ニュートン力学と進化論を否定する高橋宏船橋市議の信じる量子物理学その他の科学技術とは何か?

 少しずつ高橋市議は自身の科学史観を明らかにしてきた.彼が発する様々な提案,そして現在の医療制度に関する批判.その発言の基準となっているのが現代の科学技術とは別物であることを知る者は多くない.
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0.ニュートン力学の位置付け

 ニュートン力学は「誤っているらしいですよ」という意見を頂きました.誤っているのではありません.「完璧ではない」だけです.以下に,Wikipediaの「ニュートン力学」のページから【現代物理学での位置付け】の項を参照しましょう.

現代の物理学の視点では、ニュートン力学は、「巨視的なスケールでかつ光速よりも十分遅い速さの運動を扱う際の、無矛盾・完結的な近似理論」と理解される。

まだ説明は続きます.詳しくは以下のページをご参照下さい.
http://ja.wikipedia.org/wiki/ニュートン力学

 ニュートンは先人達が築いてきた「静力学」の諸原理に加えて「動力学」を整理し直し,その際に「重量(重さ)」に加えて「質量」の概念を導入した点が画期的であったとのこと.
 現在,ニュートン力学と言うと古典物理学全般を指すことが多く,フックの法則やアモントン・クーロンの法則といった力学の基礎となる概念も含めます.つまりニュートン力学を否定するということは,光速に比べて十分に遅く,素粒子よりも十分に大きな質量を持つ物体の日常的な運動を解析して予想し,さまざまな機械装置を設計・運用することが”怪しく”なります.

 高橋宏船橋市議が存在を信じる「フリーエネルギー」を肯定するには「エネルギー保存則」を否定しなければならず,その結果,ニュートン力学を否定することになってしまったと思われます.エネルギー保存則を否定すると,様々な物理の問題の定式化が困難になります.動滑車の問題も解けませんし,振り子の運動も,材料力学における梁の撓みの問題も解けません.宇宙飛行も橋梁の設計も”怪しく”なります.

 古典物理学の理論の中には現実の物理現象と照らし合わせて「おや?」と首を傾げざるを得ないものがいくつかあります.例えば「フックの法則」(f = kx)です.螺旋状のコイルスプリングは厳密にはこの式に従いません.引っ張りすぎれば素線が塑性変形して戻らなくなります.厳密に解析するには材料力学や設計工学の知識を補完する必要があります.いや,補完するためにこれらの学問が発展しました.クーロンの法則と呼ばれる摩擦現象の簡易モデルも不思議です.発生可能な摩擦力は物体の重量と物体および平面との間の摩擦係数のみに依存して,接地面の面積に依存しません.しかし車のタイヤは接地面積が広いほど高い制動力を(転がろうが滑ろうが)伝達できますね.この問題を厳密に考えるにはトライボロジーや弾性学を補完する必要があるでしょう.ヘルツの法則なども関わりがあるかな?


フックの法則:http://ja.wikipedia.org/wiki/フックの法則
クーロンの摩擦法則:http://ja.wikipedia.org/wiki/摩擦力#.E3.82.AF.E3.83.BC.E3.83.AD.E3.83.B3.E3.81.AE.E6.91.A9.E6.93.A6.E6.B3.95.E5.89.87
材料力学:http://ja.wikipedia.org/wiki/材料力学
トライボロジー:http://ja.wikipedia.org/wiki/トライボロジー

 ニュートン力学(古典力学)が「何か」を理解していれば,未知のエネルギー源である「フリーエネルギー」の存在を予見するのにニュートン力学を否定する必要はありませんでした.「相対性理論」や「量子力学」を拡張することで”マナ”のように大地からほぼ無尽蔵に湧き出るエネルギーの存在を肯定し得たのです.あるいはそれは「フリーエネルギー」ではありませんが,地球の自転の運動エネルギーを1周期から1秒分だけ拝借することで膨大な電力を得る,といった発想もできたでしょう.

