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#思想史たん公開読書会 「アナルコ・セクシュアリズムを目指して」

今回取り上げる住吉雅美「アナルコ・セクシュアリズムをめざして」はそういった状況に一石を投じる、非常にラディカルな問題提起です。人によっては戸惑いを覚える方もいるかもしれません。しかしこの論文は「心と体の性の一致」が自明だというある種の思い込みに良い刺激を与えることになるでしょう。
社会問題 性的少数者 LGBT アナルコ・セクシュアリズム セクシュアルマイノリティ
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思想史たん @shisoshi_tan
それでは、第2回 #思想史たん読書会 を始めたいと思います。
思想史たん @shisoshi_tan
奇しくも今日、アップル社のティム・クックCEOが同性愛者であることを公表しました。いわゆる「セクシュアルマイノリティ」と呼ばれる人達が、決して遠い存在ではなく、非常に身近な存在であることをまた実感するきっかけとなるでしょう。 jp.techcrunch.com/2014/10/31/201…
思想史たん @shisoshi_tan
しかし私を含めた多くの異性愛者=性的多数者にとって、性的少数者と出会うきっかけって意識しないとなかなか無い、と思っているのではないでしょうか?今でこそ私も性的少数者の知り合いが何人かいるのですが、それ以前はそういう風に考えていました。
思想史たん @shisoshi_tan
そうではない。単に知らない・気づいていないだけなのです。性的少数者と呼ばれる人達は、私を含めた性的多数者のすぐ身近にいるのです。今日、外を歩いていたら知らぬ間にすれ違っていたかもしれない。テレビをつけたら性的少数者であることを公言している芸能人を見かけることも多くあるでしょう。
思想史たん @shisoshi_tan
しかし、今の世の中において「生き辛さ」を感じている性的少数者も少なくありません。メディアにもよく取り上げられ、一見市民権を得ているように思えても、その語り口は学術的な文脈というよりはセンセーショナルな好奇心からなされていることが多いのではないでしょうか。
思想史たん @shisoshi_tan
今回取り上げる住吉雅美「アナルコ・セクシュアリズムをめざして」はそういった状況に一石を投じる、非常にラディカルな問題提起です。人によっては戸惑いを覚える方もいるかもしれません。しかしこの論文は「心と体の性の一致」が自明だというある種の思い込みに良い刺激を与えることになるでしょう。
思想史たん @shisoshi_tan
住吉はのっけから人間集団を男と女とに二分化して扱い、人間の性は二つであるから異性愛が標準なのだと考えることをやめよ、とポレミックに訴える。住吉によると人間の性はn人いればn個あるわけであり、同一人物においてもn個の性がありうるという非常に流動的なものであると捉えるべきなのである。
思想史たん @shisoshi_tan
住吉は、こうした思考転換を通じて二極化された性の間で性自認が揺らいでる人々や、性指向の変化を体験している人々、その他異性愛を≪正常≫とする「性システム」の中で疎外感や圧迫感を感じている人々がマイノリティという囲い込みから解放されるのだと主張する。#思想史たん公開読書会
思想史たん @shisoshi_tan
住吉によると、性」とは実体ではなくむしろ特化された認識枠組であってそこに人間の多様な全生命活動の中から性別にまつわる事柄だけが摘出・集約され問題とされてきたからこそ、あたかも「性」が実態的なものであるかのように錯覚されてきたのだという。#思想史たん公開読書会
思想史たん @shisoshi_tan
行為・意識・思考様式の集束である。住吉によると、近代社会のジェンダーは基本的に能動的な<男>が受動的な<女>を支配し管理するという物語を持っており、セックスやセクシュアリティにも強い刻印を与えるものだという。#思想史たん公開読書会
思想史たん @shisoshi_tan
住吉はセクシュアリティが人ごとに多様な肉体接触を巡る快楽・欲望を取りまとめ、言説の対象となす場合に用いられる概念あるいは呼称として理解すべきだとする。しかしセクシュアリティは社会の権力的介入や干渉に対しては無防備で傷付けられやすく、正常・異常、健康・病気という評価が侵入する。
思想史たん @shisoshi_tan
また、ジェンダーが社会においてセクシュアリティの≪物語≫、たとえば生殖につながる異性への性欲が正常なものであり異性間の成功における快楽こそが真の喜びであるといった言説を生産することによって、人々は無意識のうちに異性愛基軸へ思考を誘導してしまうのである。#思想史たん公開読書会
