【ヒエキヤマ】5話 聞かれる山城

5話 聞かれる山城 ユビワを貰ったことを知った比叡は山城の所に走っていき... こちらのまとめを修正した最終決定版がpixivに上がっています 続きを読む
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桔山 海 @as_keito

私、山城が艦隊に来た時は戦艦は扶桑姉さま、伊勢型の二人、金剛型の四人が揃っていた。 欠陥戦艦の私は主力としては使われないことを覚悟した。唯一の救いは姉さまが主力として扱われていること、それだけだった、けど私には十分だった。 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 22:10:28
桔山 海 @as_keito

主力にはなれないかもしれない。でも姉さまを支えていこう、そう思った。 しかし実際は違った。あの提督ったら私をこき使い、あっという間に練度を上げ主力へと育て上げた。 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 22:15:41
桔山 海 @as_keito

私は戦いたかった。昔はあまり活躍の機会を与えられなかったから。だから私を使ってくれることには感謝している。 提督はぎこちなくユビワを私の指にはめる。私が白く輝くそれを眺めていると提督は脱力したかのように、深く息を吐き、お礼を言った。 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 22:20:53
桔山 海 @as_keito

少し申し訳ない気持ち、でもやっぱり自分の気持ちには嘘はつけない。 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 22:25:01
桔山 海 @as_keito

「提督...あなたに愛はあげられません。でも感謝と信頼はあげられます。ですから、これからも姉さま共々よろしくお願いします」 そう言って私は頭を下げた。これだけは伝えておきたかった。すると私の視界に提督の手が映る。 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 22:30:11
桔山 海 @as_keito

「ああ、これかもよろしくな」 お互いに笑顔で握手を交わす。私は提督の思いには応えられない。それでも円満な形で執務室を後にできたのは少し嬉しかった。もしかしたら、断ることで雰囲気が悪くなってしまうこともあるかもしれないと思ったから。 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 22:35:21
桔山 海 @as_keito

私は部屋に向かって歩く。途中に何人か、すれ違ったときに視線が左手に向かうのを感じた。しばらくこの視線が気になりそうなのは少し憂鬱。 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 22:40:32
桔山 海 @as_keito

当然、部屋に居た扶桑姉さまの視線も私の左手に注がれることとなった。 「山城...それって」 「ええ、提督からです」 「そう...おめでとう山城」 「あ、姉さま少し聞いて欲しいことがあります」 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 22:45:44
桔山 海 @as_keito

姉さまが座っていた座布団の隣にもう一つ座布団を持ってきて座り、事の顛末を話した。 「...そうだったのね。山城はそれで良かったのね?」 「ええ、私が愛せるのは姉さまだけですから」 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 22:50:51
桔山 海 @as_keito

「もう...山城ったら」 そう言って頬を染める姉さまはいつもの美しさとは違う可愛らしさを感じられた。そんな、優しい世界に浸っていた私たちを邪魔するかのようにドッタンバッタン廊下を誰かが走るような音が聞こえてきた。 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 22:56:03
桔山 海 @as_keito

その音は私たちの部屋の前で止まり、ゴンゴンと強めのノックをして私を呼んだ。 「どうしたのよ、比叡?」 流石に主力戦艦の一翼、息一つ上げていなかったが、何だかそわそわした様子だった。 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 23:00:15
桔山 海 @as_keito

「どうしたも何も、貰ったんでしょそれ?」 「はあ...あと何人に説明すればいいのかしら、取り合ず座りましょう」と言って談話室の椅子に二人で腰かけた。 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 23:05:41
桔山 海 @as_keito

一通り説明すると比叡は溜息をついて話し始めた。 「要するにユビワだけは貰ったけど提督の思いには応えないということ?」 「そういうこと」 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 23:10:55
桔山 海 @as_keito

「山城、話長くなりそうだけど聞いてくれる?」 「しょうがないわね」 比叡とは姉に思いを寄せる者同士、話が合い、長話をお互いにするようなそんな仲。 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 23:16:02
桔山 海 @as_keito

でも比叡の事情は少し周りが厄介。そのこともあってあまり迂闊なことは言いたくないというのが私の心境。 「山城が司令をふったことでお姉さまが司令と恋仲になれる可能性が出てきたわけですよ。はあ...あんたが司令を貰ってくれればなぁ」 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 23:20:08
桔山 海 @as_keito

「悪かったわね」 「ホントですよ。まあ、でもわかっていたことだし、しょうがないんですけどね」 「やっぱり比叡もそうなのね...、みんな提督が私を好きってこと気付いてたの?」 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 23:25:29
桔山 海 @as_keito

「みんなかどうかはわかんないけど、新しく来た娘以外は大抵察しが付くかな?」 「はあ...好き嫌いのわかりやい人って上に立つものとしてどうなのかしらね」 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 23:30:39
桔山 海 @as_keito

「まあ、上に立つものとしては良くはないでしょうね。でも司令のは好きなものが特別好きっていう感じでそれ以外が嫌いっていうわけじゃないっていう...あれ?...似たもの同士?」#5話聞かれる山城

2014-11-21 18:26:59
桔山 海 @as_keito

「え?私と提督が?そっそんなわけないじゃない」 私って周りにはそういう風に映っているのかしら。あまり自分がどう見られているか気にしたことは無かったけど、まあ、印象が悪く映ってないなら別にそれでいいかしら。 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 23:35:47
桔山 海 @as_keito

「司令が山城と似たもの同士なら残念ながらお姉さまはふられてしまうんですかね?」 「ホントに残念なのかしら?」 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 23:40:55
桔山 海 @as_keito

「もぉ...山城も意地悪ですねえ。そうですよ。図星ですよ。お姉さまには幸せになってもらいたいでも、私にも振り向いて欲しい。そのためにはお姉さまが司令にふられないとだめなんて...はあ...どうしたらいんでしょうねえ」 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 23:45:06
桔山 海 @as_keito

はあ...私こそどうしたらいいんでしょうねって言いたい気分。比叡、あんたは知らないかもしれないけど、それだけだったらどれだけ事態が楽で済んだことか。 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 23:50:15
桔山 海 @as_keito

霧島がこっそりあんたを思っているなんて、とてもじゃないけどまだ、あんたには話せないわね。 #5話 聞かれる山城

2014-11-20 23:55:28