読書案内

本の紹介
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むう🦄 @mmfsguu

今宵の読書案内:「薬指の標本」小川洋子 私を本の世界に誘った切っ掛けの一冊。標本室という聞き慣れぬ場所での「わたし」と「弟子丸氏」の二人の関係を透明度の高い宝石のような文章で紡ぐ囚われの恋愛小説。美しい硬質さを持ちながらも部分的に酷く肉感的なので、その対比を感じていただきたい。

2014-11-23 22:34:51
むう🦄 @mmfsguu

今宵の読書案内:「これはペンです」円城塔 表題作は「文字の叔父」と「わたし」の不可思議なテクストを介した交流の物語。二篇目の「良い夜を持っている」は「父子」の話であり「父母」の出会いの話でもある。無限の記憶力の街を生きた父という存在を紐解く一篇。双方共ロマンチックな難解さが良い。

2014-11-26 22:08:39
むう🦄 @mmfsguu

今宵の読書案内:「ステーシーズ」大槻ケンヂ あのね、あたしたち好きな人にもう一度会うため歩いただけよ。ゾンビと化し人を喰らうようになった愛しい恋人をライダーマンの右手で165分割以上の肉塊にして再殺する彼らは何を想うのか。元ネタとなった作者の楽曲と合わせて読んでいただきたい一冊。

2014-11-30 22:20:58
むう🦄 @mmfsguu

今宵の読書案内:「センセイの鞄」川上弘美 老齢の「センセイ」とその教え子だった「わたし」が飲み屋で再開したことを発端に育まれる愛情を季節感溢れる柔らかな文章で綴った恋愛小説。しかし、のどやかな老いの陰りの後に遺されたのは儚々とした空間だけであることは寂しい。料理の描写が素敵です。

2014-12-03 21:27:03
むう🦄 @mmfsguu

今宵の読書案内:「夫婦茶碗」町田康 愛すべきクズ男文学。二篇の物語があるが双方共に唸る程にクズな男が主軸である。彼らはある意味合いにおいては真面目な哲学者であるのかもしれない。ロッカーである作者によるリズミカルで冗長な文体に惹き込まれ、クズ男たちの哀しくも可笑しな人生を垣間見る。

2014-12-06 00:18:36
むう🦄 @mmfsguu

今宵の読書案内:「おはなしして子ちゃん」藤野可織 ポップ&キュートでダークな短編集。全体的に日常の中に不可解さが紛れ込んでいる。SFチックな「美人は気合い」と作者のホラー好きが窺える「今日の心霊」および「逃げろ!」は個人的におすすめ。「ピエタとトランジ」は女の子二人がかわいい。

2014-12-07 20:11:45
むう🦄 @mmfsguu

今宵の読書案内:「江戸川乱歩傑作選」江戸川乱歩 江戸川乱歩入門書としてお勧めします。妖しくエロティックでグロテスクな「人間椅子」や「芋虫」に、覗きやレンズに対するフェティシズムを曝け出した「屋根裏の散歩者」と「鏡地獄」など、江戸川乱歩特有の空気を纏った短篇を収録した濃厚な一冊。

2014-12-10 21:58:36
むう🦄 @mmfsguu

今宵の読書案内:「甘い蜜の部屋」森茉莉 父の深い愛情の部屋に棲まうモイラは愛を喰らう獣である。男たちはそんな彼女の無垢な牙の餌となり溺れ果てゆく。端正で品位ある文章によって紡がれる輝かしく美しいロマネスクは森鴎外の娘である作者特有の美意識によって構成され今尚鮮やかさを失わない。

2014-12-12 23:54:12
むう🦄 @mmfsguu

今宵の読書案内:「少年・卵」谷山浩子 ある少年と関わったことで鳥子は奇妙な世界へと迷い込む。数々の迷曲を生み出してきた作者によるファンタジー小説群の一つ。作者の様々な楽曲同様に不思議でそれでいて不気味な、だが幻想的な美しさを持つ一冊。迷宮の中の迷宮を彷徨い歩くような感覚を味わう。

2014-12-16 22:31:37