第61回獣医師国家試験直前講座「糸状菌症編」

ずいぶん昔のことですから、リンク切れなどもあるでしょう。 #vetkokushi 等から拾える範囲でぼちぼちまとめます。 新たな知見による訂正・補足等歓迎です。 リストの追加やコメント欄でご指摘ください。
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Stray @K9FCR

Zoonosis語呂合わせ2『キャンパスではネコの猿回し』:キャンピロバクター腸炎(済)→パスツレラ症(済)→(デング熱)→ワイル病(レプトスピラ、未)→ネコひっかき病(済)→ノミ症(済)→サルモネラ腸炎(済)→回虫症(済)→糸状菌症(未)なので、糸状菌症でいきますね。

2010-02-22 22:57:42
Stray @K9FCR

皮膚糸状菌症(dermatophytodsis, 白癬 tinea)【大別】1)好人性菌(本来ヒトに対して病原性を示すがまれに動物にも)、2)好獣性菌(本来動物であるがヒトにも病原性を示す)、3)好土性菌(土壌中に生息。ヒト&動物に寄生)。 #vetkokushi

2010-02-22 23:04:12
Stray @K9FCR

糸状菌症【ヒト疫学】国内では総計1000万人以上が白癬に罹患。原因菌種は猩紅色菌(Trichophyton rubrum)が約70%と最も多く、毛瘡菌(T. mentagrophytes)が約28%、イヌ小胞子菌(小児に多い)が約1.9%である。 #vetkokushi

2010-02-22 23:09:56
Stray @K9FCR

糸状菌症【動物疫学】イヌは約20%を石膏様小胞子菌(Microsporum gypseum)、約7%をイヌ小胞子菌(M.canis)が占める。ネコの糸状菌症ではイヌ小胞子菌が約38%を占めている。ウシでは疣状菌(T.verrucosum)の集団発生がある。 #vetkokushi

2010-02-22 23:18:45
Stray @K9FCR

糸状菌症【病原体】白癬菌と呼ばれる皮膚糸状菌による真菌症の1種である。類縁菌を含め約40種あり、殆ど全てが不完全菌類に属し、菌学的分類では白癬菌(T.)、小胞子菌(M.)、表皮菌(Epidermophyton)の3つに分類される。 #vetkokushi

2010-02-22 23:25:59
Stray @K9FCR

糸状菌症【生態学】宿主親和性および生息環境面から、1)好人性菌:猩紅色菌、趾間菌(T. mentagrophytes var. interdigitale)、2)好獣性菌:イヌ小胞子菌、毛瘡菌(実験用齧歯類)、3)好土性菌:石膏様小胞子菌、手小胞子菌など。 #vetkokushi

2010-02-22 23:32:33
Stray @K9FCR

糸状菌症【伝播様式】直接伝播として感染源との密接な接触があり、間接伝播として共用の衣類、タオル、マット、くしなどを媒介としている。 #vetkokushi

2010-02-22 23:42:01
Stray @K9FCR

糸状菌症【寄生様式】いずれの菌も毛、爪などの皮膚角質層に感染し、ケラチナーゼを分泌し角質を分解して、これを栄養として発育する。感染の進行に伴い角質層以下の表皮組織は刺激され、炎症反応を起こす。その結果、紅斑、丘疹、水疱、膿疱を発生させる。 #vetkokushi

2010-02-22 23:45:47
Stray @K9FCR

糸状菌症【ヒト症状1】家族内で伝播を起こす事が多いイヌ小胞子菌による病態では、発生が多い場所は露出部位であり、特に頭部、顔面、体部が侵されることが多く、小児の発生が多い。1)頭部白癬は俗に「しらくも」と呼ばれ頭皮および毛髪に感染する。 #vetkokushi

