさそうって思ってたら、横から伸びてくる手。金髪の。愛しそうに背を抱かれて、でもあの金髪って、え?えっ? @oftoton

2014-11-09 15:48:54
せん@完走しました @sen1000_TB

電車の窓の外は先日の雪がまだ残ってる。まだらに白くする汚れた雪をぼんやり見ていたら「どちらまで?」と隣の男性に話しかけられた。行き先を答えれば「遠いですね。寒いところだ」と笑い「俺はオリエンタルタウンまで。故郷に帰るんです」と遠い目で呟くようにいった。 @aki_catwing

2014-11-09 15:56:47
せん@完走しました @sen1000_TB

初めて訪れるこの三層の街を、来訪者の眼でとの依頼だった。愛用のカメラを構える。指が動いたタイミングで飛び込んで来たピンクとグリーンのヒーロースーツ。あ、と呟く。人物の写真は撮らない主義だ。だけど今のカットには必要な気がして戸惑う。こんなことは初めてで。 @Sakaki_Aoy

2014-11-09 18:31:49
せん@完走しました @sen1000_TB

道端で少女が泣いていた。大丈夫?と声をかけると、平気です、ありがとうと無理に笑う。 制服のまま。じゃあと去ろうとしたら彼女が見つめる先に誰かいるのに気づく。男性二人。金髪の方は見覚えがある。気候として振り向くと、彼女の眼から氷が落ちる。はらはらと。 @hyousetsu_ice

2014-11-09 21:55:47
せん@完走しました @sen1000_TB

グラスを磨く。カウンターの中では眼も耳も呼ばれた時だけ機能する。だから眼前に座る男性二人の距離が近すぎることも、片方はよく知ってる誰かであることも気づかない、知らない。たとえ空いたグラスをいつも通り変えた時、その片方の手がどこにあるのか見えてしまっても。 @nokomococo

2014-11-09 22:12:35
せん@完走しました @sen1000_TB

普段は静かな猫が騒ぐので外を見に行けば、小雨の中、蹲る少年。どうしたの?と声をかければ尾を呑む蛇の絵を手渡された。その時に触れた手があまりに冷たくて使わずにいた手袋を渡す。要らないと言う彼に何とか渡して見送った。一度だけ振り向いた彼の頬の白さを覚えてる。 @mitune_TI

2014-11-10 15:43:29
せん@完走しました @sen1000_TB

夕陽が向こうの高層ビルを照らすのを見ていた。穏やかな波の音を聞きながら店に戻る。海の傍でいつも暖かい料理を用意する小さな店。普段は常連ばかりだけど、一度だけTVでみる彼らを迎えたことがある。冬の日こっそりと忍ぶ様に。並んで湯気の立つスープに弾けるように微笑んだ。 @sor_tb

2014-11-10 16:20:23
せん@完走しました @sen1000_TB

返ってきた本を著作順に並べて棚に戻す。繰り返す作業。扱う本が変わっても基本変わらない仕事。でもたまに、そう。このあいだ。ヒーローのバーナビーがやってきた。「アライグマの飼い方の本はありますか?」彼の相棒に起きた悲劇を知ったのは、そのしばらく後のこと。 @nachi8118_ss

2014-11-10 18:56:11
せん@完走しました @sen1000_TB

夜明け前、この街が唯一色を失う時間。昇る前の光がだんだんと青く染める。仕事明け、窓の外を見れば光が寝不足の目に沁みる。ふと見上げれば空にはいつもの姿。さえずる小鳥たちとこの街を守る、彼の。微笑んでブラインドを下ろす。仕事再開までとりあえず仮眠するために。 @nktrshp

2014-11-11 13:32:44
せん@完走しました @sen1000_TB

寒さに手袋を嵌める。お気に入りのウサ耳の手袋。すぐそこの距離、間違えて受け取った荷物を届けに向かいのお宅まで。ベルを押して事情を話したらワイルドタイガーみたいな髭の男性が笑顔で礼をくれた。去り際に「そのウサギちゃん可愛いな」って。あ、この人もしかして。 @nonoyalib2

2014-11-11 13:59:25
せん@完走しました @sen1000_TB

無線ネットワークの監視業務。夜勤の深夜の暇なときたまに適当な回線をこっそりモニタリングしたりする。繋いだ回線から聞こえた沈黙。なんだ、つまんないと思って変えようと手を伸ばす。ボタンが触れて切替わる直前に聞こえてきた声。切羽詰まったような熱さで。「バニー」と。 @r_haruta

2014-11-11 16:04:43
せん@完走しました @sen1000_TB

大好きな歌をヘッドホンで聴きながら家路を急ぐ。自宅まであと少しの所で躓いてよろける。と、信じられないことに足元でピンクのうさぎのぬいぐるみが、こちらを見ている。「気をつけてくださいね」そう呟くと立ち上がってメガネくいっと直し、たったっと駆けていった。 @violletamemo

2014-11-11 21:45:52
せん@完走しました @sen1000_TB

「怒ってます?」顔を覗き込んでも、そこに表情はなかった。「いや、だって嵌められたんだろ?」その言葉にほっとするが、声も纏う雰囲気もいつもの彼じゃない。そのことに喉を締め上げられてるような気でいたら、彼の口から信じられないような言葉。「え?」思わず文字数 @mizuki_TBss

2014-11-12 10:12:21
せん@完走しました @sen1000_TB

「あっ」ほんの一瞬だった。ようやく歩くようになったわが子が、ベーカリーで会計を済ますのに一瞬だけ眼を離した瞬間、よちよちと自動ドアを抜けていった。駆ける小さな足が縺れた、その時。「お、危ない」受けとめてくれた長い腕とその彼のハンチングを直すよく見知った顔。 @19noguchi

2014-11-12 13:11:48
せん@完走しました @sen1000_TB

ふと眼が覚めた。窓の外はいつも通り零れる程の夜景。気づけば窓辺に羊が座っていて、編み針で黙々と何かを編んでいた。糸は外の街の光達。色とりどりが細い毛糸になって編み込まれていく。気づけば朝で、不思議な夢だと思っていたら、シーツの上に見覚えのない手袋。 @mikuni_hareno

2014-11-12 13:53:11
せん@完走しました @sen1000_TB

「ごめん、今晩残業できる?」「え、今日は定時退社日…」「ワイルドタイガーがまたやってくれちゃってさ。悪い。今度飯奢るから」「そんなのいいんで早く帰らせてください」溜息ついてケータイを取り出した。あーあ、今日こそ踊りにいく予定だったのに。 @u3710

2014-11-12 14:33:45
せん@完走しました @sen1000_TB

「申し訳ありません。この日はもうすでにご予約が」残念そうな顔をする二人に「こちらの式場でしたら、2か月後に空きがあります」と新しいプランを見せながら、ちらりと壁のポスターを睨む。白いタキシード姿の二人。彼らのおかげで、この街は今空前のウェディングブームだ。 @daphne290

2014-11-12 16:03:21
せん@完走しました @sen1000_TB

「ああ忙しい」幼い子供達の世話と仕事溜まっていく家事。今日も子の名を呼んで家路を急いでいたら、とてんと躓く。あ、と呟く間もなく、ふわりとその体が浮く。見れば大きな犬連れの青い光を纏った青年。礼を言えば聞き覚えのある不思議な口調で恐縮された。心が何となく軽くなる。 @inu_kz

2014-11-14 11:40:38