マザーウィル泊地 #15 マザーウィル・シュトレンフェスト

12月6日、ドレストナー・シュトレンフェエスト21記念他。
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Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

大規模作戦海域の掃討が完了した……というのは、表向きの話だ。当泊地の「掃討艦隊」がパプアニューギニア辺りから帰ってくる。行方不明だった扶桑も。全裸で。 「非道い目に遭ったわ……」 #マザーウィル泊地

2014-12-04 16:18:18
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

戦艦用コートが似合わないが、裸よりはいい。 イオシーン発射場防衛から故に、どれほどの時間を泳いできたのか。艦娘どころか存在を疑う。 「提督?」 「なんだ」 「……随分と可愛らしくなりましたね」 「言葉を選んでそれか」 #マザーウィル泊地

2014-12-04 16:25:03
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

「霧島。首尾を」 掃討艦隊旗艦の霧島が、金剛から眼鏡を受け取り掛け直すのを待つ。道中でよくコイツは眼鏡を割る。 「深海棲艦司令部は『撤退』に合意しました。引き続き未確認兵器との三竦みに戻りますね」 「御苦労。存分に休め」 「了解しました」 #マザーウィル泊地

2014-12-04 16:35:01
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

指定された航路を離れてはならない。それは提督にとって絶対の規則である。 あのおかしい低気圧や竜巻、そして霧。あの中に突っ込んで帰ってきた人間は少ない。帰ってきた希少な例は、皆同じことを言う。 「異世界に行ってきた」 それだけだ。 #マザーウィル泊地

2014-12-04 18:00:04
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

「向こう」が安全である保証はない。一年ほど前、霧の艦隊などと呼ばれる連中が現れた事もあったが。アレは大運営の仕組んだことと言われても疑問ではない。 我々に協力的な艦も居たのが救いか。かなりの数の提督が、傭兵が死んだ。 #マザーウィル泊地

2014-12-04 18:25:08
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

扶桑が改装を受ける。実はすっかり忘れていたことなのだが、山城が司令室に殴りこんできて思い出した。 「左腕をもぐ必要はなかったのではないか?」 「もげるとは思わなかったのよ……」 「脆いから仕方ないわね。ほら、鎮痛剤よ」 #マザーウィル泊地

2014-12-05 10:29:02
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

がしょん、がしょんと特徴的な足音を立て、やってくるのは摩耶と鳥海。喪った片足を一組の義足を分け合う中の良い姉妹だ。 摩耶の方はハリネズミと呼ばれるほどの対空オンリーアセン。鳥海は古く信頼性のあるものを使う古強者。この二人が来るということは……何かあったか? #マザーウィル泊地

2014-12-05 11:04:19
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

「提督、余った対空砲こっちに回してくれねぇ?」 「何故だ。充分あっただろうが」 「明石に魔改造してもらうんだよ。最近空母が艦載機にボコスカにされてるからよ。その傘にならねぇと」 「許可はするが。鳥海はなんだ」 「付き添いですよ。、脆い提督を見に来るついでです」 #マザーウィル泊地

2014-12-05 11:17:45
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

「寒いな……今日は初雪か」 「呼んだ?」 「呼んでない。見ろ。初雪だ」 「寒い。引きこもる」 「随分と吹雪いているわね」 「呼びました?」 「呼んでない。しかし山口南部でこうも降るとはな」 #マザーウィル泊地

2014-12-06 06:44:30
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

「はちー。はちー」 「なんですかイムヤ?」 「これ。私が焼いたのじゃないけど」 「Stollen!くれるんですか?」 「この前の借りよ!」 #マザーウィル泊地

2014-12-06 07:07:17
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

「シュトレン焼くぞ」 と周知すると、伊8がどこからか湧いてくる。独逸娘も群がってくるが、一番は伊8である。 「今日、ドレスデンを練り歩くシュトレンよりは小さいがな」 「毎年焼いてくれるので、提督、好きです」 「だが、クリスマスは祝わんぞ」 #マザーウィル泊地

2014-12-06 07:57:49
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

12月の第一土曜には、シュトレン発祥の地ドレスデンで巨大シュトレンがパレードをするという。大昔にそんな話を聞いた。 見に行きたいという伊8ではあるが、あまり歓迎されないだろう。NSDAPの残滓は、今もなお迫害の対象だ。 #マザーウィル泊地

