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イラストレーター・中村佑介(@kazekissa)の講座専用アカウント。書籍『みんなのイラスト教室』(税込870円)発売中。
イラストレーター・中村佑介の公式情報アカウントです。【個人】@kazekissa 【イラスト講座】@kazekissa02
▼本日の『イラスト講座』開講です!
【エンドウ講座①】本日は、女子美術大学の講演会に参加して下さったエンドウさんの作品を講評。「生に対しての疑問や不安を感じながらも先を夢みてしまう」というご自身の心境がテーマの作品。なるほど青年期ならではの不安と希望が伝わってきますね。 pic.twitter.com/8qeTlNqdiZ
2014-12-10 22:36:36【エンドウ講座②】版画で制作されている事からもアート寄りのエンドウさんの作品が【イラストレーションとして成立出来るか?】という点。「え?イラストとアートって違うの?」という方もいらっしゃるかもしれませんので、まずはその2つの違いから。 pic.twitter.com/iKgwuv47V4
2014-12-10 22:43:09【エンドウ講座③】おそらく皆さまの中でも、【アート:アナログ】⇔【イラスト:デジタル】という制作スタイルで分類をされている方もいらっしゃると思います。だとしたら昔のイラストは手書きで制作されていた事の辻褄が合わなくなってきますよね。 pic.twitter.com/9suD4I7OCL
2014-12-10 22:51:26【エンドウ講座④】つまりここから【アート】と【イラスト】の違いは「制作方法の違いではない」ということが分かります。だったら一体どこが違うの? 僕の分類ではどんな絵であれ、【展覧会で単体の作品として売れればアート】、【印刷物として商業製品に使われればイラスト】です。
2014-12-10 22:56:29【エンドウ講座⑤】ですので、あくまで発表形式の違いなので、イラストレーターが展覧会をしたり、アーティストがイラストの仕事をするのも可能な訳です。後者で代表的な例は、アーティスト・村上隆さんがゆずのCDジャケットを手掛けられています。 pic.twitter.com/CpmmChaHIQ
2014-12-10 23:06:50【エンドウ講座⑥】本来、絵はなかなか言葉になりにくいものですので、音楽に例えてみましょう。「アーティストでもイラストの仕事をする」はちょうど「ロック歌手でもCMソングを歌う」、そんな感じです。
2014-12-10 23:08:19【エンドウ講座⑦】というのがたいへん大雑把ですが、イラストとアートの決定的な違いです。観る方からしたら、ジャンルなんて知らずに好きになりますので、これは制作側の意識だと捉えて下さい。店主「納得いかん!俺の卵焼きはアートや!!」客「そんなこといいから早く食べさせて…」みたいな(笑)
2014-12-10 23:16:42【エンドウ講座⑧】さて、それではエンドウさんの作品がイラストとしても使えるのか? 試しに書店の本棚に置いてみました。(真ん中・上段の右端です)エンドウさんは絵が上手なので、こうしてプロの作品と並べてみても、一見見劣りしませんね。 pic.twitter.com/4D2ilqtBc8
2014-12-10 23:24:43【エンドウ講座⑨】ですが、もう一度よく見てみて下さい。他の本の表紙はこの距離でも何が描かれているのか解るのに対し、エンドウさんの表紙は、丸枠の中にゴチャッとしたものがあるだけで、何が描かれているのかは良く解りません。 pic.twitter.com/KAQ5bVspaR
2014-12-10 23:28:26【エンドウ講座⑩】実はこれも、イラストとアートの大きな違いであり、描き手が忘れがちな事ですが、アートは大きな画面な上、近づいて見てくれるのに対し、イラストは発表媒体が小さい上に、店頭での【客】⇔【商品】の出会いの距離は至って遠いです。
2014-12-10 23:36:22【エンドウ講座⑪】つまりイラストは、【描く絵】と【見る絵】は違うサイズ、距離なのです。図はノーマン・ロックウェルの作品ですが、「アートは近くで見て貰えて羨ましいなぁ」というイラストレーターである彼ならではの視点なのかもしれません(笑) pic.twitter.com/pOsXeCtZw9
2014-12-10 23:40:47【エンドウ講座⑫】だからエンドウさんの作品は内容(何が描かれているか)が見えにくかった訳です。ではどうすればエンドウさんのアート作品が、イラストレーションとして耐久性のあるものになるのかを、レクチャーして行こうと思います。 pic.twitter.com/JLJk0IdgUP
2014-12-10 23:43:48【エンドウ講座⑬】まずはエンドウさん(左)のように、画面内にモチーフがせめぎあうコラージュ的作品として、表現方法が近く有名な、ピカソ「ゲルニカ」(右)をと比べ、考察してゆきましょう。 pic.twitter.com/lIwRVapfFj
2014-12-11 00:02:47【エンドウ講座⑭】モチーフの集合体としてはエンドウさんの作品に似ていますが、絵のテーマは抜きにしても、「ゲルニカ」の方が圧倒的に見やすいことがわかります。それはたくさんのモチーフの中でもきちんと主役と脇役が分けられているからです。 pic.twitter.com/EZ2jywt4IY
2014-12-11 00:07:46【エンドウ講座⑮】「ゲルニカ」をはじめて見た人は、まずはじめに、この丸をつけた4点に目が行くと思います。とりわけ「ゲルニカ」と言えば"牛"が印象に残っている方も多いでしょう。 pic.twitter.com/vebkSh4b2o
2014-12-11 00:11:14【エンドウ講座⑯】他にも倒れた人、アヒル、花、街(屋根)…etc、非常に多くのモチーフが一画面の中に所せましと描かれていますが、それらはあくまで「良く見るとある」だけです。そのように主役と脇役が分けられているから見やすかったのですね。 pic.twitter.com/RU2Dschk1t
2014-12-11 00:18:32【エンドウ講座⑰】その視点から見てみると、なぜエンドウさんの絵が見えにくいのかが解って来ると思います。それはちょうど風景のない人ごみの写真にも似ています。つまりどちらも「主役不在」な訳です。 pic.twitter.com/BudLYIg90g
2014-12-11 00:25:19【エンドウ講座⑱】そこでまずは主役を決めてやりましょう。前もってお聞きしたこの作品の「将来への不安や生の喜び」というテーマから、ここでは不安の象徴としての"男の子"と、生命力の象徴としての"鳥"を主役に抜擢します。 pic.twitter.com/SiqVynbZ8u
2014-12-11 00:37:18【エンドウ講座⑲】それでは「ゲルニカ」に戻り、1枚の絵で見た時は理解しにくかったかもしれませんが、こうして登場モチーフごとをバラしてみると、面白いことに気付きます。一番目立っていた"牛"は、モチーフと背景の色の差が、一番開いています。 pic.twitter.com/yEVSiLzoiZ
2014-12-11 00:53:22