親愛なる兄さんへ

地獄からお送りしているラジオ @YMYK11110404ILY

親愛なる兄さんへ。雪なんかまだ降っちゃいないがもう空気は冬のにおいがするね。君がいない冬は初めてだ。僕が一人で冬支度ができるかどうか心配だろうが安心してくれ、薪割りはもうずいぶん慣れたよ。シチューだって一人で作れるようになった。君の好物のアップルパイも。

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いつでも帰って来てくれていいよ。君の部屋は取ってある。そうだ、兄さんの机の引き出しから見つけた懐中時計、壊れていたから修理に出しておきました。また直ったら元のように置いておくよ。

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ああ、そう、君の留守中に女の子がひとり訪ねて来たよ、君に会いたいってさ。ガールフレンドかい？聞いてないぞ？お酒を一本置いていったよ、君が戻ってくるまでは取っておくさ。君を迎える準備はいつだってできてる。君に100万回のキスを。君のかわいい弟より。

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親愛なる兄さんへ。初雪が降りました。大雪です。おかげで１日ほとんど家の中で過ごしてます。安心して、薪は足りてるし雪おろしもちゃんとやってます。雪かきは、作った道が次の日には埋まってしまうので最近サボりがちです。君が帰ってくる時困るかな、明日またやっておきます。

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あんまり時間が余るから毎日本を読んでます、君の部屋にあるやつ。汚したりはしてないしちゃんと元の位置に戻してるから怒らないでくれよ。君の日記も見つけました。これに関しては怒られても仕方ないかなと思うけど、隠し場所が甘いよ、兄さん。

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僕も日記をつけておけばよかったな、君が何をしてたか、感じてたかわかるのはいいけど、自分のことが思い出せない。今からでもつけようかな、でももう何を書いたらいいか分からない。君の日記と見比べられるわけでもなし。やっぱりつけておけばよかったな、君のいるうちに。

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彼女、雪が降る前にまた来ていたよ。ふたりで兄さんの話をするんだ、彼女の知ってる兄さんの話をしてもらう。楽しいけど、なんだろうな、変な感じだ。僕の知らない兄さんがいる。不思議だ。僕の兄さんなのに。でも多分これが当り前なんだろうね。

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また連絡するよ、とりあえず雪がどうにかなってからになりそうだけど。君に100万回のキスを。君のかわいい弟より。