【スケッチと意見】福間健二 #2factory76

スケッチと意見。それだけで成り立っているような作品を目ざした。しかし、描写的なスケッチもない、意見らしいものも伝わらない、と文句を言われそうだ。頭に浮かべている風景は、実は住んでいるマンションの近所である。となりが郵便局、そのとなりが豆腐屋さん。結局、狭い範囲を歩いて、最後はそこに戻ったという感じだ。 音楽は、2でパンクロックを出したので、バズコックス「Orgasm Addict」。 https://www.youtube.com/watch?v=p2Mi995ggFU
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福間健二 @acasaazul

キャベツ畑。資本主義についてのいくつかの、義理の息子的身ぶりからの、薄い線が交錯する。かんちがいするな。おもしろいジョークなんかもうない。端の方から収穫してムラのないようにするだけだ。夏以来隠れているピストル。役に立たないやつほど可愛い。(スケッチと意見1)#2factory76

2014-11-16 12:25:47
福間健二 @acasaazul

キャベツ畑の、キャベツじゃないもの。だれの言葉も聞かない、自分で自分を棄てていく気分の線にパンクロックを歌わせた。夏にすれちがったサーフパンツの娘たちを思い出すようなことだ。感動しながら川ぞいの道に出る。書道教室の看板がずり落ちている。(スケッチと意見2)#2factory76

2014-11-17 10:07:13
福間健二 @acasaazul

目的をつかめない腕が痛む。レモン型の悪い知らせの、ただ転がっていたい残像でしかないとしても、人類。方々で待ち伏せている。たとえば、まったく関係のない影の上に爆発しようとして。ここ、目で笑わなくては。あわてて駆けだす姉妹の、アナザーサイド。(スケッチと意見3)#2factory76

2014-11-18 09:14:11
福間健二 @acasaazul

だれの死なのか。きのうからの命令のどこが笑わない川の水に浮くのか。鳥がうたって。毎日していること、簡単にできることが、勝手におりてくる雲のためにやりにくい。その雲を刺激する濡れた靴下のなかの硬いもの。フロイトのように言うな。靴下は靴下だ。(スケッチと意見4)#2factory76

2014-11-19 10:08:09
福間健二 @acasaazul

忍びよってくるその黄色。裏返された秋の患者たちの告白なのだ。病院が近くにある。バス停と紙袋の忘れ物もある。だれに会う約束が泡立つのだろう。頭をあげているほうがいいぞ。それぞれの存在理由。小さな窪みの利用法。かれらは自分で考えて疲れはてる。(スケッチと意見5)#2factory76

2014-11-20 12:01:45
福間健二 @acasaazul

人の声、人の姿。人であることはどう恥ずかしいか。うなっても、ニヤニヤしても、疲れて妥協しつづけるきょうを隠せないスプーンになったぼくが素材だ。旭通り中央、旭通り坂下、大学寮前、たまらん坂。曲げるのか。投げるのか。このバスの窓はあかないよ。(スケッチと意見6)#2factory76

2014-11-21 12:35:40
福間健二 @acasaazul

刻み目。ぼんやり、それが見えていて、バスをおりた男は医療センターの裏の林に迷い込む。声がしたのだろうか。枯葉のなかに生まれ、見るという行為との敵対関係のなかに育つ姉妹の身の上話。スプーンでそれをこじあける。夕方が死後の朝になっている。(スケッチと意見7)#2factory76

2014-11-22 09:57:26
福間健二 @acasaazul

ミルクティーを飲み、ヘンリー・ミラーを読んでいた。気分はわるくない。人類というキャベツ畑から追放される雑草の夢だ。それがわかって、坂をおりていく。今度もただの苦難じゃない。ミモレ丈のスカートの郵便局員と親しくなって夜になれば失恋する。(スケッチと意見8)#2factory76

2014-11-23 09:30:09
福間健二 @acasaazul

それが見えていて。それがわかって。夜の光と音、そのなかに生きかえる自分も、いざとなったときの、鉄とプラスティックでできた機械も、収穫の終わったキャベツ畑におきざりにして。こいつ、どこまで行けるのか。空気だ。深い呼吸だ。ウイスキーは、なし。(スケッチと意見9)#2factory76

2014-11-24 09:12:59
福間健二 @acasaazul

つまり、水で酔う。これが最後の仕事。一瞬、すべてが透きとおる。それを目ではなく体全体で感じる。くっきり。からっぽ。好きです。ルールを守る人。郵便局のポスターの前の、静かな死後。豆腐屋さんで油揚げを二枚買ってもう日が暮れる。もう冬だ。(スケッチと意見10)#2factory76

2014-11-25 09:53:22