『性の商品化に関する研究』と当時の朝日新聞の報道・社説について
『性の商品化に関する研究』の漫画調査の対象 ◇1989年6月に発売された月刊と週刊の雑誌332冊から (月2回刊や隔月刊などは省かれたと思われる) ◇4コマ漫画は対象外 ◇読者対象別本数は、少女・82本、少年・137本、成人女性・176本、成人男性・809本、その他・17本
2014-11-19 23:50:56◇1221本中、成人男性が対象とみられた漫画は全体の2/3を占めている ◇『性的描写』とは性交はもちろんのこと、キスや抱擁までの段階も含んでいる ◇以上基準では『性的描写』は608本で全体の半数 ◇そのため朝日新聞社説にて《集められた漫画の多くが、男性中心の物語》と書かれる
2014-11-19 23:59:48というわけで、もし朝日新聞が『性の商品化に関する研究』で調査対象になった漫画を読者対象別にきちんと本数を分けて報道したとしても、〈世に氾濫する成人男性向けの漫画が女性を支配して性の対象である「モノ」として扱い〉という内容になってしまったかもしれず、方向性は大して違わないでしょう。
2014-11-20 00:07:39朝日新聞の報道で使われた数字の出所は?
都が雑誌マンガを調査 半数にセックス描写(朝日新聞 1990年8月24日 朝刊) Read: tl.gd/n_1sihc5s
2014-11-18 16:38:23『性の商品化に関する研究』のキャプチャをかなり久々に引っ張り出したが、第3章『雑誌メディアに見られる性の商品化』は27ページ分しかないのに、第2章『性・風俗に関する都民の意識』は63ページ分もある。なお、ポルノにあたる雑誌・映画・ビデオに関する都民への意識調査結果は第2章にある。
2014-11-18 22:18:25なお、社説の根拠として『性の商品化に関する研究』第2章から採用された部分は正確には以下からです。 『 第2節 調査結果の概要 1 性意識について (3)マスメディアの性的表現に対する意識 ア 「性に関する露骨な表現」について イ 「女性の身体の一部を強調した表現」について 』
2014-11-18 23:30:38hmt.u-toyama.ac.jp/socio/lab/sots… 『貧しい漫画が多すぎる』の朝日新聞社説であるが、『性の商品化に関する研究』第2章からは『(3)マスメディアの性的表現に対する意識 イ 「女性の身体の一部を強調した表現」について』の男女別総合の意識調査のみ数字を引っ張り出している。
2014-11-18 22:33:48『ア 「性に関する露骨な表現」について』は、『青少年に悪影響を及ぼす』が男性43%・女性57%で、 《都民へのアンケートでも、青少年への影響を憂える声が大きかった。こうした漫画や写真を幼い時から見せられて育つと、どんな人間になるのだろうか。》 と社説で述べた根拠はたぶんこれ。
2014-11-18 22:42:55しかし、『イ 「女性の身体の一部を強調した表現」について』では、『きれいだなと感じる』が男性39%・女性17%、『女性に対する蔑視だと思う』が男性2%・女性12%、『不快に感じる』が男性16%・女性43%とかなり差が開く。社説には『きれい』、『女性蔑視・不快』の数字が載ることに。
2014-11-18 22:54:10『イ 「女性の身体の一部を強調した表現」について』で決定的なのは、『わくわくして興奮する』が男性13%・女性0%。 ところが、『3 性風俗について (1)各種性的メディアに対する接触経験について』となると、ポルノとされる雑誌・映画・ビデオに『わくわくして興奮した』女性はいた。
2014-11-18 23:07:31もちろん、男性と比べると女性がそれらを見た経験は低いし、女性蔑視・不快だと感じる率は高いが、『わくわくして興奮した』が皆無ではないというデータが出てしまっては、これを出して性的描写を叩くのは厳しいと判断されたのかもしれない。だって調査対象は1988年末には18歳以上の男女だから。
