「チャブドメイン・カーネイジ」 #1

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物 詳細はこちら http://togetter.com/li/73867
ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
(あらすじ:インターラプターとの死闘に辛くも勝利したニンジャスレイヤー。死に際にインターラプターが残した「ユカノの行方を知りたくば、相撲バー『チャブ』のマイニチ=サンに会え」という言葉を、彼は聞き逃しはしなかった。
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ダークニンジャの襲撃により行方知れずとなったユカノの無事を確かめねば、ニンジャスレイヤーはあの世のドラゴン=センセイに顔向け出来ない。ニンジャスレイヤーは傷の癒えない身体をおして、相撲バー『チャブ』へ向かう。)
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ネオサイタマにおけるスモトリ興業を一手に引き受けるコロシアム・シティ、それがリョウゴク・ストリートである。
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チャンコ072を長期に渡りドープすることで異常巨体を手にし、コロシアムで血みどろの殺し合いを繰り広げることを運命づけられた者たち。それがスモトリである。
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チャンコ072は遺伝子異常を誘発する深刻なリスクがある。しかし残念ながらこの企業支配社会において、効率という概念は人権よりも重んじられる。ネオサイタマ郊外のジャングルには遺伝子異常の果てに知性を失い、廃棄されて野生化したスモトリ達が獣のように暮らしている。
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リョウゴクのコロシアムでしのぎを削るスモトリ達はその手のルーザーとは一線を画する存在だ。力は権力を、金を、セックスを、ほしいままにする。中央リーグ「リキシ」のドヒョウに上がれるのはわずか64人。勝ち続ける事でその地位を手にしたリキシ・スモトリ達は、貴族同然の暮らしを送っている。
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リョウゴク・ストリートに軒を連ねる相撲バーは、興業中は連日連夜、血に飢えた観戦者達でごったがえす。バッファロー肉とスモトリ・チョコに舌鼓を打ちながら、巨大なスクリーンで中継される相撲ファイトに歓声をあげるのだ。
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相撲バー「チャブ」はリョウゴク・ストリートでも一番の老舗を標榜している。改築を繰り返した巨大な店構えは、誇り高く木彫りされた「お相撲」の看板に恥じない。複数のカウンターを擁した一階のホール、高級コタツが配置された二階のバルコニー席。
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酔漢でごった返す一階ホールへ、今、入り口の両開きのドアを開けて入ってきたものがいる。目深にかぶったハンチング帽、草色のトレンチコート。むろん、その姿へ関心を向けるものなどいない。
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トレンチコートの男は巨大スクリーンの脇を通り、第二カウンターへ歩いて行った。立ち飲みの客達でごった返すホールであったが、男は避けるそぶりすら見せず、なおかつ、誰ともぶつかることなく、スムーズに前進する。
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男はカウンターでバリキ・カクテルをシェイクするバーテンに声をかけた。「マイニチ=サンは?」初老のバーテンは無関心な目をトレンチコートの男に向ける。「今、裏でタバコ吸っとるよ。もうすぐ休憩の交代だから、ここで待ってな。ご注文は」「トックリを」「トックリね」
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バーテンはトックリ・サケをカウンターに置いた。トックリの口にはカボスが挿してある。男はトークンをバーテンに手渡した。
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そのとき、店内の照明が落ち、巨大スクリーンがネオンサインとともに点灯した。ネオンサインは「お相撲」「リキシ」「闘争心」といった言葉である。「本日のセンシュラクです」マイコ合成音声が告げると、ホールが歓声で沸き立った。
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スクリーンに大写しになった巨人はナンバー4ランカーのリキシ・スモトリ、ダイポンギである。その身長は10フィートはあろうか?筋肉と脂肪で膨れ上がった巨大な身体、そして鉄仮面が写ると、人々が狂ったように叫び出した。「ダイポンギ!」「今日こそヤッチマエー!」
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黒光りする肉体は、鉄仮面とマワシを除けば一糸まとわぬ裸体である。胸板の「スゴイ」というタトゥーが禍々しい。これほどの巨体を作り上げるために、どれほどのチャンコ072をドープしてきたのであろうか?鉄仮面の呼吸孔から真っ白い蒸気が噴き出す。ダイポンギが睨みつける花道にライトが点る。
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「チャブ」の店内が水を打ったように静まり返った。花道をドヒョウ・リングへ向かってゆっくりと歩いてくる人影。その背格好は常人の身長の範囲だ。6フィートといったところである。しかし、マワシひとつの肉体から滲み出す燃え上がる鋼のような質量感はスクリーン越しにも伝わってくる。
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「畜生、あんなカラダで勝ちまくりやがって」誰かが憎々しげに毒づいた。そう、このスモトリらしからぬ男こそがナンバー1ランカー、すなわちヨコヅナ。目下102連勝中のおそるべき男「ゴッドハンド」であった。
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ドヒョウ・リングの真上へ、鎖で吊られた鉄の棍棒が降りてくる。今回の試合のアチーブメント・ウェポンだ。試合中にあの武器を手にすれば、大きく有利を得ることができる。「両者、準備して!」ジャッジの音声が会場に響き渡る。
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ダイポンギは前傾姿勢をとった。試合開始と同時に、その巨体によるタックルをぶつけるつもりなのだ。呼吸孔から蒸気が吹き上がり、肩の筋肉がわなないた。そのさまはまさに鋼鉄の機関車である。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「ハジメテ!」ジャッジが叫んだ。ダイポンギがゴッドハンドにタックルをしかけた。並の人間が受ければ全身が粉砕骨折して即死に至ることは明白な攻撃だ。しかし、おお、なんということか。ゴッドハンドは前に突き出した両手で、ダイポンギの巨体を真っ向から受け止めて見せた。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「ああっ…」スクリーンを見守る観衆からため息が漏れる。スモトリ最大巨体を持つダイポンギの突進ですら動かせないゴッドハンドは、まさに規格外の存在であった。ゴッドハンドの背中の筋肉が盛り上がり、少しずつダイポンギの圧迫を押し戻し始めた。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
決着がついたのは、ゴッドハンドが押し戻したと見えた、そのわずか一秒後であった。ダイポンギの体が空中でキリモミ回転をしながら真上に吹き飛んだ。そして空中のアチーブメント・ウェポンを支える鎖とケージに叩きつけられ、ずたずたに裂けた巨体は無残な肉塊となりはてた。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「キマリテ、上手投げ。勝者ゴッドハンド」ジャッジの声が、静まり返った会場、そしてスクリーンを見守る「チャブ」の人々の間に響き渡った。
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2010年12月6日
「チャブドメイン・カーネイジ」 #2 http://togetter.com/li/75858
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