思想史たん @shisoshi_tan
こうした現状を踏まえ、住吉は日常生活でのわれわれの行為・実践をジェンダーの高速から解放することが困難だとする。その原因は個人の主観的・自発的とみえる行為自体が、生活世界に埋め込まれた意味や言葉の歪みに基づいた社会の構造化の効果なのである。#思想史たん公開読書会
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住吉はその具体例として一つ目に「近代家族という名の家父長制」が人々の心身に自然的な生活であるかのように浸透しているのだという。異性婚と嫡出子という要素から成り立つ「近代社会」とは賃金労働者としての夫が自己と子の再生産を実現するために妻という<女>の肉体と無償家事労働を支配する
思想史たん @shisoshi_tan
という制度であり、それがゆえに夫は一切の再生産労働から解放され、社会の生産労働に専念できる。「近代家族」とはこのように近代産業システムの成立の過程と相関的に生じた市場への労働力供給装置に過ぎないと住吉は喝破する。人類史において普遍的な生活様式とは言えないこうした家族のありようは
思想史たん @shisoshi_tan
という制度であり、それがゆえに夫は一切の再生産労働から解放され、社会の生産労働に専念できる。「近代家族」とはこのように近代産業システムの成立の過程と相関的に生じた市場への労働力供給装置に過ぎないと住吉は喝破する。人類史において普遍的な生活様式とは言えないこうした家族のありようは
思想史たん @shisoshi_tan
≪子孫を残す≫という観点から異性愛が特権視されているのであり、再生産と「近代家族」という必然的な結合を断ち切るべきである。 #思想史たん公開読書会
思想史たん @shisoshi_tan
また、住吉はもう一つの具体例として「一人一生涯一性別」を人々は強いられているのだとする。我々は戸籍をはじめとして様々な公的文書に<男>か<女>かの性別を強いられ、しかも生涯を通じて性別を自由に変更することが許されない。国家生活において暗黙の内に人は生涯にわたり原則的に一性であって
思想史たん @shisoshi_tan
国家は各人に自由に性別を変更することを禁ずるのである。 #思想史たん公開読書会
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住吉によると、現代社会においては異性愛が基準としてヘゲモニーを持っており、それ以外の性思考を実践する人々が周縁に追いやられているという。そこで、異性愛ではない多様な性志向の実践者が抑圧されない社会を実現するための条件として、更に性自認が揺らいでいる人々に苦痛をもたらす
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「一人一生涯一性別」という規範性をいかにして解体すべきかという問題を考察するために次の4つの論点を提示する。 #思想史たん公開読書会
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一つ目は「アイデンティティ・ポリティックス」である。レズビアンやゲイの人々が自らの性アイデンティティを掲げて政治活動を展開し市民権を獲得するのである。そのことによって異性愛というヘゲモニーに飼い馴らされたマジョリティの意識を覚醒させることが期待できる。#思想史たん公開読書会
思想史たん @shisoshi_tan
しかしこの方法は≪内なる排除≫を生み出す可能性を見逃してはならない。真正なレズビアン・ゲイというアイデンティティを称揚することで、それに必ずしも当てはまらないバイセクシュアルなどの人々を排除することになりはしないか。そもそも同性愛が志向と行為なのであり、性志向の問題が
思想史たん @shisoshi_tan
同性愛を志向する人々全ての人格構成要素の中で等しいウェイトを占めるわけではないからである。≪同性愛者であること≫に市民権を認めよという訴えに集約してしまうと同性愛者間の多様性の抑圧となり、異性愛者に「あらゆる同性愛者にとって性愛問題こそが全てである」という誤解を与える恐れもある。
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そこで住吉は、声を上げることの効力を享受しつつ先述の困難を克服するためには様々な出会いと闘争に向けてオープンな排除性のないアピール、たとえば「私は同性の恋人を愛している」といったアイデンフィケーションの作業過程をアピールする方が効果的であるとする。#思想史たん公開読書会
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