2014-11-18 23:15:08では、『性の商品化に関する研究』第3章にて、1989年6月に購入して調査された雑誌内の4コマ漫画を除く漫画のターゲット別の本数はというと、少女・82本、少年・137本、成人女性・176本、成人男性・809本、その他・17本となってました。そりゃ調査結果が片寄るのは当然なんですが。
2014-11-18 23:40:491990年8月24日朝刊記事では題から『都が雑誌マンガを調査 半数にセックス描写』、9月4日社説で《漫画の50%は性的描写を含み》と朝日新聞が『性の商品化に関する研究』から出した『セックス描写・性的描写』はどこからかというと、キスや抱擁のみも含みます。24日記事は煽りすぎですね。
2014-11-18 23:49:110時またいだから続けちゃえ。 twitlonger.com/show/n_1sihc5s ↑の記事にもあるけど、《(1989)年6月中に書店で売られていた月刊、週刊誌》が対象ということは、月2回刊の雑誌は除外?なら、マーガレット、花とゆめ、少女コミック、少女フレンドは入らないことになる。
2014-11-19 00:38:30だって1989年6月に発売された雑誌に少女漫画が「82本」なのは、妙に少ないのでおかしい。 1980年代になっても唯一の週刊少女漫画雑誌として頑張っていたマーガレットもさすがに時代の波には勝てず、1988年についに現在の月2回刊に変わった。
2014-11-19 00:48:15少女フレンドは1991年の月刊化を経て1996年に廃刊。1989年時点ではまだ月2回刊なので、東京都の調査対象にはならなかったはず。 ちなみにうちの母は会社勤めの頃に独身寮でマーガレットを回し読みして、ベルサイユのばらをリアルタイムで読み、私が子供の頃までは別マを読んでました。
2014-11-19 01:10:40朝日新聞1989年4月14日のレディコミ特集記事
ちなみに、1989年4月14日の朝日新聞朝刊16、17面にレディースコミックのブームを解説する記事が載りまして、それによると1988年に定期刊行誌が31種出て、記事時点で1989年内に2誌の創刊が決定。さらに増刊号は1987年に147種、1988年に210種と着実に増えてました。
2015-09-03 22:44:551988年のレディコミ誌の発行部数は本誌と増刊号を合わせて約1億660万部。1987年と比べて10.4%の伸び。なお、少女漫画誌35種については1988年の発行部数が1億4600万部でレディコミを上回ってはいますが、前年比1%増と停滞しています。
2015-09-03 22:51:26《少女マンガ卒業層マト 生活感に合う物語提供》 《日常の半歩先を描く 疑似体験し不満を解消》 《既婚作家の増加も一役》 これら記事内見出しはわかりやすく、少女漫画家が結婚を機にフリーになり引退するか仕事を減らすことが多かったため、それでも描きたいという需要とも合致したのだそう。
2015-09-03 23:04:16記事内でページやコマが引用された作品は、津雲むつみ『風の輪舞』(東海テレビにて2度昼ドラ化。千葉県知事主演の『おれは男だ!』原作の作者でもある)、川崎三枝子『SEXYボーイズ』(記事ではベッドシーンから引用)、深見じゅん『悪女』(インタビューも掲載)でした。
2015-09-03 23:12:36東京都が『性の商品化に関する研究』のために1989年6月発売の月刊誌や週刊誌(それ以外の月2回刊や隔月刊などの雑誌は省かれたと思われる)の漫画(4コマ、恐らく1コマも除く)やグラビアを調査した頃は、伸びの点では市場が停滞ぎみだった少女漫画より、レディコミのほうに勢いがあった。
2016-02-22 00:47:57さきの朝日新聞記事から1988年の少女漫画雑誌とレディコミ誌の年間部数を比べると、前者は1億4600万部で後者は約1億660万部。しかし、1989年6月の東京都の調査での掲載作品本数は、少女漫画が82本、レディコミ誌が176本で、前者は月2回刊の雑誌を省いた影響が感じられる。
2016-02-22 01:00:46