Partnership:一日目昼

──そして12は集う。
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人間《ディアドラ》 @actSkbz

──こん、こん。それは少女にも、少年にも見える。 手で作った狐にはくはくと呼吸をさせながら、それは『ここ』に辿り着いた。 ずるずると裾を引き摺る深い夜のコートは背側がふっくり不自然に膨らんでいる。 「──だれぞ、おらぬか」 ずるずる。裾を引き摺りながら、うろうろと。

2014-11-18 22:01:00
人間《ディアドラ》 @actSkbz

「むう」 紅の髪結帯を揺らしながら、きょろきょろと。やがて、己から探すのにも飽いたか、ぺたりと座りこめば、こん、こんと両手の狐で独り遊びを始める。 「こん」「こん、こん」 赤の混じる灰髪は長く、纏められているが故に広がる事は無かろうが、誰ぞに踏まれてもおかしくはなかった。

2014-11-18 22:01:02
ユッテリーネ @Jutteline18

ユッテリーネは不思議そうに目を瞬かせた。 確か自分は眠っていたような、と首を傾げた後に気付く。そうだ、夢の中で追いかけっこをしていたのだと。 今はもう失ってしまった、笑っているピエロをただひたすら追いかけて、目の前にあった扉を開けたら此処にいた。

2014-11-18 22:08:52
ユッテリーネ @Jutteline18

「ゆめのせかい……?」 こてん、とユッテリーネは首を傾げる。 絵本のような夢などない景色を見渡すともう一度だけ傾げた。

2014-11-18 22:11:08
ブラウン @nonac_00

ゆらゆらと それは蜃気楼のように あるいは水面に映る月のように ゆるりゆるりと それは振れる 彼方と此方を行ったり来たり 揺らぎは揺らす 空間を空気を思いを揺らし それはまるで鈴のような呼び声となりて りぃんっ、と一つ 彼を呼んだ

2014-11-18 22:11:33
【盈】のラクス @lacuslian

一瞬、意識の空白。何が起こったのかをそれが理解するまで、些か時間を要した。 活動を再開した頭脳に神経が伝える感覚は、ふわり、夢の中で感じるものによく似ている。 否、寧ろ――それのよく親しんでいるものに、よく似ている。 「っれー? 何だってこんなところに迷い込んだのかなァ?」

2014-11-18 22:14:07
【盈】のラクス @lacuslian

それは、背の少し低い男とも、高い女ともつかぬ背丈だった。華奢な肢体に紺色のロングコートを被せている。 不安定に身体を揺らして歩を進めれば、それの緩く三つ編みにした翠色の髪が揺れる。コートと同じく紺色をした大きな帽子のつばがそれの顔を隠すが、垣間見える蒼い目は、不遜な表情を作る。

2014-11-18 22:14:21
【盈】のラクス @lacuslian

それは、帽子の下に指を差し入れて頭を掻いた。人の気配がする。困った。人にはあまり慣れていない。 それはきょろきょろと辺りを見回した。使用人に昼食をせがんでいたはずなのだが、ここはどう考えても自らの屋敷ではなかった。 仕方なしに、それは傍にいる者に声をかける。 「やァ、そこの君」

2014-11-18 22:14:32
盈のゴルゴン・ゾーラ12世 @Gorgonzola_12

…ーーカッ! 目を焼く閃光とともに現れたその男は、白の世界の中空に浮かんでいた。 漆黒の翼に、天を衝く二本の角。 男の様相はまさしく、伝承にある『悪魔』そのものであった。

2014-11-18 22:14:51
ブラウン @nonac_00

鈴の音と共に唐突にそこに男は現れた。 「~~~ッくない?!」 がばり、とシャツの裾を捲り、男は刺されたはずの腹部を撫でる。 痛みはない、傷もない。 押し倒されたせいで痛んでいた背も握り潰されるほど強く捕まれた腕も。 まるで、先程の出来事が夢のように。

2014-11-18 22:15:12
盈のゴルゴン・ゾーラ12世 @Gorgonzola_12

その男は、素晴らしいまでの腹式呼吸で、地を揺るがすような慟哭を上げる。 「ぐぉおおおのれぇえええ!!たとえこの身が滅びようとも、第二第三のゴルゴン・ゾーラは現れ、必ずや、必ずや!憎き勇者に、復讐を果たすであろぉぉぉぉお!!!」 白の世界に響き渡る。

2014-11-18 22:15:58
ブラウン @nonac_00

いや、夢なのは今か。 混乱は直ぐに妙な確信に変化する。 戸惑いながらも、周囲を見渡す。 人影は2つ。空間はどこまでも白く。 「なんだここ。」 独り言のように呟いた言葉は、よく響いた。

