「メナス・オブ・ダークニンジャ」

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物 詳細はこちら http://togetter.com/li/73867
ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
第一巻「ネオサイタマ炎上」より「メナス・オブ・ダークニンジャ」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
濡れた土を踏みしめニンジャスレイヤーが歩く。ボンボリの弱々しい灯りが、ハラハラと落ちるモミジを金色に照らす。ネオサイタマにあるまじき静謐の空間。
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この自然公園の詳細について、公的な記録は残されていない。地理的・電子的に隔離された小さな区画は、汚染された都市の只中にひっそりとうがたれた闇である。
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ニンジャスレイヤーは、舞をまうような謎めいた動きで、ゆっくりと前進する。彼のその動きは、竹から竹へ、無数に張りわたされた「ナリコ」がためである。ナリコとは、ニンジャたちの間で伝承される危険なブービートラップだ。
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ニンジャスレイヤーはこの地に仕掛けられたナリコは全て把握していた。目を閉じていても、彼はなんなく通過することが可能だし、この危険なトラップの真ん中で堂々と昼寝をすることもできる。
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彼の「舞い」の目指す先に、小さな庵が、おぼつかないシルエットを現した。
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ヒュン、と風が鳴った。ニンジャスレイヤーは左手の人差し指と中指を垂直にかざし、飛来したスリケンを受け止めた。フイウチである!
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直後、頭上から、カタナをかざして飛び降りてくる影。ニンジャスレイヤーは振り向きながらの回し蹴りで、カタナを振り下ろす相手の腕を受け止めた。襲撃者はくるくると回りながら、ニンジャスレイヤーの目の前に着地した。
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「ユカノ」ーーニンジャスレイヤーが呼びかけると、襲撃者は鼻から下を覆うマフラーをほどいた。目元に幼さの影を残した、美女である。
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「今日のアンブッシュ(不意打ち)には何点もらえるかしら?」ユカノは肩をそびやかした。ニンジャスレイヤーは庵に向かって歩き出した。「おれはセンセイではない、ユカノ」「ええ、そうでしょうね」
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「センセイのご容体はどうだ」「...あまり、よくない」「そうか」ユカノが庵の障子戸を引き開けた。ニンジャスレイヤーは腰を屈めて、ボロ家に滑り込んだ。
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粗末な室内である。床のタタミには色褪せたダルマの絵が描かれ、壁には幾つか、マキモノがかけられている。奥の壁には棚がしつらえられ、そこには大小無数の蝋燭に火が灯されている。 部屋の中央、フトンから半ば身を起こした姿勢で、ミイラのように痩せた老人がニンジャスレイヤーを見上げていた。
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彼こそ、ドラゴン・ドージョーのかつてのマスターにして、「ローシ・ニンジャ」の異名を持つ男、ドラゴン・ゲンドーソーである。だが今や彼は、誰がみても明らかなほどに、死と隣り合わせの状態にあるのだった。
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「ユカノ。これを」ニンジャスレイヤーが、ササの葉の包みを差し出す。「ヨロシ=サンが秘匿していたアンプルだ。これでセンセイも、きっと持ちなおす」気丈なユカノの目に、涙がにじんだ。「フジキド....!」嗚咽をこらえ、ユカノは台所に立った。
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「無茶を...しおって...フジキド=サン...」老人が咳き込んだ。ニンジャスレイヤーは首を振った。「たやすい事です。鉄の意志と、そしてこの」自らの胸を親指で差し、「この私に宿るニンジャ・ソウルをもってすれば」
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「それが危ういのだ、フジキド=サン!お主に宿るそのニンジャ・ソウル、過去のなんというニンジャのものなのか、わからんのだぞ。そんな恐ろしいことは、『リザレクション』において例が無いのだ....!過信はならぬ」
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ニンジャスレイヤーは頷かなかった。「しかし、あのとき我がもとにこの名無しのニンジャが降り来たらねば、私は妻と子の仇を討つ機会すら与えられず、雑草の如くに踏みにじられる運命だった」老人はこれには返す言葉が無かった。
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「この力は私に与えられた宿命です、センセイ。この力で仇を討ち、ラオモトを討ち、すべての悪しきニンジャを殺す。私はそのために生かされています」ドラゴン・ゲンドーソーは何か答えようとしたが、そこへユカノが台所からチャを立てて戻ってきた。
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ユカノはメレンゲ状に泡立ったチャで満たされた漆塗りの椀を、ドラゴン・ゲンドーソーに差し出した。「チャにアンプルが入っています、お爺様、これできっと....」「すまんな、フジキド、ユカノ......なんと口惜しきこの老体よ......」老人は震える手で、一息にチャを飲み干した。
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そのときである。屋外で、なにかが爆発するような音が轟いた。空気が震え、不快な熱波が庵の中にまで届いてきた。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「ユカノ! センセイを!」ニンジャスレイヤーは障子戸を破って屋外へ飛び出した。ああ!なんという事か!竹林が燃えている!
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燃え上がる竹とモミジの林を背後に、陽炎の中、ゆっくりと近づいてくる人影があった。ニンジャスレイヤーの心は千々に乱れた。尾けられた?なぜ!ミニットマンを返り討ちにし、尾行はすべて撒いた、発信機の類いなど....発信機!?
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
人影はニンジャスレイヤーに向かってオジギをした。「ドーモ。ニンジャスレイヤー=サン。ダークニンジャです」「ドーモ。ダークニンジャ=サン。ニンジャスレイヤーです」オジギ終了から0.02秒。ニンジャスレイヤーは跳んだ。後悔は死んでからすればよい。今は目の前の敵を倒さねばならない!
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「イヤーッ!」先手を打った跳び蹴りは完璧なタイミングと間合いだった。しかし、ニンジャスレイヤーは次の瞬間、なぜかうつ伏せに草の上に倒されていた。「このときを楽しみに待っていた、ニンジャスレイヤー=サン。わがカタナ『ベッピン』が、貴様の血を欲して夜な夜な泣いていたものだ」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ダークニンジャの手には、不穏な凄みをもつカタナがあった。そのカタナに視線の焦点を合わせようとすると、視界がぼやけた。なにかのジツをかけられているのか?ニンジャスレイヤーは首を振った。
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