@SteFoyLesLyonFr さんによる[イングランドの初等教育]シリーズ

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SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

[イングランドの初等教育1]:ロンドンのイラン人から見える初等教育をとおした在英日本人像は『痛々しい』に集約される。私が付き合っている範囲内の話だが、その手の意見は多い。名門私立の小学校には少なからず日本人子弟(=多くは「駐在員」の子どもたち)がいるが、その親たちの態度は1典型。

2010-11-28 09:37:58
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[イングランドの初等教育2]:イギリスの私立小学校は、公立と違って、日本のようにガリガリと勉強させて競争力を養う方針をもっている点で日本の教育と似た部分がある。つまり、イギリスの公立小学校では多くが子どもたちに競争させることを禁じている。まず公立小学校の話から先に書いてみる。

2010-11-28 09:39:58
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[イングランドの初等教育3]:学業も同様。SATS と呼ばれる全国(イングランド&ウエールズ)の子どもたちの学業達成評価テストも競争を促すことはない。かくして、公立小学校では競争することの意味を知らない子どもたちが大量発生し、平等や公平の意識が、その前提のもとに育成される。

2010-11-29 10:16:23
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[イングランドの初等教育4]:これがどのような結果を引き起こしているかについては、プラスと考えられる点、マイナスと判断できる点、それぞれ興味深い点が多い。子どもたちの間には、対人関係においてすぐれて真っ当に対等意識が根付くことになる。これはもちろんプラスの評価である。

2010-11-29 10:17:30
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[イングランドの初等教育5]:子どもたちの間ではもちろん、うすうす、あるいはかなりはっきりと、それぞれの能力の違いが認識されているのは当然だが、それは違いにしかすぎない。その違いは差別化されるものであるとか、優劣をつけるものであるとかの発想へとはあまりつながっていないということ。

2010-11-29 10:18:35
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[イングランドの初等教育6]:結果、子どもたちは概して自分に対して自信をもっている。自分が劣っていたとしても劣っているという感覚をほとんど持たない。他と比較しないのだから。ここにマイナス面も同時発生する。他と比較をできないことで自己の能力や達成の程度を自己評価できない事態である。

2010-11-29 10:20:53
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[イングランドの初等教育7]:これが、単にちょっとした自己過信や過大評価だけならいいが、現実はそれだけではもちろんすまされないことになる。比較という視点を欠いてしまった子どもたちを待ち受けるのは、ローカリズムという落とし穴であり、現状維持肯定の発想。

2010-11-29 10:22:12
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[イングランドの初等教育8]:この点が顕著にあらわれているのは、例えば、イギリス人が外国語を学ぶことに対して極めて消極的であることなど。ちがう世界(ちがう階級、ちがう民族、ちがう文化)への関心をあまりもたない真っ当なイギリス人たちは、その真っ当さ故に思考を停止する傾向にある。

2010-11-29 10:25:30
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[イングランドの初等教育9]:とりわけ、その弊害をこうむったとも言えるのが低中産階級 (lower middle class) に位置している層である。イギリスの地位の低下の歴史が直撃した層かもしれない。

2010-11-30 03:13:39
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[イングランドの初等教育10]:もともと世界的にみて、それなりの競争力をその広い視野とともにもっていたその層が、イギリスの地位低下の歴史をそのまま体現することになった。

2010-11-30 03:15:35
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[イングランドの初等教育11]:イギリスが進めてきた自由、平等政策のターゲットは結局のところ労働者階級と移民層でしかなかったと言い換えることで、それは理解しやすいかもしれない。

2010-11-30 03:16:13
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[イングランドの初等教育12]:底辺にうごめいていた労働者階級や移民の教育はそれなりに成功し、自信をつけた彼らの地位は全般的に向上したのである。低中産階級の地位の相対的低下、労働者階級や移民層の地位向上は社会の大半における階級差を大きく軽減することになった。

