稲川淳二のつぶやき怪談　2014年11月28日投稿分

稲川淳二 @Junji_Inagawa

日増しに冷え込みが厳しくなってきましたね。 みなさん、お変りないですか？ 稲川淳二です。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

当り前の事ですけど、１１月が終ると、もう１２月ですよね。 今年も残すところあとひと月、 いろいろとありましたが、過ぎてしまえば１年が早いですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

年々、時間が早く短くなってゆくようで、 これも年のせいでしょうかね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

もっとも私の場合、毎年の事、慌しいうちに長―いツアーの夏を終えると、 既に１０月の末になってますから、 この２０年、殆ど、〝秋が無い〟というか、 時間の〝空き〟が無い儘に、冬のライブとなる訳です。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

・・・年末大売出し、歳末助け合い、お歳暮にクリスマスに、 怪談ライブはいかがでしょうか？

稲川淳二 @Junji_Inagawa

おかしなもので、夏のツアーが終ると、またみなさんに会いたくなっちゃうんです。 お時間ありましたら、おいで下さいね。 恐怖で冷えないように、 会場を暖めて、お待ちしてまーす。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

今夜「つぶやき怪談」開催します。 節電のために、部屋の明かりを消して、 怖ーい噺で楽しんで下さい。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

どうぞ、お時間がありましたら、遊びに来て下さいね。 ゆったりと、くつろいで、お付き合いいただければと思います。 楽しみにして下さいね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

こんばんは、稲川淳二です。 お待たせしましたねぇ、それでは、そろそろ始めましょうか。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

稲川淳二の「つぶやき怪談」、怖・楽しい時間を、共有しましょう。 何が起こっても、責任はとれませんけど。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

旅芸人の一座の楽屋っていうのは、 忙しく着物を着替える者もいれば、その向こうで化粧をしている者もいるんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

これは、私の知り合いの旅芸人さんから聞いた話です。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その日は、慌しく役者が動き回っている楽屋の、壁をはさんだ隣の小さな暗い小部屋に、 今朝方亡くなった、老役者のヤタさんって人の遺体が安置されていたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

芝居がはねて、夏の遅～い夕闇がやっと辺りを包み始めた頃……。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

一座の一人が、 「おい、今日はさー、悪いけど夜中、通路の明かり、消さないでくれよ」 って言って、皆で食事に出掛けた訳です。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

小屋番のおじさんが 「あーい、判ったよー」 って答えて。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ただ一人、楽屋には、この亡くなったヤタさんという老役者の付き人だった若者が残ったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

時間が経って夜遅く、皆食事も済んで、酒飲んで帰って来たんです。 お土産に寿司の折りを持って帰って、 「あーい、ご苦労さん。へーい、お土産」 と、中へ入って行ったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

すると、楽屋から、 ”ドンドンドンドンドンドン、バタバタ” という音がして、何か、 ”ブツブツブツ～” って騒いでいるから、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

『何だろな？』 って見てみたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そうしたら、付き人の若者が耳を塞いだり、テーブルを叩いたり、足をバタバタさせて、 「ウーン、ウーン、あ～、バタバタバタ、うあ～」 ってしているんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「おい！　どうしたんだ！？おい！」 「う～んう～ん、バタバタバタ、ドンドンドン、う～」 「おい！　おい！　どうしたんだよ！？」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「はい！？　はっ、はっ、おかえんなさい」 「あ、おかえんなさいじゃないよ。何やってんだ？」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「はい、あの、あの…こうしてないと…あのー、…聞こえるんです」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ふっ、と見ると、 『え？』 ”コーンココーン、コンコン、コンコン、コンコン…” 隣の部屋から、壁を叩く音がするんです。