2014-12-06 08:00:35
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

毎年、12月18日にローゼンハイム上空でのJu87の展示飛行を独逸企業政府に打診するが、毎回強い反対を受け中止に追い込まれる。これを迫害と言わず何と言うか。 「わかっています。私達が勝手に祝うのはいいんですよね?」 「許可する。信仰の自由は保証する」 #マザーウィル泊地

2014-12-06 08:04:48
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

甲板に被害の無いように、分厚い耐熱セラミックのブロックが敷き詰められ、あっという間に巨大な耐火レンガの釜が出来上がる。 燃料を使うわけもいかず、メインシャフトからの排熱管を以って熱源とする。 既に隼鷹と千歳が酒を用意し、那智が酔いつぶれている。早すぎる。 #マザーウィル泊地

2014-12-06 08:11:34
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

娯楽の少ない洋上生活において、ちょっとしたことが宴のきっかけとなる。呑みたい連中には、何だって肴になるのだ。 雪が降る柱島泊地に停泊中のSoM甲板という極寒の環境でさえ、艦娘は元気にうろつくのだ。 「叢雲。体温がまずい。避難しよう」 「あら。ごめんなさい」 #マザーウィル泊地

2014-12-06 08:15:57
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

気づかないわけはないというのに。ガタガタ震えながら。ダルマストーブを模した暖房機で雪に濡れ冷え切った躯を乾かす。明日には風邪で死んでいるのではないか。 乾いたところで布団に寝かされる。叢雲が添い寝してくれるが、シュトレンが焼きあがるのは見れそうにない。 #マザーウィル泊地

2014-12-06 08:19:04
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

巨大なシュトレンは、空母戦艦を天敵とする。焼き始める前より既に赤城はSoM用錨鎖で拘束され、燃料切れで抵抗も小さくなった。 天龍と日向により最初の一切れが切り出され、焼きたてが振る舞われる。大喰らいによりクリスマスまでは保たんため、第二陣を焼き始める。 #マザーウィル泊地

2014-12-07 03:32:17
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

准将が帰ってくる。奴は奴なりに大規模作戦に従事し、気に入ったからとオイゲン公を三人も囲って帰ってきた。どうやったのかは訊かない。 「随分と可愛らしいじゃないか」 「言うな」 「叢雲、持っていっていいか?」 「駄目よ。今は私のものよ」 私を無視して話しが進む。 #マザーウィル泊地

2014-12-07 04:06:57
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

准将が来ると、暇人同士くだらない話が進む。 「不知火に落ち度?」 「ああ。不知火と言ったら落ち度というくらいに有名でな」 「あるわけないだろう。そんなものがあればとっくに戦犯扱いされている」 「そこまでか!」 #マザーウィル泊地

2014-12-08 06:29:06
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

「ということだ。准将のところに派遣となった」「構いませんよ。陽炎も連れて行きたいのですが」 「許す」 数日後。 「お前がいかに寛大であるということを思い知った」 不知火、一体何をやらかした。 #マザーウィル泊地

2014-12-08 06:35:20
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

南米は夜でも明るい。ほぼ全域で何かが燃えているからだ。 「平和よね」 「人間同士で争えるのはいいことだ」 UAVから中継された映像で、傭兵はどちらの陣営につくかを決める。勝っているほうか、負けている方か。より儲かる方へ。 #マザーウィル泊地

2014-12-08 09:55:13
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

勝っている方に参加すれば、楽だがその陣営から高額の報酬を引き出すことは難しい。逆に負けている方は是が非でも戦力が欲しく金に糸目をつけないことが多い。勝っているからといっても、増援次第で状況が変わることも多い。 要は死ななければ金が手に入る。どちらを選ぶか、だ。 #マザーウィル泊地

2014-12-08 10:02:08
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

叢雲が「私」に呼び出され、代わりに電が付き添うこととなった。何があったのかは、私には知らされない。この電とて、いざとなれば私を爆殺するためにいる。 「できることなら、殺したくはないです」 「斬新な護衛宣言をありがとう」 #マザーウィル泊地

2014-12-09 06:22:08
Rey.Redeyesers @S_O_M_Harbor

吹雪「提督って、普通ですよね」 叢雲「え?」 吹雪「他の鎮守府じゃ、パンツ食べたり虐殺したりセクハラし放題だって聞きました」 叢雲「ああ……うん……え?」 吹雪「幼女で迷子で幽閉されるなんて、私は恵まれているんですね……」 #マザーウィル泊地

2014-12-09 10:27:26