茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1371回【秘密を隠すためのいちばんの方法】連続ツイート

2014.12/10 茂木健一郎氏 【秘密を隠すためのいちばんの方法】連続ツイート …秘密は、その所在を明示的に議論しないことが一番成熟した態度だということになる。秘密のリストをつくることは、将来における公開、検討を行うため以外の目的からは「筋が悪い」。罪刑法定主義を厳密に解釈する時、政府は、時に「筋が悪い」行為を行う衝動にかられるものなのだろう…
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第1371回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、今朝思ったこと。

2014-12-10 06:37:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

秘密を隠すためのいちばんの方法は、秘密があること自体を隠すことである。あるいは、秘密を持つ人自体が、自分が秘密を持っていることを忘れることである。どこかに、「秘密」というファイルをつくって、そこに秘密のリストを書いておくことは、秘密漏洩の危険性を増す。

2014-12-10 06:24:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

特許をとることは、知的財産権を守る一つの方法だが、製造上のノウハウなどの秘密を守る一番よい方法の一つは、実は、特許に該当するノウハウが存在すること自体を明らかにしないことである。ノウハウの所在を明らかにしなければ、それを剽窃することは、それだけ難しくなる。

2014-12-10 06:26:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

その所在に明示的に言及しない方が、秘密を守ることは容易になる。だから、「これが秘密である」と指定することは、それを秘密として守ることを第一義とするよりは、むしろ、何らかの条件下で、他人にそれを伝えることを目的とすることが多い。秘密リストは、実は潜在的な公開のためにあるのだ。

2014-12-10 06:28:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

その良い例が、政府の持つ秘密を何年か経つと公開する諸国の制度であろう。外交交渉などの経緯を機密書類化するのは、秘密を守るためではなく、その秘密を、何年か経過した後に公表し、もって報道や研究の資として、評価や探求の対象にするためだろう。秘密を守るためならば、文書化しない方がよい。

2014-12-10 06:30:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

ところが、罪刑法定主義の下で、秘密の保持やその漏洩に関する人々の行動を規制したり、処罰したりしようとすると、秘密を守るためには秘密が存在すること自体を明らかにしては行けないというコモン・センスに依拠することができず、「これが秘密である」と指定しなければならなくなる。

2014-12-10 06:32:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

「これが秘密である」と指定することは、その漏洩の危険性を増すことになるが、漏洩を処罰するためには、罪刑法定主義の下、「これが秘密である」と指定しなければならない。漏洩の処罰が、秘密を守ることを目的としているのであれば、ここには、大きな自己矛盾が存在すると言えるだろう。

2014-12-10 06:33:31
茂木健一郎 @kenichiromogi

結論として、秘密は、その所在を明示的に議論しないことが一番成熟した態度だということになる。秘密のリストをつくることは、将来における公開、検討を行うため以外の目的からは「筋が悪い」。罪刑法定主義を厳密に解釈する時、政府は、時に「筋が悪い」行為を行う衝動にかられるものなのだろう。

2014-12-10 06:35:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第1371回、「秘密を隠すためのいちばんの方法」をテーマに、7つのツイートをお届けしました。

2014-12-10 06:37:49