2010-02-22 23:51:25
Stray @K9FCR

糸状菌症【ヒト症状2】(楕)円形の境界明瞭な黄白色あるいは灰白色の紅斑、あるいは脱毛斑(粃糠様鱗屑(ひこうようりんせつ):ぬかの様に細かいふけが付着)を認める。掻痒感はほとんどなく、炎症もない。 #vetkokushi

2010-02-22 23:55:08
Stray @K9FCR

糸状菌症【ヒト症状3】ケルスス禿瘡(とくそう)と呼ばれる病態では毛嚢内に浸潤し、腫瘤・脱毛局面を形成する。炎症症状は強く、疼痛があり、耳介後リンパ節の腫大も認められる。 #vetkokushi

2010-02-22 23:56:57
Stray @K9FCR

糸状菌症【ヒト症状4】2)体部白癬は俗に「ぜにたむし」と呼ばれ、顔面、項頸部、躯幹に感染する。境界明瞭な活動性環状小水疱性皮疹(中心部落屑を伴う)を認める。鳩卵大までのほぼ同型の皮疹が、時に100個以上多発することもある。 #vetkokushi

2010-02-23 00:00:19
Stray @K9FCR

糸状菌症【動物症状1】好発部位は露出部位、特に頭部、頚部、四肢に多いが、1〜数カ所存在するものから体表全域に拡大するものまで様々である。イヌ小胞子菌は特徴的に幼齢動物に多発する。掻痒感は顕著ではない。自然治癒する傾向もあるが、長期にわたり保菌状態も呈する。 #vetkokushi

2010-02-23 00:04:37
Stray @K9FCR

糸状菌症【動物症状2】1)石膏様小胞子菌は脱毛を伴う境界明瞭な病巣、周辺部は黄白色の厚い痂皮、小丘疹、紅斑。2)イヌ小胞子菌は毛幹のみを残す鱗斑、脱毛、痂皮。3)毛瘡菌は頭、頚、足、耳に限局する禿瘡と呼ばれる痂皮を伴う化膿性病巣。4)疣状菌は痂皮、脱毛。 #vetkokushi

2010-02-23 00:18:41
Stray @K9FCR

糸状菌症【ヒト&動物診断】1)病変部から皮膚の小片を取り、20%KOHを加えた後、顕微鏡で菌糸または分節胞子の連鎖を確認。2)真菌培養により集落の形態を肉眼的に観察して診断を下す。動物もこれに準ずる。 #vetkokushi

2010-02-23 00:33:09
Stray @K9FCR

糸状菌症【ヒト治療法】1)頭部白癬に対してはグリオセルビン、トリアゾール系イトラコナゾール、アリルアミン系塩酸テルビナフィンなどの内服を行う。外用抗真菌薬併用で症状悪化報告あり。2)体部白癬はイミダゾール系ビフォナゾール軟膏を塗布。3)超酸性水による洗浄。 #vetkokushi

2010-02-23 00:37:37
Stray @K9FCR

糸状菌症【動物治療法1】病変部が限られている場合にはクロロヘキシジンなどのシャンプーでの薬浴を病変の回復後も2〜4週間継続すること。1%クロトリマゾール(または2%硝酸ミコナゾール)クリームを局所に塗布。回復後も1週間継続。 #vetkokushi

2010-02-23 00:41:15
Stray @K9FCR

糸状菌症【動物治療法2】感染が全身におよぶ場合は、クロロヘキシジンなどのシャンプー薬浴に加えてグリセオフルビン(妊娠動物には禁忌)を投与。重度な掻痒性病変に対してはイミダゾールクリームとともにステロイドの局所投与を3日間行う。 #vetkokushi

2010-02-23 00:44:12
Stray @K9FCR

糸状菌症【予防法】感染者、感染動物との接触に注意し、場合により感染動物を隔離する。菌体拡散防止のために長毛種の刈り込みを推奨する。土壌や獣舎などの消毒を目的としてはヨード剤、ナフチオメイト、カーバメイト系薬剤が有効とされる。 #vetkokushi

2010-02-23 00:47:21