2010-11-30 03:17:43
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[イングランドの初等教育13]:イギリス社会は全体的に、まともな感覚をもったふつうの人々が大多数をしめる社会になったとも言える。そこには無理な競争もなく、極端な貧困や学力不足も少なく、それなりの自信と満足をもった視野のせまい集団が形成されてきたのだ。

2010-11-30 03:18:57
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[イングランドの初等教育14]:さらに底辺に取り残されている層(多数は移民、アンダークラス)の問題が現在の課題となっている。この点は高等教育後の被雇用において平等、公平が実現されていないことにつながる問題。教育だけが社会のなかである意味で先にすすんでしまった。

2010-11-30 03:20:23
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

[イングランドの初等教育15]:私立の初等教育の話にもどると、同時にそうした状況は、それ以外の層、とりわけ高中産階級 (upper middle class) との格差をひろげるものとなった。そうした層の多くは初等教育においては私立小学校を選択する。

2010-11-30 19:36:17
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

[イングランドの初等教育16]:そこでは、競争が上手に奨励実践され、ギリシャ語ラテン語を含む外国語が学ばれ、アートやスポーツが充実している。きめ細かいそれぞれの学校方針に基づいて、多種多様で高度な教育がなされていると言えるだろう。

2010-11-30 19:37:00
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[イングランドの初等教育17]:私立校は private school ではなく、independent school と一般に呼ばれるゆえんでもある。Independent であるから、政府推奨のカリキュラムを大きく逸脱していることも当然である。

2010-11-30 19:37:58
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

[イングランドの初等教育18]:それら私立の高度かつ多様さがイギリス社会の「上層部」を支えている。要はイギリスは2極化した社会ということ。だとすれば従来の労働者階級と中産階級の分類に多少ずれが生じただけかというと、そうでもない。

2010-11-30 19:39:03
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

[イングランドの初等教育19]:「上層部」を占めるのは10%程度にすぎない。では総中流化に近いのかと考えるとそうでもない。移民というファクターが鍵をにぎっているから。ここでようやく、イラン人の話、在英日本人の話が関係してくる。

2010-11-30 19:40:53
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

[イングランドの初等教育20]:自国の文化や歴史に対して、ときに尊大な自尊心をもつイラン人。言を変えれば、彼らが他国の文化や歴史に対しても優れて敏感であることも意味する。直近の革命からだけでも31年。それと前後して国外に出てきたイラン人たちの世界を見る目は概して信頼にたる。

2010-11-30 20:11:09
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[イングランドの初等教育21]:イギリスのイラン系の人々が、現在の国際政治状況をにらみながらイギリス社会を相対化しつつ、最善の方法を模索しながらイギリスとつきあっていることは当然と言える。それは移民第2世代の初等教育の現場においても例外ではない。

2010-11-30 20:52:32
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

[イングランドの初等教育22]:教育現場はきわめて政治的である。それにイラン人が敏感なのは当然としても日本人はどうか。イラン人が言う「日本人の痛々しさ」とは「もっと自分たちの利益を真剣に考えばいいのに」という、『誇り高きイラン人さえもが尊敬する日本人』への好意的な批判である。

2010-11-30 21:05:37
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[イングランドの初等教育23]:子どもをイギリスの学校にかよわせる日本人たちの問題点を簡潔に整理してみると以下のように大別して2つになるだろうか:

2010-11-30 21:35:23
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

[イングランドの初等教育24]:(1)日本人はイギリス社会の2極化とその近年の変化に鈍感:イギリスがおそらく他に先んじて体現している世界の政治的、経済的デモグラフィックな構造変化とその初等教育現場への影響への無知。

2010-11-30 21:35:56
SteFoyLesLyonFr @SteFoyLesLyonFr

[イングランドの初等教育25]:(2)イギリスの教育政策の詳細への不勉強:私立校と公立校の本質的なちがいがどのようにそれぞれの教育方針に現われているかに対してあまり自覚的ではない。

2010-11-30 21:36:19
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