2014-11-18 22:16:07
盈のゴルゴン・ゾーラ12世 @Gorgonzola_12

「………」 男は、直後に自分を襲うであろう、聖剣による『滅び』を覚悟し、硬く瞳を閉ざした。 しかし、いつまでたってもそれは起こらない。 「………?」 断末魔のタイミングを間違えたか……? 焦りと恥ずかしさから、額にじわりと汗が滲む。

2014-11-18 22:17:28
盈のゴルゴン・ゾーラ12世 @Gorgonzola_12

「あー…その、アレだ、この世に人の心の醜さがある限り……第二第三の我輩は生まれ……あ、やべ、さっきとかぶってる……えーっと、その、つまりだ……」 アドリブで辞世の句を続けながら、男が目を見開くと、そこには勇者の姿は無く、ただただ空白の世界と、見知らぬ人間たちがいるのみであった。

2014-11-18 22:19:31
【盈】ラクカ @PSnon00

何もなかった白が揺らいで、黒がぽつんと落ちる。 それはそのままゆらゆらと影のようになり、ゆっくりと片目を眠たげに開く。 「……おや」 ここは。と続きは言葉にはならなかった。机に伏して眠っていたつもりだったからか、 いつのまにか立っている自分に驚いたように一瞬バランスを崩しかける。

2014-11-18 22:19:32
【盈】ラクカ @PSnon00

踏みとどまり、体勢を立て直してから辺りへと視線を向ける。 「……夢、でしょうか。それにしてはいやにこう」 妙に意識がはっきりしてるものですねえ。などとぼやくき、気づく。 ひとつ、ふたつ、元から在ったかほぼ同時か。増えていく気配に。 ――そして。

2014-11-18 22:19:38
ブラウン @nonac_00

響いた声は豪声にかき消される。 上を見上げれば白の中にぽつりと黒が浮いている。 地上を見れば先程まで居なかった人影がそれこそ湧いて出たように。 多分、自分もこうして来たのだろう。 そして、これからも人は増えそうだ。 どこまで増えるかは知らないけれど。 いや、うんまぁ。

2014-11-18 22:20:10
【盈】ラクカ @PSnon00

「!?な、なんですか今の声!?」 響いたように聞こえる微かな気配の中。ひときわ大きな声に驚いてそちらを向き。 「…………ええと」 気配は思ったより近くにあったらしい。何度か瞬きをしてその声の主を見つめる。 何と声をかければいいものか、反応に困る。けがはないようだからいいのか。

2014-11-18 22:21:10
【西の供物】ジュリア @Julia_mua_CFF

ふわり、と白の世界に小さくぼやけた姿が現れる。 色彩を持たぬ灰色の髪は、水兵のような服はしっとりと海に濡れた様に湿っている。 「…だれか、いる?ぼくじゃない……誰か、いるの?」

2014-11-18 22:22:15
【盈】のラクス @lacuslian

あちらこちらから、叫ぶ声やら独り言やらが聴こえる。それは涼しい顔で帽子を持ち上げてみせた。 「やれやれ、随分騒がしいねェ」 ほんの少し顔をしかめたのは、大きな音が不快だったからかもしれない。 「それにしても、奇妙なことだ。私が夢を見るのであって、私は夢では無い筈なのだがね」

2014-11-18 22:24:11
ブラウン @nonac_00

「紅茶でも、飲むか。」 暇があれば紅茶を飲む。 それは男の習慣だったし、こういった事態であっても普段と同じ行動を取るのは良いことのように思えた。 現実逃避である。

2014-11-18 22:25:28
【西の供物】ジュリア @Julia_mua_CFF

増えゆく影が集まる方へ、移動する。 この真っ白な空間とて地面と呼べる物はある筈だが、地面を蹴らずに僅かに浮遊した状態で。今さっきまでそうしてきた様に、漂うように。

2014-11-18 22:25:34
人間《ディアドラ》 @actSkbz

──むう。唇を尖らせ、立つ人間を見回す。もぞりとコートの背中側が蠢いた。 「さわがしいやつだの。──おい、おまえ」 こん、と手の狐が指す方──黒い角を日本生やした悪魔のような見目の男を、座ったままに。 「すこし、こえをおとすがよい。うるさい、ぞ」 こん、こん。

2014-11-18 22:27:34
人間《ディアドラ》 @actSkbz

背の高い男からは視線を下げてようやく、姿が見えるかも知れない。赤の虹彩を瞬かせた灰の瞳が気だるげに、ゴルゴン・ゾーラを見詰めていた。

2014-11-18 22:27:36
盈のゴルゴン・ゾーラ12世 @Gorgonzola_12

「……どういうことだ?」 この空白の世界は、先ほどまで自分のいた物質の支配する人間界よりも、魔界に近い性質が見て取れた。 自分は確かに、聖剣パルミジャーノに貫かれ、滅びを迎えるはずだった。 「………」

2014-11-18 22:29:00
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