「病院にいかなくてもいい時代が来る」2014-11-19

まさか今時パスツールなんか信じている人はいないですよね?アントワーヌ・ベシャン、ギュンター・エンダーレイン、ガストン・ネサン、ロイヤル・レイモンド・ライフといった先人の知恵に学ばなければなりません。同様に、ニュートンとかアインシュタイン相対性理論とかビッグバン理論とかホーキング宇宙論とかダーウィン進化論が正しいなんて思っている人はいないですよね?
http://ameblo.jp/takahirominfuna/entry-11954253961.html

1.量子テレポーテーションとは何か?

 自身の推す見解が科学的であることを主張するのは結構なことです.同じ科学の土俵であれば多くの者たちがその議論に参加できるでしょう.

 ニコン(株)のページを読みましたが,アインシュタインの相対性理論が間違っていたとは書いてありません.アインシュタインは提案されたばかりの量子力学に対して懐疑的だったという逸話は有名で,沢山の文献にその議論の過程が描かれています.それを「天才の間違い - EPRパラドックス -」という章題にするのは気の毒でしょう.不確かな理論に対して疑問のある者が正当に疑問を呈し,主張する側はそれに対して科学的(理論的・実験的)に反証する.このプロセスを同じ土俵の上で繰り返すことで理論の土台が磐石になる,あるいは修正を施してより確かなものに近付いていく.これは正しい科学的なプロセスです.

 この段階では,なぜ【量子テレポーテーション】に拘るのかが分かりませんでした.サイエンスの業界に属する者であれば,たとえば私であっても量子暗号化,量子コンピュータ,量子テレポーテーションといった用語は耳にしています.サイエンスライターが【量子テレポーテーション】を”知らないだろう”と決め付け,それが自説の根拠に繋がると思う理屈が理解できませんでした.

高橋宏(船橋市議会議員) @takahirominfuna

私の発言は非科学的でニセ科学でトンデモ理論だそうです。自称サイエンスライターを名乗る方々は全然科学的ではありません。ただ単に最先端の科学について来られない時代遅れの思考停止に過ぎないのです。量子テレポーテーションとか知らないんですねnikon.co.jp/channel/light/…

2014-12-06 11:40:55
高橋宏(船橋市議会議員) @takahirominfuna

弱小地方議員の高橋宏は叩きのめせても、大企業のNikonは否定できないでしょうNikonのページにアインシュタインは間違っていたのだと書いてありますよね。匿名やペンネームはトンデモ理論をばら撒いたことがバレた時に恥ずかしいからか。納得nikon.co.jp/channel/light/…

2014-12-06 12:16:13

 多くの方々も私と同じで「何をいまさら新しい用語を知って有頂天になっているんだ?」,「何周遅れているんだ…」と感じたでしょう.私の以下の発言の意図は,大学2年生の教養の物理(全学部共通かどうかは分かりませんが)で習う概念ですよ,という指摘です.いまから思えばこれは筋違い.なつ氏も言うように(?)「知識が古い」かどうかが問題ではありませんでした.別物なのでしょう.

怒らない白井(仮想軒と須雷堕は除く) @tatsuvar

なつ氏に罵倒されない表現を思い付けない… 千葉大学・二年次・共通専門基礎科目(物理)のシラバスchiba-u.ac.jp/student/syllab… 《量子テレポーテーションとか知らないんですね。》 twitter.com/takahirominfun… @takahirominfuna

2014-12-06 15:32:30
怒らない白井(仮想軒と須雷堕は除く) @tatsuvar

“助教授”(2007/4より准教授)と書いてあるように、この(株)ニコンの記事は2006/11の古い記事です。量子暗号化/復号化、量子コンピュータなどは朝日新聞など一般紙においても度々取り上げられています。“シュレディンガーの猫”はご存知です? @takahirominfuna

2014-12-06 15:49:13

 注意深く読むと,このニコン(株)のページの不注意さが幾つか見えてきます.科学的な素養が十分ではない人にも量子テレポーテーションの凄さを分かって貰うために(注:理解して貰う,ではない),神秘主義者に誤解を与え易い例え話や過大な未来予想を述べています.これらの記事の都合の良い所だけがコピー&ペーストされて様々なブログで悪用されることになりますので,もう少し気を使った方が良いですよ.

