空想の街～灯りの樹の夜～【色売り】

萌葱［moegi］ @hmoegi

【 #空想の街 設定】 #色売り 。大きな帽子をかぶった年齢・性別不詳の行商人。籠に詰めた色小瓶を売り歩く。不思議な色たちは、思わぬ奇跡を生むとか生まないとか。色の名前は物語の種として、ご自由に拾ってご利用くださいませ。また、お声掛けいただければご要望に応じた色をお譲りします。

萌葱［moegi］ @hmoegi

随分と寒い。コートの襟を立てると、風の冷たさが幾分和らいだ。腕に掛けた籠の中で、色の小瓶が微かに音を立てている。私は #色売り 。色は仄かに灯りを放つ。夜道を歩く助けにと #星黄金 （ほしこがね）の瓶を掲げると、見慣れた街がほんのりと浮かんで見えた。#空想の街

萌葱［moegi］ @hmoegi

灯りとは不思議なもので、#星黄金 （ほしこがね）の小瓶を手で包みこむと、ふわりと温もりを感じるような気がした。灯りの為せる技なのか、それとも色の持つ力のようなものなのか。好奇心に抗えずコルクの栓を抜くと、しゃらり、色は金の砂になって、暗い夜空へ煌めき消えた。#色売り #空想の街

萌葱［moegi］ @hmoegi

（こんばんは。#色売り です。一人で行動することの多い旅人ですが、人とお話しするのは大好きです。綺麗な色を小瓶に詰めて、今日も #空想の街 を歩いています。どうぞどうぞ、お気軽にお声掛けくださいませ。夏の様子はこちらをどうぞ。togetter.com/li/688773 ）

萌葱［moegi］ @hmoegi

大きな帽子の鍔を上げ、金の砂の行く先を視線で追う。消えたと思った #星黄金 （ほしこがね）が、ゆらりと灯りを灯している。どうしたことだろう。近付いて、得心する。――そうか、そんな季節か。花のような灯りを灯して佇む樹。手を伸ばすと、指先が灯りの色に染まった。#色売り #空想の街

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

#色売り さん、写真のフィルムを鮮やかにする色の素を取り扱ってたりしないかな。 @hmoegi #空想覚書

萌葱［moegi］ @hmoegi

@_kumoyuki_ （もちろんですとも。誰を、或いはどこを、写した写真でしょう。一場面がいちばん鮮やかに写る色をお選びします。 #色売り より） #空想覚書

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

@hmoegi 写真を撮る前のフィルムに使って、そのフィルムで撮った写真全部、なにか一つの色味が強く出るものが理想です。(青みがかって見えるもの、とか赤みが強く出るもの、とか) #空想覚書

萌葱［moegi］ @hmoegi

@_kumoyuki_ なるほど。それでは空の力を借りてみましょう。#空色雫（そらいろしずく）、いかがでしょうか。青空に夕焼け空に深夜の濃紺、そのときどきの空の色味に染まります。現像したあとも、写真を見る日の空の色に揺れて見えるかもしれませんね。#色売り より。#空想覚書

萌葱［moegi］ @hmoegi

お気に召すと良いのですが……（どきどき）

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

@hmoegi 素敵ですね。明日お邪魔します！

萌葱［moegi］ @hmoegi

@_kumoyuki_ 良かったです！　お待ちしておりますー。

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

おはようございます。昨日の分まとめてから午前の部を開始しよう。まずは #色売り さん。そしてウサ耳姉妹の中の人的呼び名に衝撃！右と左、ってことでしょうか。　#空想覚書

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

店を出たところで、籠を背負った行商人らしき人が目に入る。いかにも色んな所を旅していそうな風貌の。そんな行商人は良い品を取り扱っている。間違いない。「おはようございまーす。雨ですねー。何売りさんですか？」 #空想の街 #横峰写真館 #色売り @hmoegi

萌葱［moegi］ @hmoegi

雨が降っている。大きな帽子で防げるかどうか、傘を差そうかと迷っていると、若い男女に呼び止められた。@_kumoyuki_ 「おはようございます。私は #色売り 」小瓶に詰めた不思議な色を、お譲りする旅の者。手許の籠の中身は、今日も静かに煌めいていた。 #空想の街 #横峰写真館

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

「#色売り さん…聞いたことあるわ」トウコは自分の鞄を漁り、母の手帳を取り出す。母がこの街を訪れたときに出会った人やお店を書きとめたノート。ページを繰る。「色売りさんで #空色雫(そらいろしずく)を。これを使って撮る空の鮮やかなこと」 @hmoegi #空想の街 #横峰写真館

萌葱［moegi］ @hmoegi

「 #空色雫 、ご存知ですか」籠の底から取り出した小瓶は、白っぽい靄が満ちていた。「空の色を映す雫です。今は雨なのでこんな色ですが、晴れたら青に、夜は濃紺に、また夕暮れ時は格別ですよ」手帳を繰る女性に微笑みかける。@_kumoyuki_ #空想の街 #横峰写真館 #色売り

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

「是非お願いします！…ねえほら、灯りの実をお渡しして」色売りから小瓶を受け取り、さっきから籠の中をしげしげと見つめる運び屋を突いた。「こちら、お世話になった方にお配りしている灯りの実です！お一つどうぞ！」バスケットを差し出す。 @hmoegi #空想の街 #横峰写真館 #色売り

萌葱［moegi］ @hmoegi

「もちろん、喜んで」小瓶の雫が揺らめいている。手帳を手にした彼女の顔を見て、ふと眼を細めた。「目元がよく似ていらっしゃいますね」 @_kumoyuki_ #空想の街 #横峰写真館 #色売り

萌葱［moegi］ @hmoegi

バスケットの中には灯りの実が詰まっていた。灯りが灯れば闇夜にさぞ映えるだろう。「ありがとうございます。……では、ひとつ頂きますね」摘んだ実は、澄んだ晴れ空のような青色だった。「明日の夜が楽しみですね」@_kumoyuki_ #空想の街 #横峰写真館 #色売り

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

「実はこの灯りの実、母が撮りためた写真を加工して作ったんです。その青空、#空色雫 の色かもしれませんね」ガラス玉の中は晴れ空から茜色の空に映りかわり鱗雲が躍っていた。「灯りがともるの、楽しみですね。どうもありがとうございました」 @hmoegi #空想の街 #横峰写真館 #色売り

萌葱［moegi］ @hmoegi

「なるほど。流石に綺麗です」撮る技術と、作る技術と、そしてランダムな空の色。灯りが灯ったら、そのときにはどんな色を映すだろう。「私も樹を飾るとしましょう。ありがとうございました」帽子の鍔を傾けて、一礼。@_kumoyuki_ #空想の街 #横峰写真館 #色売り

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

色売りと別れて再び街を歩く。母と「目元が似てる」と言ってもらえたのがくすぐったい。小瓶をそっと鞄に仕舞う。昼からは晴れそうな天気。 @hmoegi #空想の街 #横峰写真館 #色売り

萌葱［moegi］ @hmoegi

二人と別れて歩きはじめる。貰った灯りの実は、ひとまず籠の持ち手に結びつけた。売り歩く色小瓶のように、静かに揺らめく空の色。かつて譲った雫。何度も足を運んでいると、ささやかな奇跡に出逢えることもある。——明日の夜が楽しみだ。@_kumoyuki_ #空想の街 #横峰写真館 #色売り