 冒頭で宮沢賢治の『双子の星』を取り上げ,続いて《 同時に生まれる“双子”の中には、科学的にきってもきれない特別な結びつきをもつものがある。その一つが、ひとつの光の粒から同時に生まれ、お互いの運命に影響し合う二つの光の粒「双子の光」である。双子の光はお互いの存在なくして説明することはできない。そしてその特別な関係から、双子の光は「量子テレポーテーション」を可能にする。》と科学の話題への導入に利用する.ただここで”双子”という言葉から多くの人達が,”生まれた後に違う家庭で育つことになった双子が,偶然に同じような人生を歩むことになる逸話”のようなものを連想してしまいます.一卵性双生児が同じ家庭で同じような人生の選択を行うことは不思議ではないでしょう.同時に,全く異なる人生を歩む者もいます.超能力特集番組などで過去に行われた双子のテレパシー実験を肯定的に描き放送したことも少なからず影響しているでしょう.
 そしてエンタングルした双子の光子をこう評します.《たとえ何万キロ離れていても、お互いの運命が影響し合う不思議な関係だ。》,再び”運命”という単語を用います.神秘主義者の精神世界のモデル構築に流用できそうな表現です.

 正直言いますと,私も完全に理解している訳ではない,というよりも,調べて理解する端から疑問が次々と湧いて来ます.これら高度な科学技術の概念を寓話的に理解してはいけません.きちんと厳密に正しく理解しなくてはいけません.たとえば以下のような議論を行うことはとても大事です.この回答者は聞きかじりの寓話を語っていません.《まぁ知らん人にはそれぐらいのニュアンスの方が語弊が少ないかなと.テレポーテーションって聞くと物質そのものを転送できるって勘違いする人おおいからさ》のように苦慮していますね.
http://totalmatomedia.blog.fc2.com/blog-entry-1047.html

 したがって,ニコン(株)のページの中で,《将来、この方法で人がテレポーテーションできるようになるとしよう。テレポーテーションするために人の体はバラバラの粒子になって、離れた地点にその状態を観測した情報が送られる。そして再現する場所にある物質で、体が再構成されるのだ。このとき、元の場所には何も残らない。》が危険な表現であることが分かるでしょう.【量子テレポーテーション】による情報通信は光速を超えられません(”状態”は瞬時に反映されるとしても)し,情報を送った後に”何も残らない”訳では無いのですから.

 同じニコン(株)のページの別項目,「きらめく生の証 ~ 分子からの手紙 ~」も同様です.
http://www.nikon.co.jp/channel/light/chap04/sec03/

 《生と死はゆるやかにつながっている。人の生死の境目はもちろん、ひとつの細胞も、どこまでが生きていると言えるのか、あるいはどこからが死なのかを見極めることは難しい。》と,医療問題と精神世界への応用が見込まれそうな言い回しからスタートします.そして《しかし最近になって、細胞の発するあるひそやかな光が命の証であることが発見された。》と続きます.
 あとの文章を読めば分かるのですが,ラマン分光法を用いる(レーザー等を当てて反射光を計測する)のであって,細胞が自発光していることを発見した訳ではありません.【オーラ】や【波動】を発している訳ではありません.細胞が死ぬ際に中間物質を放出する,その中間物質固有のラマン分光を検知したタイミングを細胞死の瞬間としよう,という内容です.
 ”きらめく”も”生の証”も”分子からの手紙”も,どこをとっても誤解しか与えません.

ラマン分光法(Wikipedia):http://ja.wikipedia.org/wiki/ラマン分光法
ラマン分光法の原理と特徴(ナノフォトン株式会社):http://www.nanophoton.jp/raman/about.html

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